初代素数王の備忘録

KA4T6X|X=9(カステラくん)は素数。

素数大富豪1年分のデータを総括してみた(2020年度)

2019年7月の素数大富豪トーナメントの開始により通年で素数大富豪大会が行われるようになり今後も続きそうなので1年単位でデータを集計してみたくなりました*1。てことで実際にやってみましたという趣旨の記事です。

1年単位で素数大富豪のデータを分析するという観点では2018年にもりしーさんが素数大富豪で遊ぼう会in札幌(1回のみin北広島)で出た数についての記事があります。
prm9973.hatenablog.com
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基本情報

分析の対象は2020年度に行われた大会で、以下の5つです。

  • 第1期HNP杯(2020年4月~7月/62試合・139勝負)
  • 第2期蝉王戦(2020年7月~11月/77試合・201勝負)
  • 第1回チャレンジカップ(2020年7月~9月/14試合・36勝負)
  • マスプライム杯2020(2020年9月(オンライン予選)・11月(決勝大会)/31試合・78勝負)
  • 第2期雪華流星戦(2020年11月~2021年4月/67試合・205勝負)

合計: 251試合・659勝負

第1期HNP杯・第2期蝉王戦・第2期雪華流星戦については個別にデータ分析記事を書きました。
graws188390.hatenablog.com
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行動データ

すでに以前の記事で総括していますが、改めて表とグラフに表しました。

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どの大会でも概ね同じような割合になっていますが、初心者~中級者の参加者が多かった第1回チャレンジカップ・マスプライム杯2020では素数出しの割合が高く、グロタンカットやパスの割合が低くなりました。

出された数について

この1年で2回以上出されたすべての数を一覧にしました。量が多いので2分割になっております。

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1位は断トツでグロタンカット57。2位は他を多少引き離してラマヌジャン革命1729。そして3位に3枚出し最大素数の131311と単独ジョーカーが入りました。以下、各枚数の最大クラスの素数合成数、種類の少ない1・2枚出し素数が続くということで、1年分をまとめて集計しても劇的な変化はありません(それはそう)。強いていえば1312=2^5*41や1313=13*101よりも下位に位置することが多かった2枚出し最大素数1213がこれらよりも上位の8位(48回)につけたことでしょうか。第1回チャレンジカップとマスプライム杯2020でそれぞれ14回ずつ出されたことでランクアップする結果となりました。
さらに下位に目を向けると偶数消費型の素数や多枚数(n≧5)のn枚2n桁素数、四つ子素数が続々と入ります。
表にない2枚出し素数のうち、73、131、313はそれぞれ1回出ています。31、71は1回も出ませんでした。せっかくなので、すべての1・2枚出しがそれぞれ何回出たのかを表にしました。(左が1枚目・上が2枚目。オレンジは素数、赤はグロタンカット)

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すべての欄が埋まることはあるのでしょうか*2

素数大富豪で出る数のインフレは2020年度も続き、京(10^16・17桁)以上の素数が延べ45回出されました。垓(10^20・21桁)以上が11回、𥝱(10^24・25桁)以上が3回、穣(10^28・29桁)以上は2回でした*3。例によって一覧にしました。

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HNP(Hello New Prime・勘出しで偶然素数だったときにいう)が多いですが、四つ子素数やn枚2n桁素数などこのサイズの素数を事前に覚えて出しているケースも頻繁に見受けられました。

先手・後手と勝率

素数大富豪が先手有利のゲームであることは以前からよく知られています。2018年にもりしーさんが素数大富豪 ver.4 ☆pro☆と500戦対戦した際は先手の勝率が69%(345-155)と先手有利の結果でした。2019年に私が行ったnishimuraさん・もりしーさんとの百本勝負では先手の勝率がそれぞれ67%(68-34)・65%(65-35)、同年のなきゃのさん対OTTYさんの百本勝負でも62%(62-38)ということでいずれも先手有利ということになりました。

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この1年での先手・後手の勝率をまとめました。実力差が大きいと上位者が先手・後手にかかわらず有利、低枚数主体の試合だと先手の有利性が少ない*4と考えられるので、予選・本戦に分けて集計しました。

予選・本戦の区別は以下の基準で行いました。
第1期HNP杯・第2期蝉王戦・第2期雪華流星戦: 予選リーグ(プレーオフを含む)を「予選」、それ以降の試合を「本戦」
第1回チャレンジカップ・マスプライム杯2020: トーナメントにおける準々決勝より下の試合を「予選」、準々決勝以上の試合を「本戦」

反則負け・(オンラインにおける)接続切れ・時間切れによる途中終了になった勝負は除きました。対象は以下の7勝負です:
第2期蝉王戦・予選 1勝負
マスプライム杯2020・予選 1勝負
マスプライム杯2020・本戦 2勝負
第2期雪華流星戦・予選 3勝負

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マスプライム杯2020・予選を除いたすべての区分で先手の方が勝率が高いという結果になりました。また、本戦では先手の勝率がさらに高くなり7割に達しました。「運も実力の内」とも言われますが、先手を得るというランダムな要素が勝敗に大きく影響してしまっています。この状況はさすがに公平性に欠けるので、対策を前向きに検討していく必要があるでしょう。
素数大富豪オンラインでは1勝負ごとにシステム上でランダムに先手・後手が決定されるため、パスを使って「2本目以降、先手・後手を交互に行う」を実現していたマスプライム杯2020以外の大会ではプレーヤーの間で先手・後手の割合にある程度の偏りが生じました。そこで、この1年で10勝負以上の対戦があったプレーヤー25名について、先手・後手ごとの勝率および先手率をまとめました。なお、先ほどは省いた途中終了の勝負も対象としております。

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先手率の偏りは統計的に有意なものではないと考えられます (ささらさんがちょうど上位5%相当の上振れ・でこぽんさんがちょうど下位5%相当の下振れ)。
全体の勝率と先手率の相関係数は.134で、素数大富豪の実力と先手率の間に相関はないと考えられます。

最後に

他にも調べてみたいことはいろいろありますが、ひとまずこれくらいで筆を置こうと思います。このデータをネタにまた記事を書くかと思うのでお楽しみに。

*1:この総括が何年続けられるか分からないけど。

*2:たとえば(2458X)と持っていて8X=2^4*5|X=0に気づいても出す人がいるのか?

*3:ちなみに兆(10^12・13桁)以上は231回。

*4:第1期~第3期Mathpower杯(2016年~2018年)では後手の方が勝率が高かった。