初代素数王の備忘録

KA4T6X|X=9(カステラくん)は素数。

【第4回せきゅーん杯】数譜

2月22日に行われました第4回せきゅーん杯の数譜を当ブログで公開いたします。nishimuraさん制作の数譜再生くんなどで分析を行いたいときにどうぞ。

本稿の執筆にあたり、3TKさん・さしみさん・ななみさん・もりしーさんには試合の動画や写真の提供、および採譜において大変お世話になりました。この場をお借りして御礼申し上げます。

数譜の見方

数譜の書き方は私が2018年に提案した「標準的数譜」に従っています。詳しくはこちら。
graws188390.hatenablog.com
ただし、以下に注意してください。

  • プレーヤーを表す記号は頭文字を採った。
  • パスは「%」、手番の時間切れによる強制パスは「%%」で記した。
  • ジョーカーを一度に2枚使った場合、ジョーカーは2枚とも「X」で表し、ジョーカーが担ったカードについては左から順に現れた順に書いた。たとえば「XKTTTQX|X=K|X=J」は一番左のジョーカーをK、一番右のジョーカーをJとしてKKTTTQJを出したことを表す。

予選リーグ(数譜なし)

リーグ内総当たり、3セット先取、各リーグ上位2名が決勝トーナメント進出

リーグQ

OTTY 悲しみにクレタ人 カステラ 3TK 順位
OTTY × ●1-3 ●2-3 ●1-3 0 3 4位
悲しみにクレタ人 ○3-1 × ●0-3 ●1-3 1 2 3位
カステラ ○3-2 ○3-0 × ○3-2 3 0 1位
3TK ○3-1 ○3-1 ●2-3 × 2 1 2位

リーグK

さしみ はち dilsh もりしー 順位
さしみ × ○3-1 ○3-0 ○3-2 3 0 1位
はち ●1-3 × ●2-3 ○3-1 1 2 3位
dilsh ●0-3 ○3-2 × ○3-1 2 1 2位
もりしー ●2-3 ●1-3 ●1-3 × 0 3 4位

決勝トーナメント 準決勝

4セット先取

3TK-さしみ

第1セット
3:(A2345799QQK)
さ:(A466688TJQX)
3:937
さ:D(8)8TA
3:4KQ=2^5*Q9A#

第2セット
さ:(A345667TJQQ)
3:(A2334578KKX)
さ:D(7)A65367
3:D(4)8XKA2K|X=T
さ:74QQTJ#

第3セット
3:(A3344569JQX)
さ:(AA23469TJQK)
3:D(T)5634A3
さ:D(A)94KTQJ
3:D(7)%
さ:36A2AA#

第4セット
さ:(24566899JQQ)
3:(A23779JJKKX)
さ:D(6)64=2^6
3:D(J)K7
さ:D(A)9Q=Q8*6A59,P(A22678TT)
3:72A3
さ:D(5)8669
3:KJXJ|X=Q
さ:D(8)%
3:9J#

第5セット
3:(A35999TTKKX)
さ:(234778JQQKX)
3:59
さ:D(T)T7
3:KK=TX*A3|X=A
さ:%
3:9T9#

第6セット
さ:(2357778TJKX)
3:(2223448TJKK)
さ:D(K)KKJ
3:D(6)%
さ:57[GC]
さ:87X23T7|X=4#

第7セット
3:(AA22346689J)
さ:(A3456679KKX)
3:D(K)646A23,P(2349TK)
さ:643
3:D(4)863
さ:KKX|X=J
3:D(7)%
さ:57[GC]
さ:69A#

カステラ-dilsh

第1セット
d:(344556789TQ)
カ:(A2333677JQX)
d:D(Q)57[GC]
d:D(A)94T=A3*Q4,P(A24689T)
カ:D(T)336Q72T,P(569JQKK)
d:D(X)6469
カ:6TQ3
d:D(2)%
カ:7753
d:D(9)8T49
カ:KQJK=6X3*A92J|X=8#

第2セット
カ:(23455668TQK)
d:(A3457899QKX)
カ:D(T)656543,P(228QQX)
d:D(5)KQ=X^5*4A|X=2
カ:%
d:57[GC]
d:3989#

第3セット
d:(A2789TTJJQK)
カ:(33457899TQX)
d:T8T9
カ:QT78=534*9,P(A468JQQK)
d:KJQJ
カ:%
d:A27#

第4セット
カ:(A24467899TK)
d:(236789TQKKX)
カ:D(2)44TKA29
d:96KQXTK|X=J
カ:%
d:8723,P(AA58)
カ:86729#

第5セット
d:(A2377TTQQQK)
カ:(A333556688J)
d:QTQTA3K
カ:D(K)%
d:Q277#

第6セット
カ:(22335777QKK)
d:(AA4556789TJ)
カ:523
d:D(Q)64A
カ:3QK=7^2*7*7*K#

第7セット
d:(35578TJJQQK)
カ:(245567789TX)
d:K
カ:D(K)X[IN]
カ:D(3)57[GC]
カ:D(4)57[GC]
カ:D(T)86243
d:D(K)8QJTJ
カ:D(2)%
d:QK
カ:D(8)%
d:57[GC]
d:53#

決勝トーナメント 決勝

4セット先取

dilsh-さしみ

第1セット
d:(AA667888TJK)
さ:(33559TTJQQX)
d:D(A)88A
さ:D(3)TT3
d:KJT=86^AA67,P(A245579JK)
さ:D(6)63539,P(267TQ)
d:D(4)57[GC]
d:D(4)A6684A
さ:D(4)633469
d:75442A
さ:XTQQQJ|X=K
d:D(9)%
さ:5527#

第2セット
さ:(AA34677TTJK)
d:(A255679TTQK)
さ:D(3)67
d:D(Q)T9
さ:D(5)TJ=A3*534,P(467QKXX)
d:D(4)57[GC]
d:D(2)A22=456*TQQ,P(A23588JQK)
さ:6A343
d:8QTAA
さ:KKQTJ
d:KKQQJ,P(689JJ)
さ:57[GC]
さ:X7|X=5[GC]
さ:4TAX|X=A#

第3セット
d:(A55669TTKKX)
さ:(A22469JQQKX)
d:96TTXKK|X=K
さ:D(3)96KQJQX|X=J
d:D(3)%
さ:D(3)2
d:D(T)5
さ:D(Q)Q=A2*343,P(234578)
d:AT563#

第4セット
さ:(A22556788QK)
d:(AA235699TKX)
さ:D(K)57[GC]
さ:D(X)256=2^8
d:D(Q)569
さ:D(5)KQK
d:D(A)KXQ=3*AAT|X=K,P(3469TJQ)
さ:58XA|X=6#

第5セット
d:(A244568TTJQ)
さ:(2257789JQKK)
d:D(A)A5246A
さ:D(5)82QJKK,P(3668QK)
d:D(T)84TQTTJ#

第6セット
さ:(AA23588JJQK)
d:(A446699QKKX)
さ:883A
d:D(7)966A
さ:KJQJ
d:KKXQ=7^9644|X=J,P(24789TJKX)
さ:52A#

注: 本大会では場(素因数場を除く)に出せる枚数が最大7枚、ゲーム中に手札が19枚を超える(20枚以上になる)と即敗北になる特別ルールが設けられた。本稿で公開した数譜において、この手札上限のルールが適用されたセットはなかった。

【マスプライム杯2025】【マスぴよ杯2025】数譜

2025年9月14日に行われましたマスプライム杯2025・マスぴよ杯2025*1の数譜(放送されたものに限る)を当ブログで公開いたします。nishimuraさん制作の数譜再生くんなどで分析を行いたいときにどうぞ。

本稿の執筆にあたり、さしみさんには数譜の一部を提供していただくなど大変お世話になりました。この場をお借りして御礼申し上げます。

過去の大会(マスプライム杯2020・2021・2022・2023・2024/マスぴよ杯2024/Mathpower杯2022)の数譜
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数譜の見方

数譜の書き方は私が2018年に提案した「標準的数譜」に従っています。詳しくはこちら。
graws188390.hatenablog.com
ただし、以下に注意してください。

  • プレーヤーを表す記号は頭文字を採った。
  • パスは「%」、手番の時間切れによる強制パスは「%%」で記した。
  • ジョーカーを一度に2枚使った場合、ジョーカーは2枚とも「X」で表し、ジョーカーが担ったカードについては左から順に現れた順に書いた。たとえば「XKTTTQX|X=K|X=J」は一番左のジョーカーをK、一番右のジョーカーをJとしてKKTTTQJを出したことを表す。

数譜の「第○セット」の部分はリンクになっており、マスプライム杯2025の動画のそのセットの最初に飛びます。
開会式
マスぴよ杯2025決勝・直前インタビュー
マスプライム杯2025決勝・直前インタビュー
閉会式

準々決勝

もりしー-ロベピ

第1セット
も:(A23568TTQQX)
ロ:(AA235569TQK)
も:85QQTTA3
ロ:D(7)%
も:6=2*X|X=3#

第2セット
ロ:(AA68TJQKKKX)
も:(245566699JQ)
ロ:KKQKJ
も:D(Q)%
ロ:X[IN]
ロ:68TAA#

第3セット
も:(2244466JQQK)
ロ:(A2355569TQK)
も:D(X)2462464XQQKJ|X=4,P(A47789TJQKKX)
ロ:D(6)A255665T93QK,P(A333578899JJ)
も:8646242X9|X=8
ロ:86QK5J2T3
も:KKKTQQJQJ
ロ:D(7)%
も:X7|X=5[GC]
も:A447#

マリン-OTTY

第1セット
O:(3455668TJQK)
マ:(A2346679TQK)
O:D(J)8QTJK656345J,P(2334799TTJKX)
マ:D(9)A2346679TQK9,P(AAA2255788QQ)
O:D(J)57[GC]
O:D(7)6JJJTK9343KQTJT98765432X|X=A,P(4578KX)
マ:A729[RR]
O:XX63|X=A|X=0
マ:%
O:D(3)57[GC]
O:D(X)57[GC]
O:D(X)KKQTJ
マ:AA266=25*3*A489,P(A25567779)
O:TTJJJ
マ:D(T)22549
O:D(J)%
マ:D(K)KQQTQTK
O:D(Q)2884439
マ:A236689,P(469TTJK)
O:K
マ:3
O:X[IN]
O:J
マ:2
O:X[IN]
O:Q39643#

第2セット
マ:(23699TJJQKX)
O:(AA36678TJQK)
マ:KXQTJJ|X=K
O:%
マ:99623#

第3セット
O:(A23678899KX)
マ:(A5588JJQKKX)
O:A729[RR]
マ:D(T)A558=8JJ*QKKXT|X=?,P(223444677TTJ)
O:D(T)9T3
マ:D(3)AX3|X=0
O:D(3)%
マ:D(Q)57[GC]
マ:D(2)KKQQTJTJJ
O:D(K)%
マ:864T2223
O:%
マ:85447#

nishimura-カステラ

第1セット
n:(A2344568TKX)
カ:(2478TJJJQQX)
n:D(9)94568A2TXK|X=T
カ:D(3)JJJ8QT2473,P(AAA467789K)
n:43#

第2セット
カ:(245789TJQKK)
n:(AAA46679TJX)
カ:KKQTJ
n:D(3)%
カ:57[GC]
カ:8429#

第3セット
n:(244568899QK)
カ:(A236778TJQX)
n:D(T)TQK256489489,P(A234679TTJJK)
カ:D(3)Q3A23J7T8X67|X=3,P(AA255579QQKX)
n:D(K)57[GC]
n:886644,P(34678J)
カ:D(5)A729[RR]
n:%
カ:D(2)QJQTK
n:D(A)A2343
カ:A2253
n:D(7)%
カ:AX5=3*5*7|X=0
n:D(9)%
カ:X[IN]
カ:68Q57#

はち-さしみ

第1セット
さ:(A335679JJQQ)
は:(2356689JQKK)
さ:956A3JQJ
は:K6K6Q82J,P(2457789X)
さ:Q37#

第2セット
は:(34458TTTJJK)
さ:(22345589QQX)
は:D(T)4T4853
さ:D(2)5Q5Q43,P(AA3669)
は:KTTTJJ#

第3セット
さ:(4689TTJJQKX)
は:(A22334569JQ)
さ:KJTQTJ
は:D(K)%
さ:9864X|X=A#

準決勝

マリン-もりしー

第1セット
も:(3446667899J)
マ:(567899TJKXX)
も:D(2)99736266484J,P(AA235588TTQQ)
マ:K
も:D(J)%
マ:J
も:D(4)Q=2*2*3
マ:X[IN]
マ:57[GC]
マ:98X6T9|X=7#

第2セット
マ:(22334557JQK)
も:(AA3446678JK)
マ:D(9)223345579JQK,P(A245677899TJ)
も:7A46A46K3J8,P(25689TQQKKX)
マ:D(Q)57[GC]
マ:D(T)JJ4455999
も:D(X)8866524QJ
マ:T82337ATQ,P(A3578TJ)
も:QK
マ:D(5)KT=A3A*2*5
も:XK=K*TA|X=K
マ:%
も:X7|X=5[GC]
も:946A3#

第3セット
も:(AAA5689JQQX)
マ:(A2234567JKK)
も:986QAAAXQJ|X=0
マ:D(9)%
も:5#

第4セット
マ:(A3558899JKX)
も:(23469TJJQQK)
マ:D(6)859
も:D(3)KJT=942633*QQJ,P(A22456678TTK)
マ:KXJ|X=K
も:KKQ=2^4*29*283
マ:%
も:D(5)664A3
マ:D(A)985AA=6*3,P(A477TQX)
も:D(J)57[GC]
も:D(8)68TJ
マ:D(Q)9QQX|X=K
も:D(K)KTQJ
マ:%
も:D(2)T52J#

さしみ-カステラ

第1セット
さ:(3556789TTJJ)
カ:(AA2458999TK)
さ:D(7)J5J5T7T89367,P(AA23447JQKXX)
カ:D(3)T9AA299854K3,P(223566788TJQ)
さ:D(K)987644A23
カ:D(Q)98865432A
さ:KKXQTTJJJ|X=K
カ:D(4)%
さ:57[GC]
さ:57[GC]
さ:A3X|X=A#

第2セット
カ:(345589TTTKX)
さ:(AA23479TJQX)
カ:8TTTXK|X=J
さ:D(8)%
カ:59453#

第3セット
さ:(A24456789JJ)
カ:(A234669TQQK)
さ:D(5)J4J548A56297#

第4セット
カ:(2347788TJQQ)
さ:(345669TJQKK)
カ:D(T)2347887QQTTJ,P(23456789TJKX)
さ:D(7)K4K5TJ6739Q6,P(AA223455899K)
カ:D(6)T23877,P(AAJQX)
さ:565A
カ:KJQJ
さ:%
カ:D(J)A729[RR]
さ:D(Q)A223
カ:AX87|X=0
さ:D(J)%
カ:D(K)57[GC]
カ:D(A)A3
さ:%
カ:8862Q4XT64TQJ|X=2
さ:T9J846947Q953,P(AA2235567789X)
カ:3JTK#

第5セット
さ:(45779TJQKKX)
カ:(223356788JJ)
さ:KKQTJ
カ:D(Q)%
さ:57[GC]
さ:49=7*X|X=7#

決勝

もりしー-さしみ

第1セット
さ:(3457899TQQK)
も:(AA23588JQKX)
さ:D(2)987453QTK
も:588A2JQXK|X=T
さ:%
も:3A#

第2セット
も:(AAA455TJJKK)
さ:(2233667889K)
も:D(4)554AA
さ:D(Q)Q2678=6K*83932,P(34678899TTQQ)
も:D(T)4ATJ
さ:D(4)9QQK
も:KJTK#

第3セット
さ:(A56677899QK)
も:(AA3557JJQKK)
さ:D(3)Q6K576978A39,P(224456899TJJ)
も:5AA3
さ:D(4)KJQJ
も:D(8)%
さ:D(T)57[GC]
さ:D(X)98876654423
も:D(T)%
さ:D(3)T4T69A2939X|X=3,P(A234678QQKX)
も:KKJ
さ:D(T)KXQ=2^4*29*X83|X=K|X=2
も:%
さ:D(2)6469
も:8QTJ
さ:D(J)9QTJ=A27*A3TT,P(AA35678JQK)
も:57[GC]#

マスぴよ杯2025・決勝

けん-ぽらりすこまみ

第1セット
け:(345899QQKKK)
ぽ:(A23346679JK)
け:D(4)3445899QQKK,P(22256788JJQ)
ぽ:4J72396A36K,P(AAA35568TTX)
け:D(J)57[GC]
け:D(7)KJQJ
ぽ:D(T)KXJT|X=K,P(49TX)
け:6QJ
ぽ:D(Q)7TJ
け:KKQ=2^4*29*283
ぽ:D(7)%
け:57[GC]
け:8849#

第2セット
ぽ:(335678TTJKX)
け:(A235668TQQX)
ぽ:863
け:D(T)QTA
ぽ:3TK
け:D(A)QTX|X=K
ぽ:XTJ|X=K
け:D(7)%
ぽ:57[GC]#

第3セット
け:(A22335589TJ)
ぽ:(23567788TJK)
け:D(A)A23A235T589,P(A44456789QK)
ぽ:D(Q)T65QJ2K87387,P(A23469TTJQKX)
け:D(Q)AAA2233444555678899,P(679JKX)
ぽ:987654A236JJQQTTKK
け:%
ぽ:X7|X=5[GC]
ぽ:T823,P(27JK)
け:98765432AA
ぽ:D(6)%
け:D(8)27359586A,P(A369TJQQK)
ぽ:D(T)8627
け:8T49
ぽ:D(5)3KTJ,P(A47X)
け:5T6J
ぽ:D(9)KTXJ|X=Q
け:KKJQ=2^3*A64A389
ぽ:D(3)%
け:QQQJ
ぽ:D(2)%
け:57[GC]
け:9KX|X=3#

*1:初心者向けの大会。2020年以降のマスプライム杯でベスト4以上または過去のマスぴよ杯で優勝の経験がないプレーヤーが対象。マスプライム杯との重複エントリー可。

競技素数大富豪はどこへ向かうべきか

この記事は素数大富豪Advent Calendar 2025の11日目の記事です。

adventar.org

昨日は二世さんの返ってきた素数大富豪で遊ぼう会in札幌 - にせいの日記でした。
私は3月の「素数大富豪で遊ぼう会in札幌」札幌杯に参加しました。初心者から上級者まで楽しめるルールで、とても楽しい大会でした。

本稿では「競技素数大富豪」の現状とその展望を紹介します。ターゲットは素数大富豪に馴染みのない方を想定しています。
前提知識として、読者には素数大富豪のルールを仮定します(カステラ 2018)。ルールについてはたとえば鯵坂(2017)素数大富豪普及協会(2025)などを参照してください。なおこの記事においてはおもに2人戦、初期手札11枚(多くの素数大富豪大会で採用されているルール)を想定しています。
また、以前執筆した記事(カステラ 2020カステラ 2024)も参考にしていただけると、理解が深まるかと思います。
以下、エース、10、ジャック、クイーン、キング、ジョーカーをそれぞれA、T、J、Q、K、Xと表します。また「絵札」といったら、素数大富豪においては2桁にできるT、J、Q、K、Xを指します。素数大富豪で使われるトランプ1デッキ54枚(Xが2枚)には、絵札が18枚あります(本稿の後半でこの事実を使うので覚えておいてください)。全体のちょうど1/3です。

本稿の目的

競技素数大富豪をプレイされない方を対象に、競技素数大富豪の魅力や最近の進展をお伝えすることです。そのため、はじめに競技素数大富豪の説明について少し長い節を設けています。お急ぎの方は2025年時点における競技素数大富豪の現状の節から読んでも構いません。本稿を通して競技素数大富豪に興味をもち、素数大富豪大会への参加や運営に携わる方が増えることを願ってやみません。

競技素数大富豪とは

「競技素数大富豪」は「素数大富豪」というゲームを競技として捉えたマインドスポーツのことです(カステラ 2024)。
もともとの素数大富豪は競技性をもって開発されたものではなく(素数大富豪の考案の経緯についてはせきゅーん(2016)を参照)、競技としてプレイされるうちに、レクリエーションとしての素数大富豪とは一線を画す進化を遂げました。その中でも「全出し」は現在の競技素数大富豪において中心的な戦略である一方、競技素数大富豪に馴染みのない方からすると異質なものに思われるようです。この1年でYouTubeにおいてさまざまな方々に素数大富豪が紹介されましたが(乃木坂配信中 2024ド文系でも楽しい【ゆっくり数学の雑学】 2025QuizKnockと学ぼう 2025)、競技素数大富豪への参入は非常に限定的なのも、この異質さがその理由の一つにあるように思います。

「全出し」とは

「全出し」とは、手札すべてを出すことで、おもに初手またはその直後の後手がそうすることをいいます。ペナルティを故意に受け手札を増やすことで、手札の増強を図るものです。全出しには先手が初手で行うものと、初手を受けた後手が行う(場にカードがある場合は誤った合成数出しをする)ものがあります。まず後者について、実戦例*1を先手視点からみることで、全出しの雰囲気を理解していただければと思います。
0. 2人戦、先手の初期手札は(2236779TJJK)です。
1. ドローしたらQを引きました。つまり、いまの先手の手札は(2236779TJJQK)です。少し素数大富豪の経験があると、4枚出し最大素数のKJQJがあるので

  • 4枚出し→後手が返す→KJQJ→後手パス(場が流れる)→残り(4枚)

で出す作戦が思い浮かびます。KJQJを除く手札は7T69(納豆ロック)・2273(藤浪)と分けられるので7T69から出してみます。

後手:(手札11枚)
場:7T69
先手:(2237JJQK)

2. すると後手はドローしたのち98Q8=4AAA*54X8、Xは6という合成数出しをしてきました。これは明らかに誤っているので、ペナルティとなり、相手は出した枚数(12枚)分山札から引きます。12枚出して12枚引いたので、後手の手札は24枚になります。そして場が流れます。

後手:(手札24枚)
場:なし
先手:(2237JJQK)

3. 先手は当初の予定通りKJQJを出してみます。後手がパスすれば2273を出して上がりです。

後手:(手札24枚)
場:KJQJ
先手:(2237)

4. ここで後手はドローののち、潤沢な手札を活かしてKJKQ=2^4*8A9457の合成数出しを出しました。

後手:(手札13枚)
場:KJKQ (2^4*8A9457)
先手:(2237)

5. 先手は何もできないのでパス。その後、後手が886549(先手は手札の枚数が足りずパスするしかない)・X(単独ジョーカーは即座に場が流れる)・5QQTAAと出して上がりました。
この例のように、ペナルティを故意に受けて手札を大量に増やすことで、相手の勝負手に対抗することができます。シミュレーションによると、相手がKJQJをもっているときに手札25枚(上の例のように、初期手札11枚からドローののち全出しでペナルティを受け、次の自分の番でドローしたときの手札の枚数)からKJQJを超える4枚出し合成数を出せる確率は81.6%(かいたい 2021)なので、この戦略は非常に有効です。
以上を踏まえて、先手はどうすればよかったのでしょうか。

  • 3の時点で(2237JJQK)から全部出して上がる。たとえば7223KJQJや2JQ2JK73(四つ子素数)など。このように全出しされても対応できるようにする(もちろん全出しされなかった場合はKJQJから上がれる)戦術を「二刀流」((もともとの「二刀流」の意味から多少ずれていますが、この用語で定着しています。))といいます。詳しくは3TK(2020)を参照。
  • 1の時点で4枚出しで本当によかったか検討する。ドローした時点で絵札が5枚あるので、92KJTQJ(残りは77263)や722KQJTJ(残りは7963)などが出せる。条件は微妙に異なるが、3TK(2024c)によれば、75%の確率で後手は絵札の枚数が足りないためにパスせざるを得なくなるため、十分有効な戦略である。
  • いっそのこと1の時点でいきなりKJQJを出してみてはどうか。後手は手札を増やすことができないのでほぼパスだろう*2。残りの手札は(2236779T)で、9776T223と出せば素数である。現時点(2025年12月)では8枚出しを即興で出せる人類は出現していないが、仮に57(グロタンカット)があって6枚出しでよいとなると、現時点でも割と現実的な範疇になる。

対策はいろいろ考えられますが、どれも事前に大量の素数を覚えないと運用が難しいと思われます。現状はトッププレーヤーでも、上記3つの戦略のうち上2つが部分的に可能、最後のKJQJ→8枚出しは勘頼り、といったものです。また、この例のように絵札が多めの初期手札がいつも来るとは限らず、絵札が少ない初期手札で下手に出したら返り討ちに遭うこともあります。そう思うと

  • 先手の初手全出し

をしたほうがいい加減に出すより良い、という結論に達します。初手全出しは枚数が多くても比較的簡単に判定できる2・3・5の倍数を避けることで10%程度の確率で素数になるため(カステラ 2020)、とくに絵札が少ない場合は積極的に全出しが行われます。対する後手は、初期手札のままでは大量の手札をもつ先手に太刀打ちできませんから、よほどのことがない限り(KK=A3*TAと残りで上がれる場合などが該当)、全出しをし返すのが鉄則となります。

全出しの誕生と競技素数大富豪の確立

素数大富豪の体験会でルールを説明し、実際にやってもらうと、ほとんどの方は1枚出しや2枚出しから始めます。では素数大富豪を継続的にプレイし、たくさんの素数を覚えているプレーヤーは、もっと多い枚数を出し合っているかというと、2019年まではそうでした。確かに2017年は3枚出しがよく出されていたようですし(たとえばせきゅーん(2017)を参照)、2018年になると4枚出しが主流となり、この年のMathpower杯(マスプライム杯の前身大会)では「7枚出しの名手」*3の異名をもつプレーヤーが現れました(カステラ 2019)。4枚。5枚出しをするようになると、先手が初期手札11枚を「4・4・3」または「5・5・1」と分けて

  • 小さい素数を出す→相手が返す→大きな素数を出す→相手がパスする(場が流れる)→残りを出して上がり

という組み切りができるようになります。
2019年になると、さらに多い枚数の素数による組み切りが研究されるのと並行して、先手のこうした組み切りに対して上に挙げた例のように誤った合成数出しをして手札を増やし対抗する戦術が現れました。素数大富豪オンラインにおける初の大会となった第1期蝉王戦においても、KJQJより大きな4枚出し合成数が3回出ています*4。当時は競技としての素数大富豪とレクリエーションとしての素数大富豪が分化されておらず「素数大富豪のゲーム性の本来の意図にそぐわない」「手札が増えるとゲーム時間が延びることが多々あり、大会の進行上好ましくない」といった懸念が示され、その是非をめぐった議論が重ねられました(もりしー 2019せきゅーん 2019)。
しかし、先手の組み切りに後手が対抗するには合成数出しを故意に誤るペナルティで手札を増やすしかなく、一定の有効性は認められつつあり、議論はなかなか収束しませんでした。
2020年になり、コロナ禍に見舞われると、その議論は停滞しました。既存のプレーヤーは対面での対戦の機会を失い、競技素数大富豪はオンライン素数大富豪が主戦場となりました。素数大富豪オンラインでは、ここまでの経緯を知らない新規プレーヤーたちが登場し*5、全出しを多用することで好成績を収めました*6。こうして、全出しは競技素数大富豪における市民権を獲得しました(カステラ 2024)。
しかし、これは同時にレクリエーションとしての素数大富豪との訣別を告げるものでした。全出しをするプレーヤーとしないプレーヤーが対戦すると、全出しするプレーヤーがほぼ確実に勝ちます。知識や経験の差から、全出しをしなくとも経験者のほうが有利ではありますが、大会では確実に勝つために容赦ない全出しが行われます。こうした状況で初心者が対抗するには同じ土俵に上がる、つまり全出しし返すしかないのですが、それに気づき行動に移すハードルは非常に高いように思われます。まして、そのハードルを通過しても「同じ土俵に上がる」ことができただけで、そこから勝つのは初心者にとって大変に困難です。全出しする側が全出しを封印しない限り、全出ししないプレーヤーとのカジュアルな素数大富豪は成立しないのです。

2025年時点における競技素数大富豪の現状

ここからようやく、本稿の本題になります。前節で述べた通り、競技素数大富豪は2020年頃に元来の素数大富豪から分化し、独自の道を歩み始めました。当初は全出ししたあとの戦略が確立しておらず、泥仕合が頻発しました。それから5年が経過した現在では、戦略の開発・整理が行われ、それらを運用するために覚えるべき素数や立ち回りが発見されつつあります。そのため、2019年に示されていた「手札が増えるとゲーム時間が延びる」という懸念は、トッププレーヤー同士の対戦であればあまり発生しなくなりました。現在の競技素数大富豪の最前線を紹介します。戦略が多岐にわたり、それらを網羅しているわけではありませんが、もしマスプライム杯など競技素数大富豪を観戦する機会がありましたら参考にしてもらえますと幸いです。
全出しがあることを前提とした先手の考え方については、初手に関しては3TK(2024a)、全出しをしあった直後に関しては3TK(2024b)が紹介しており、以下で述べるものも概ねこれらに一致しています。ここでは3TKさんのものよりも大まかに戦略を分類し、さらに後手の考え方についても述べます。

なお、これらの戦略の選び方や精度はプレーヤーに大きく依ります。組み切れず弥縫策で出した素数がかえって相手を惑わす好手になることも(現在のところは)少なくありません。

先手が初手で考えること

まず初期手札のまま戦って勝てる見込みがあるか考えます。ドローは必要に応じて行います。
もっとも注目すべき点は絵札の枚数と組み合わせです。一般に絵札が多いほど良い手札とされており、平均的な初期手札では3枚か4枚です。

  • 初期手札で出せる最大の数を枚数ごとに割り出します。2枚出しならKK=A3*TA*7、3枚出しならKKJ、4枚出しならKJQJ、5枚出しならKKQTJ、KKQKJがあればそれを勝負手にする組み方を考えます。4枚出しは最大素数KJQJがKを1枚しか要しないのが特徴で、他の枚数だと微妙だけど4枚出しなら強い、といった手札も存在します。しかし、後手の反撃を受けやすい枚数でもあるので、可能なら二刀流で組みたいところです。また、組み切る際、たとえば小さい3枚→相手が返す→中くらいの3枚→相手が返す→KKJ→相手がパスして場が流れる→残り2枚(3・3・3・2)のようにラリーをすることは、相手が全出しをする場合は成立しません。小さい3枚出しをした時点で相手に手札を増やされるからです。3・3・5で組む必要があります。
  • 絵札が5枚以上あれば、それらをすべて使った素数も有力候補です。上述の例の再掲となりますが、ドロー後の手札が(2236779TJJQK)であれば92KJTQJ(残りは77263)や722KQJTJ(残りは7963)などです。絵札4枚だと相手もそれなりに絵札をもっていて、かつ、返されることもありますので、8枚12桁(相手が強ければ9枚13桁)がひとつの基準になります。
  • 絵札が3枚以下(KK=A3*TA、KKJで組める場合を除く)はだいたい全出しになります。絵札が4枚以上あって上記のように組むことを試みたもののうまくいかなかった場合も、下手に出すよりましなので全出しします。つまり初手の時点で半分くらいは全出しになっても不思議ではない、ということになります。
    • 実際は、知っている9枚・10枚出しがある(nishimura 2019)、 n = 2 \times p型の合成数出しを狙う(はち 2022)、理想の形ではないが勝率が高い組み切りをする、上記の組み切りを装ったブラフをする、といったこともあるので、全出しの割合はこれより少し減ります。

初手を受けて後手が考えること

先手が全出しをせず、ふつうに出した場合は、後手がそれに返せるか、で勝敗が決まります。先手が初手8枚・9枚出しなら、後手の絵札の枚数と素数の知識の勝負となります。先手が初手3枚または4枚出ししたとき、KKJやKJQJを見込んで、(出せるのであれば)後手が先にKKJやKJQJを出すこともあります。あるいは、ブラフと見込んでふつうに返すこともあります。そうした駆け引きが見どころです。
先手が全出しをした場合、後手はよほどのことがない限り全出しをし返します。「よほどのこと」というのは、たとえば、KK=A3*TA→残りや、KKKQQJ→残りなど、仮に相手が自分から見えていないカードを全部手札にしていても勝てる状況で、私の感覚では20回に1回程度です。
こうして、お互いに全出しをしあうと、両者手札24枚、山札は6枚という状況になります。

全出し後の戦略

その後の戦略については、概ね以下のようになります。

オーソ

「オーソ」とは「オーソドックス」の略で、ふつうの組み切り方のことです*8。初期手札からでは3枚(3・3・5)や4枚(4・4・3)でしたが、全出し後は手札の枚数が倍になっていますので、枚数も倍以上で行います。当初は6枚(6・6・6・6、6枚オーソ)で行われましたが、後手がラリーに付き合わず強い6枚出しを先に出して手番をとったほうがよい(後述する超多枚のような対策がある)とわかり、現在では9枚(9・9・6、9枚オーソ)がもっとも多く見られ、次が10枚(10・10・4、10枚オーソ)です。トランプ1デッキにある絵札は18枚であることを思い出すと

  • 絵札10枚の素数は絶対に返されない
  • 絵札9枚の素数が返されるのは、相手が残り9枚の絵札をすべてもっているときに限る

というのがわかるので、絵札のカウンティングが重要になります。もちろん、最初に出す小さな9枚・10枚出しも覚える必要があります。

超多枚

先手が初手で8枚や9枚出ししたりするのを倍の枚数で行うものです。17~21枚(桁数にすると21~28桁)が使われます。そんなことできるのか? という疑問がありますが、手札が偏っていなければ、数十~百数十個ほどの素数を新たに覚えればある程度の運用が可能です。具体的にどんな素数を覚えるべきかはさまざまなプレーヤーが提案していますが(翳猫 2022dilsh 2023さしみ 2023mickey 20233TK 2024d)、実戦での揃う確率や覚えやすさを考慮し

  • 1桁部分の末尾に絵札を数枚付けた形
  • 1桁部分は9~12枚で、大きな数にするためなるべく降順に並べ固定しておく。偶数多め、奇数少なめ、5や7は少なめ(グロタンカット用に確保)、Aは使わない(絵札部分のJ、Q、KをAA、A2、A3で代用できるように)場合が多い
  • 絵札部分は2~8枚で、重複が少ないもの

のパターンが多いようです。

KJQJを超える4枚合成数出し

先手の初手4枚出しに対し、後手が故意にペナルティを受け手札を増やし、KJQJを超える4枚合成数出しを狙うというのを上で紹介しましたが、お互いに全出しした後に4枚出しをするのは注意が必要です。なぜなら、お互いに手札が24枚あるということは、相手もKJQJを超える4枚合成数出しを持っている可能性が高いからです。ゆえに使用されるのは、事実上最強*9のKKKQ=2^4*3*273569かそれに準じるKKJQ=2^3*A64A389、KKQT=2*3*5*A67*262Aくらいです。また、KKKQ(素因数場を含めて13枚消費の4枚出しなので「(13,4)」と書く)を例にとると、理想は「4・(13,4)・7」ですが、最後の7枚出しのハードルが高く、「4・4・(13,4)・3」という運用が多いです。KKKQ以外にも絵札を3枚くらいもっているため、中くらいの4枚出しもそれなりに大きな素数(7桁)で組めることが多いですが、後手がそれを見越して8QTJ(絵札(とくにK)を温存できるため、この場面でよく出される素数)やそれ以上の素数を出す場合もあり、うまくいかないこともあります。

ラマヌジャン革命

絵札(Xを除く)が少なく、かつAが多いときが典型的なラマヌジャン革命の場面ですが、上記のオーソや超多枚で有効な手段がないときにもラマヌジャン革命が行われます。というのも、革命下で強い素数は平常時とまったく異なるため別に素数を覚える必要があり、全出しが普及してから5年経ってもなお、革命下での戦いを得意とするプレーヤーは存在しません。OTTY(2020)が予測した全出し後の革命の戦術はほとんど実現に至っていません。ゆえに、お互いに全出しした後に自身が劣勢と判断した先手がラマヌジャン革命で泥仕合に持ち込むことがよくあります。現在の素数大富豪プレーヤーたちは、平常時における戦術の開発とそれへの追従に手一杯で、プレーヤーの総人口が少ない現状では、革命下の戦略まで手が回らないようです。このブルーオーシャンに立ち向かう「革命家」の出現が待ち望まれます。

もう一度全出し

ラマヌジャン革命をするためにはA729の4枚が必要ですが、さらにそれもないとなったときの手段として、再度の全出しがあります。山札が6枚しか回収できませんが、手札を24枚もっていても、相手が残りの30枚すべてを手札にもっているとすると、戦いづらいところがあります。また、山札が尽きることで、お互いの手札が完全にわかりますので、出方がわかりやすくなるという特徴があります。つまり、相手の戦力を正確に見積もるスキルが問われることになります。

全出し後の後手の受け方

上述のように全出し後の先手が出す枚数はさまざまです。先手はその枚数で勝てると踏んで出しているはずなので、後手は先手が出した枚数で先手の狙いを読むことができます。たとえば4枚出しならKJQJ超えの合成数出し狙い、といった具合です。後手がそれを阻止しにいきますが、それには次の方法があります。

先手の枚数が少ない(7枚以下が目安)場合

先手は次に中くらいの素数を出したいと思っている可能性があります(たとえば「4・4・(13,4)・3」)。それを阻止するために、8QTJなどの大きめの素数を出すことがあります。先手は、残り7枚程度を勘で出すことを前提で合成数出しをするか、撤退して(故意のペナルティで山札を回収することも多い)手番を渡るかを迫られます。

先手の枚数が8-10枚の場合

オーソの可能性が高いですが、先手が組み切れず、不要と思われるカードの消費のために出している場合も多いです(割合はプレーヤーに大きく依存)。後手の手段としては

  • 素数を返す(単なるカード消費に有効)
  • 故意にペナルティを受け山札を回収する(オーソに有効)

の2つがあります。先手の意図によって有効な行動が変わり、ここに駆け引きが生じます。
しかしながら、先手が絵札10枚の素数やKKKQQTTQJ(残りの絵札(XはKとみなす)を全部もっていても出せる最大の素数がKKKQTTJJJなので返せない)などをもっていて、第三者視点ではすでにどうしようもない場合も少なからずあります。

先手が超多枚を出した場合

後手が勝つには超多枚を返すしかありません。現在のところ超多枚を出せる状況は手札の偏りが少ないといった限定的で、覚えているプレーヤーも多くないので、成功したときの先手の勝率はかなり高いです。

競技素数大富豪プレーヤーは概ね上記のことを考えながらプレイしています。なお、本稿の執筆時点(2025年12月)では、プレーヤー間に組み切りの精度に差があり、組み切れる手札が多い、勝率のより高い組み方を選択できるといったプレーヤーが強いと認識されています。また、プレーヤーによって覚えている素数や得意な戦術が異なるので、観戦するときには注目してみましょう。中には、対戦するプレーヤーの傾向をもとに戦術を変えてくるプレーヤーもいます。

現在の競技素数大富豪のまとめ

前の節では全出しを中心とした現在の競技素数大富豪における戦略の概要をやや詳細に述べました。こうした戦略のもととなる、競技素数大富豪プレーヤーの考え方についてまとめます。

  • 枚数を選択できる先手が有利である。試合の途中でも手番をもっているほうが有利。
  • 手札の枚数が多いほうが有利である。戦略の選択肢が増えるほか、相手の手札が少ない場合にはそれより多い枚数の素数を出せば返されないので、手札の枚数が多いことは(直観に反して)むしろよいことである。
  • 手札や素数の価値は絵札の枚数でだいたい判断できる。すべてが絵札で構成される素数が勝負手として頻出するためKとXの価値がとくに高い。
  • 中途半端な強さでは相手のカウンターを受け手番をとられやすい。
    • 先手が初手で勝つ自信がなければ全出しして戦力の増強をしたほうがよい
    • (先手の初手全出し直後の状況で)12枚対24枚では、手番が12枚側にあっても24枚側が有利である。ゆえに後手は全出しし返すのがセオリーである。
  • 同じ枚数で出し合うラリーは出し始めた方が有利に進む。
    • (後手側)先手の出した枚数が少ないときはラリーが想定されるが、ラリーの枚数で反撃ができる場合を除き、ラリーには付き合わないほうがよい。二の矢が放たれる前に大きめの素数を返すか、ペナルティを受け山札を回収する。
    • (先手側)後手がラリーしてくれない可能性があるので、9枚オーソや超多枚など、ラリーを必要としない戦術をとるべきである。ただし、ラリーをしない戦術をコンスタントに運用するには大量の素数の知識を必要とする。
  • 手札の組み方についてはプレーヤー間に差がある。精度が低かったり、ブラフに出たりするプレーヤーも存在する。競技人口が少ないので対戦相手によって戦略を変える「人読み」が成立する。

これでも長いですね。ポイントだけかいつまむと次の4つにまとめられます。

  • 競技素数大富豪におけるアドバンテージ(有利さ)は手番と手札に集約される。
  • 手札については質とともに枚数が重視されるが、枚数は多いほうが有利なことが多い。
  • 先手の初手における選択肢は
    • 手番の利を活かしたオーソ(初期手札が良いとき)
    • 全出し(初期手札が悪いとき)

の2つに大別される。

  • 大量に増やした手札の減らし方はさまざま。ラリーは付き合ってもらえないので出す枚数に注意。

まとめ

競技素数大富豪プレーヤーがプレイ中に考えていることについて紹介しました。
今後これらをブログ記事、大会の配信での実況開設などで、どう広めていくかが課題です。

明日の素数大富豪Advent Calendar 2025の担当は立教大学素数大富豪同好会さんです。「同好会内で流行っている素数について」ということです。お楽しみに!!

参考文献

(参照日はすべて2026年1月25日)

*1:2024年3月20日・第18回はち杯・第17試合第22セット・mickey(先手)-マリン(後手)より。

*2:nishimuraさんの素数大富豪シミュレーションを使用してKJQJを除いたトランプ50枚から12枚を引くシミュレーションを100万回行ったところ、KJQJを超える4枚出し合成数が揃ったのは212回(約0.02%)であった。

*3:(現在の競技素数大富豪をよく知っている方への注)OTTYさんのことである。

*4:私の手元の記録によれば、最初の例は2019年9月27日のEvaTec(先手)-もりしー(後手)で、もりしーさんが13121312=73*137*2^5*41を出して勝利しています。

*5:(現在の競技素数大富豪をよく知っている方への注)主にマリンさんのことである。

*6:(現在の競技素数大富豪をよく知っている方への注)第2期雪華流星戦におけるマリンさんの優勝(2021年4月)など。

*7:KQ=2^5*4Aは初手に出す組み切りでないと、後手に手札を増やされKK=A3*TAを揃えられる可能性が高いのでおすすめしない。一方で、場が流れて即座に上がれるのなら初手QK→相手がパスして場が流れる→残り(9枚)、という方法もあり。

*8:カードゲームのコミュニティから素数大富豪に持ち込まれた用語のようです。

*9:KKKK=A3*73*TA*A37は揃いづらい上に奇数の消費が多いため、ほぼ使われない。

【第3回せきゅーん杯】数譜

2月23日に行われました第3回せきゅーん杯の数譜を当ブログで公開いたします。nishimuraさん制作の数譜再生くんなどで分析を行いたいときにどうぞ。

本稿の執筆にあたり、はちさん・さしみさん・もりしーさん・マリンさんには試合の動画や写真の提供、および採譜において大変お世話になりました。この場をお借りして御礼申し上げます。

数譜の見方

数譜の書き方は私が2018年に提案した「標準的数譜」に従っています。詳しくはこちら。
graws188390.hatenablog.com
ただし、以下に注意してください。

  • プレーヤーを表す記号は頭文字を採った。
  • パスは「%」、手番の時間切れによる強制パスは「%%」で記した。
  • ジョーカーを一度に2枚使った場合、ジョーカーは2枚とも「X」で表し、ジョーカーが担ったカードについては左から順に現れた順に書いた。たとえば「XKTTTQX|X=K|X=J」は一番左のジョーカーをK、一番右のジョーカーをJとしてKKTTTQJを出したことを表す。

予選リーグ1

マリン-はち

第1セット
マ:(A3466689JQK)
は:(2257788TTQQ)
マ:D(Q)66643A
は:D(A)8QQTTA
マ:98QQKJ#

第2セット
は:(2688899TJKX)
マ:(244567TQQKX)
は:8689
マ:D(5)TQK2=4Q4*756,P(A23356789J)
は:KXJ|X=K
マ:%
は:82T9,P(457T)
マ:987655324A
は:D(J)%
マ:KQXQJ|X=K
は:D(3)%
マ:57[GC]
マ:T2643#

カステラ-さしみ

第1セット
さ:(A34556789KK)
カ:(AA5899TTJQX)
さ:D(4)57[GC]
さ:D(Q)431
カ:D(7)9T9
さ:KQK
カ:D(7)%
さ:45869#

第2セット
カ:(A34579TJQKK)
さ:(A244669TJQX)
カ:KKQTJ
さ:D(5)%
カ:57[GC]
カ:943A#

第3セット
さ:(AA23TTJJQQX)
カ:(234456679KX)
さ:XTQQJTJ|X=K
カ:%
さ:A2A3#

はち-3TK

第1セット
3:(AA34568JQQX)
は:(AA235779JQK)
3:D(6)654QJXQAA|X=T
は:D(9)%
3:863#

第2セット
は:(23379TTJQXX)
3:(AAA466889TK)
は:XTTQJ|X=K
3:%
は:729=3*3^X|X=5#

第3セット
3:(AA4555JJQQK)
は:(A234468JQKX)
3:D(3)A4555JJQQK,P(3667789TKK)
は:A234458JQKX|X=A,P(A23577899TJ)
3:T936483
は:JA2A2QJ
3:KKKQQJJ
は:%
3:57[GC]
3:57[GC]
3:6A5A#

さしみ-もりしー

第1セット
さ:(2445779TTQK)
も:(2344567JQQK)
さ:97QTTK
も:D(3)%
さ:57[GC]
さ:4=2*2#

第2セット
も:(235567788JJ)
さ:(456679TJQKK)
も:6J7J7852853,P(A23368TTQQQ)
さ:KKQTJ
も:%
さ:57[GC]
さ:6469#

マリン-3TK

第1セット
マ:(A256778TJJX)
3:(A34566889TJ)
マ:D(9)57[GC]
マ:D(K)7T69
3:98TJ
マ:KJXJ|X=Q
3:%
マ:82A#

第2セット
3:(A2336789QQK)
マ:(234457788JX)
3:D(K)A623378QQK,P(2236679TJX)
マ:J8823445X77|X=6,P(A4899TTJJQQ)
3:626623
マ:888443
3:A2T873
マ:9TA245,P(AA456T)
3:KKXQQJ|X=K
マ:%
3:9973#

第3セット
マ:(A224577899T)
3:(24667889JKX)
マ:TA224577899,P(A3445TJQQKK)
3:D(9)967
マ:KKJ
3:D(T)%
マ:D(5)A729[RR]
3:[R]D(A)A289
マ:[R]D(3)A235=45*3,P(A57TQQK)##

カステラ-もりしー

第1セット
カ:(AA3445TTTQK)
も:(2456799JJXX)
カ:D(J)A3KTTTQJ
も:%
カ:544A#

第2セット
も:(2267788TQKX)
カ:(233446999TK)
も:D(4)8642727QTK,P(34566789JK)
カ:D(T)T446323999,P(A3557JJQQK)
も:864624287
カ:9643A3QTJ
も:9873QJXTK|X=Q,P(AA258TJQX)
カ:QT9
も:KKJ
カ:D(A)%
も:D(2)57[GC]
も:57[GC]
も:8629
カ:D(4)J574=9325*A4,P(4666789TJQ)
も:XXA3QTQTJ|X=K|X=K
カ:%
も:82A#

第3セット
カ:(223367779TQ)
も:(2244679TJQX)
カ:D(3)QT27739623,P(A35689JQQX)
も:D(T)44267
カ:87623
も:9TQTJ
カ:D(5)QJQTX|X=K
も:D(K)%
カ:57[GC]
カ:57[GC]
カ:99623
も:%
カ:3Q3A#

予選リーグ2

マリン-もりしー

第1セット
も:(23355678TJK)
マ:(A44578TTTJJ)
も:JTK55678323,P(2256789JQQK)
マ:D(6)57[GC]
マ:D(8)TTTJ44A868J#

第2セット
マ:(AA22467TQQK)
も:(334899TJQKK)
マ:D(7)AA22467TQ7,P(346688TTJQ)
も:D(5)98543
マ:864T7
も:D(A)KKQTJ
マ:%
も:A93#

第3セット
も:(AA223358JKK)
マ:(445789TJQKX)
も:353
マ:D(9)449
も:KKJ
マ:%
も:A282A#

はち-カステラ

第1セット
は:(A2245689TJK)
カ:(AAA23334789)
は:D(T)T6T84K5J2A,P(55689JJQQX)
カ:D(7)A729[RR]
は:[R]%
カ:[R]AA87
は:[R]XA29|X=A
カ:[R]D(6)%
は:[R]Q8Q8695642K,P(24479TJQQKK)##

第2セット
カ:(44456789QKX)
は:(A255678TTJK)
カ:D(6)57[GC]
カ:D(9)44466899QX|X=3
は:T5T75K6J8A,P(2235788JQK)
カ:K#

マリン-カステラ

第1セット
カ:(223489TTJJQ)
マ:(A3345677JQX)
カ:D(A)9A38QTTJ
マ:%
カ:224J,P(A8KK)
マ:D(K)7643
カ:D(9)829A
マ:KJQX|X=J
カ:%
マ:57[GC]
マ:3A#

第2セット
マ:(34677999TTQ)
カ:(233445689QX)
マ:T7T7Q349699,P(AAA235JJJKX)
カ:D(6)86453
マ:97463
カ:D(J)96Q43
マ:99JTK
カ:D(2)%
マ:57[GC]
マ:A3AXQJA2TJ|X=3#

はち-もりしー

第1セット
も:(A224679TJQK) 162628
は:(245578TJQKX)
も:946A
は:KJQX|X=J
も:%
は:855T427#

第2セット
は:(A345599TJJK)
も:(255789TJQKX)
は:D(T)T9T9J5J4AK,P(3347789QKX)
も:57[GC]
も:5X|X=7[GC]
も:982KTQJ#

第3セット
も:(236788TJJQK)
は:(23455599TQX)
も:D(6)686723
は:D(9)934QTX|X=J,P(2577QK)
も:8KQJTJ#

決勝トーナメント 準決勝

3TK-マリン

第1セット
3:(A2345788TQK)
マ:(A246679TJKX)
3:D(3)57[GC]
3:D(A)T4QK38832AA,P(23566789TJJ)
マ:647
3:QT7
マ:KXJ|X=K
3:D(9)%
マ:6A2T9#

第2セット
マ:(34568999JXX)
3:(AA35677TQQK)
マ:499
3:D(8)863
マ:XXJ|X=K|X=K
3:%
マ:98563#

第3セット
3:(235689TQKKX)
マ:(AA225667TTJ)
3:62983
マ:56JTT=AA22*75,P(A446678999Q)
3:5XTQKK|X=J#

第4セット
マ:(AA223356777)
3:(33566TTKKXX)
マ:57[GC]
マ:A27A27633#

さしみ-もりしー

第1セット
も:(34455688TTQ)
さ:(A223499KKKX)
も:D(3)885544TQ63,P(A2247778JJ)
さ:D(6)96=2^4*2*3
も:8J
さ:D(Q)QK
も:D(3)%
さ:KKX|X=J
も:%
さ:A9#

第2セット
さ:(245568TJQQK)
も:(223446679TK)
さ:D(J)825Q4J5T6J,P(AA899TTQXX)
も:D(7)2462469377
さ:9846AKA2TJ
も:D(J)%
さ:85QQTTJ
も:%
さ:X[IN]
さ:X[IN]
さ:Q59#

第3セット
も:(222334567XX)
さ:(177889TTQQK)
も:2
さ:D(J)K
も:X[IN]
も:3
さ:D(Q)J
も:X[IN]
も:57[GC]
も:46=2*23#

第4セット
さ:(A34466789JQ)
も:(A22335578KK)
さ:D(9)Q6A3649749,P(AA267789TJ)
も:D(4)57[GC]
も:D(6)KA35642283,P(23459TJQKK)
さ:9846J3A2TAA
も:D(J)KQJT965432A
さ:%
も:823
さ:D(5)997=487*6Q67,P(5789TTQQXX)
も:D(K)523
さ:XXJ|X=K|X=K
も:D(9)%
さ:D(6)57[GC]
さ:D(A)886549
も:D(A)9KKKKJ,P(235TJJ)
さ:D(4)A67497,P(AA3468)
も:523
さ:D(Q)9Q7
も:K9K
さ:D(2)%
も:TJJ
さ:D(T)%
も:KKJ
さ:%
も:4A#

第5セット
も:(A2225699JQX)
さ:(A3344889KKX)
も:D(4)2
さ:D(Q)X[IN]
さ:983
も:9Q2=2*456A
さ:KQK
も:D(A)%
さ:3484A#

決勝トーナメント 決勝

マリン-さしみ

第1セット
マ:(336899TTTTX)
さ:(AA22347778Q)
マ:D(4)T3T386T9T9,P(A456889JJK)
さ:D(4)A27Q7A2483,P(5567JJQQKX)
マ:888443
さ:A2QQ83
マ:TTTJJT,P(A2359K)
さ:D(Q)57[GC]
さ:D(K)57[GC]
さ:1462477
マ:TJTTTA3
さ:KKXQQJJ|X=K#

第2セット
さ:(A33468999JK)
マ:(A455TTJJQKX)
さ:A39K9J84693,P(AA26667778T)
マ:D(T)KJTQTJ
さ:%
マ:5X|X=7[GC]
マ:54TA#

第3セット
マ:(A223899TQQX)
さ:(45557778KJJ)
マ:28T9
さ:D(A)8KJJ
マ:D(6)9QQX|X=K
さ:%
マ:D(4)6423A#

第4セット
さ:(AA2256788QK)
マ:(33345577TQX)
さ:D(K)57[GC]
さ:D(A)A26A28AQK8K,P(A44789TTJQX)
マ:D(6)57[GC]
マ:D(4)57[GC]
マ:D(6)T6X644Q333|X=2,P(23899TJJQK)
さ:48826249
マ:D(2)%
さ:KKQQTJTAAAA
マ:D(5)2TTJJQQK899,P(555677799JK)##

第5セット
マ:(A22334677QK)
さ:(A35567JJKXX)
マ:A23Q3246K7,P(A458889TTJ)
さ:D(T)653
マ:D(Q)T87
さ:XKJ|X=K
マ:D(9)%
さ:57[GC]
さ:TJAX|X=3#

注: 本大会ではゲーム中に手札が22枚を超えると即敗北になる特別ルールが設けられた。このルールが適用されたセットは次の通り(括弧内は適用者)

  • 予選リーグ1・マリン-3TK・第3セット(マリン)
  • 予選リーグ2・はち-カステラ・第1セット(はち)
  • 決勝トーナメント 決勝・マリン-さしみ・第4セット(マリン)

競技素数大富豪十年史

この記事は素数大富豪Advent Calendar 2024の18日目の記事です。

adventar.org

昨日は巨大なナメクジさんのAn Introduction to primeQK for beginners - 巨大なナメクジの思想でした。以前、工大祭で外国人を相手に英語で素数大富豪を教えたことがあり、その際に英語版のマニュアルがあれば便利だなと感じていました。日本語と同様に英語でも素数大富豪の説明やうまくなるコツがまとめられたものがあるといいですね。

本稿では「競技素数大富豪十年史」と題して、競技素数大富豪のこれまでを振り返ります。

This is a post on Day 18 of PrimeQK Advent Calendar 2024. Yesterday’s post was An Introduction to primeQK for beginners by Kyodai na Namekuji-san. I instructed foreigners how to play PrimeQK in the Koudaisai (school festival at Institute of Science Tokyo) in English, and felt that an English manual of PrimeQK would be helpful for the instruction. It would be great to have a handbook in English as well as Japanese that explains PrimeQK and gives tips on how to get better to play it!
This post, entitled ``Ten Years of Competitive PrimeQK”, reviews the history of Competitive PrimeQK.

「競技素数大富豪」とは

競技素数大富豪の明確な定義はなく、人によって定義は異なると思われます。しかしながら、下に挙げた他の「競技○○」と称する競技の定義を基に考えると、競技素数大富豪とは、素数大富豪を競技として捉えたマインドスポーツということになるでしょう。わざわざ「競技」を冠することから、もともとの素数大富豪は「素数との出会い系ゲーム」と称されるように競技性は想定されていません*1

競技かるた(きょうぎかるた)とは、小倉百人一首を用いて、一般社団法人全日本かるた協会が定めた規則に則って行う競技である。

競技かるた - Wikipedia

競技クイズ(きょうぎクイズ)は、クイズを競技として捉え、日本で行われているマインドスポーツの一種。

競技クイズ - Wikipedia

競技ダンス(きょうぎダンス)は、ダンス演技における技術や芸術要素を競うもので、競技会(コンペ)において競われる。

競技ダンス - Wikipedia

競技麻雀(きょうぎまーじゃん)とはギャンブルではなく純粋なゲーム、競技として行う麻雀のことである。

競技麻雀 - Wikipedia

十年史

素数大富豪の誕生・初の素数大富豪大会から10年が経ちました。この10年を競技素数大富豪の観点から4期に分けてみてみます(出来事の日付については素数大富豪関係年表を参照しました)。

第1期(2014年~2017年上半期)

素数大富豪が誕生したのは2014年5月23日ですが、その技量を競う場である素数大富豪大会は同年12月2日の京都大学熊野寮祭で行われたものが最初とされております。2016年10月には現在のマスプライム杯のルーツであるMathpower杯が開催されました。
素数大富豪が誕生した直後に関して、考案者の関真一朗さんを中心とした普及活動の記録が多くありますが、楽しむことが第一であり、強くなることを目指す人はほとんどいないようでした。
そんな中、今の競技素数大富豪につながる出来事が起こっています。

  • 2016年7月: nishimuraさんが素数大富豪を公開……素数大富豪をしたいが対戦相手がいない問題の部分的解決
  • 2016年10月: Mathpower杯開催……現在のマスプライム杯につながる定期的な素数大富豪大会の開催
  • 2016年12月: 素数大富豪Advent Calendar 2016……素数大富豪に関する情報共有の機会
  • 2017年2月: permilさんが素数大富豪オンラインを公開……素数大富豪をしたいが対戦相手がいない問題の解決、オンライン素数大富豪大会のプラットフォーム
  • 2017年2月: 「素数大富豪で遊ぼう会in札幌」初開催……定期的に素数大富豪ができる機会

第2期(2017年下半期~2019年)

2017年10月に開催された第2期Mathpower杯でもりしーさんが、2018年1月に開催された第1回せきゅーん杯でカステラが優勝します。この頃から体系的に素数を覚えるなどして勝つために素数大富豪をプレーする人が現れました。4枚出しや5枚出しを中心に、さまざまな大きさで素数大富豪で有効な素数が探索され、まとめた記事が多く作成されました。素数大富豪で出される数のインフレが始まったのもこの時期です。2019年7月には第1期蝉王戦が始まり、素数大富豪オンラインでの素数大富豪大会が恒常的に行われるようになりました。

第3期(2020年~2022年上半期)

2019年の半ばから「合成数カマトト」をするプレーヤーが現れました。これは先手の初手3枚出し(KKJ→残り)や4枚出し(KJQJ→残り)に対して、後手がKKJやKJQJを上回る合成数(KKQ=2^4*29*283やKJKQ=2^4*8A9457など。KJQJを上回る4枚合成数は「overKJQJ(通称オバケ)」と呼ばれる)を揃えるために、合成数出しを故意に間違えペナルティで山札を大量に引く行為のことです。また、初期手札がよくない先手が、初手からカードを全部出し、ペナルティで山札を大量に引く*2「全出し」が頻繁に行われるようになりました。初期手札のままよりも、手札を増やしたほうが戦えるからです。「合成数カマトト」については、当初は故意に間違った合成数出しを出すことに抵抗感を示すプレーヤーもいました。

通常のカマトトと違い、合成数カマトトによっていつでも手札を倍増できるというのはチート的でゲームの欠陥とも言えますし、抵抗を示すプレイヤーもいます。

素因数分解が見るからにデタラメなので、証明は出来ないにせよ、明らかに「わざと」間違えています。ルール上問題ないといえばそれまでですが、やはり「わざと間違える」という行為が嫌な人もいるでしょう。
(2019年12月13日)

[ 合成数出しにおけるルール変更案 - INTEGERS]

しかし、マリンさんを筆頭に「新規に始めたために合成数カマトトに抵抗がない」「コロナ禍のため素数大富豪オンラインが主戦場であり、大量のカードを扱う負担*3を感じない」プレーヤーたちが「合成数カマトト」「全出し」を多用し大会で好成績を収めるなどで、これらの戦略は市民権を得ることになりました。
そして競技素数大富豪はこれまでの素数大富豪とは別のものとして捉えられるようになりました。「競技素数大富豪」という言葉が登場したのは2020年上半期で、ちょうどこの時期です。

x.com

素数大富豪古参組の二世さんは「大会でやるような素数大富豪は『競技素数大富豪』というジャンルにして、遊ぼう会等でやるような『素数大富豪』とは別物にするべきでは」と仰っていました。
(2020年5月31日)

[ 【素数大富豪】先手必勝!4枚二刀流戦法! - [素数大富豪]3のブログ]

第4期(2022年下半期~)

先述したように、全出しは初期手札がよくない先手が、そのまま戦うよりカードを引いたほうがまし、という理由で行われるようになりましたが、全出しの後にどう戦うかの戦略はなかなか確立しませんでした。overKJQJですら残りの手札の組み切りに苦労する枚数をどう消費するか。2022年の終わりに登場した「超多枚出し」は、全出し直後の24枚*4のうち20枚近くを一度に出してしまうものです。それらを覚える手間と時間はありますが、現状の対策はこちらも超多枚出しを習得するか、さらに習得が大変な革命戦略くらいしかないので、超多枚出しは現在の競技素数大富豪プレーヤーにとって必須の戦術となっています。

2023年は競技素数大富豪にとって、ある種節目のような年になったと思います。ほとんどの強戦術が出尽くし、今後環境が大きく変わることはないのかな〜と思っています。
これからは、現環境で使われている戦術を全て言語化し、その戦術で使う素数合成数をリストアップして記事にしていくフェーズだと思います。私も色々体系化したり素数リストを公開していきたいです。無論私だけだとめっちゃキツいので、界隈の人たちと一緒に色々書いていけたら嬉しいです。
(2023年12月26日)

mickeyの超多枚だし講座 - mickey’s blog

今後の競技素数大富豪

最近はプレーヤーのライフステージの変化などにより競技素数大富豪の戦略の言語化が滞っています(私もその原因のひとりですが)。今後、競技素数大富豪の戦略記事として執筆されるべきものとしては

  • カードカウンティングを基にした全出し後の7~10枚出し戦略(さしみ (2024)などがある)
  • 全出し後の革命戦略(OTTY (2020)で言及されているがまだ確立していないと思われる)
  • ブラフ戦略(素直に全出ししたほうがよいことが多く需要は高くないと思われる)
  • 3人対戦特有の戦略

などがあります。また、(上述のmickeyさんとは反対の意見ですが)今後新たな戦略が登場することも大いに期待できるため、書くべき内容はさらに増えると思われます。(自戒の意も込めて)頑張りましょう。

明日の素数大富豪Advent Calendar 2024の担当は二世さんです。「語呂素数に関してなんか書きます」ということです。お楽しみに!!

*1:当たり前のことを書いているようだが競技素数大富豪プレーヤーが忘れがち。

*2:たまに素数に出会い1手で勝利する。

*3:カードを並び替えるなど。素数大富豪オンラインでは自動でソートされる。

*4:初期手札11枚からドローした後全出しすると、ペナルティは12枚になるので手札は合計24枚となる。

大きな合成数は嫌いですか?

この記事は合成数大富豪Advent Calendar 2024の14日目の記事です。

adventar.org

今年ははち杯の合成数大富豪に3回出て準優勝2回・3位1回、素数大富豪で遊ぼう会in関東が開催した変則素数大富豪大会では準優勝という成績でした(優勝はすべてOTTYさん)。本稿では私が合成数大富豪でよく使っている大きめの合成数について紹介します。

合成数大富豪とは

合成数大富豪」とは、一言でいえば、(基本的には)合成数出ししかできない素数大富豪のことです。本稿を読むにはこの理解で十分ですので*1詳しい説明は省略します。

細かいルールや歴史については本Advent Calendarの作成者であるOTTYさんの記事をご参照ください。
otty8121013.hatenadiary.jp

合成数大富豪で有効な合成数とは

合成数素数大富豪で便利な合成数にはどういったものがあるでしょうか。素数大富豪で便利な素数にどういったものがあるかを思い出すと

  • n枚2n桁(勝負手として使用)
  • 偶数消費型(使いにくい偶数カード消費用)
  • 使うカードに重複がない、または少ない数(全出し時に揃う確率が高い)
  • 超多枚数の数(覚えている素数の知識量の勝負となり、知識量の差異が大きい現時点では有効性が高い)
  • 少枚数の数(上記で余ったカードで上がるため)

といったものがあります。合成数大富豪でのそれぞれに対応する数の有効性について、筆者の考察は以下の通りです。

  • n枚2n桁 …… 合成数大富豪でも有効、しかしそれだけだと使える個数が少ないのでn枚2n-1桁も勝負手になりうる
  • 偶数消費型 …… 2や5(素数大富豪の文脈では「5は偶数」)は合成数大富豪では重要性が高いことから「使いにくいカードを大量に使う数」と言い換えれば有効
  • 使うカードに重複がない、または少ない数…… 合成数大富豪でも有効
  • 超多枚数の数 …… 事例が少なく合成数大富豪での有効性は不明
  • 少枚数の数 ……出し方の制約が大きく利便性は小さいが不可欠

少枚数の合成数素数大富豪における少枚数の素数と比較して出すための制約が大きいことから、合成数上がりを目指すにはその前から出すカードの構成の吟味が重要になります。

組み切りに適した合成数

素数大富豪では、全出し戦略の普及によりn枚n桁素数の網羅的な習得がn=10程度まで行われるようになりました。さしみさんは先日、9枚9桁素数でカードの重複が少ないものの覚え方を提案しています(さしみ 2024)。

素数を覚えるうえでは、四つ子素数を覚えるのがよいと考えられ、多くの素数大富豪プレーヤーが実践しています。四つ子素数は末尾のカードがA・3・7・9のどれでも素数ということで、共通の部分を覚えれば素数を4個覚えられるという効率の良さもありますが、同時に他のカードの都合にあわせて末尾が選べるという柔軟性もあります。合成数大富豪では、(覚えやすさはいったん忘れて)1枚(もしくは少数枚)を入れ替えるだけで別の出し方になる、という意味で、四つ子素数の類似物が存在します。

たとえば(A2334567)という8枚を考えると合成数出しとして3・4・5枚出しができます(つまり入れ替え0枚で異なる合成数が出せる):
546=2*3*7*A3
A376=2^5*43
336A4=2*7^5
さらに、1枚入れ替えるだけで(少なくとも)これだけ出せます*2
(A→3) 3456=2^7*3^3
(A→5) 4625=5^3*37
(2→4) 4453=6A*73
(2→9) 394A=7*563
(3→A) A54A=23*67
(3→7) 3647=7*52A
(3→K) 3K4=2*A567
(4→A) 2673=3^5*AA
(4→6) 366A=7*523
(4→J) 36J=23*A57
(5→4) 324A=7*463
(5→6) A466=2*733
(5→9) A363=29*47
(5→J) 64J=3*2A37
(5→J) A4336=2^J*7
(6→A) 2A73=4A*53
(6→7) 247A=7*353
(6→9) 459=3^2*3*A7
(6→T) 3AT4=2^7*3^5
(6→K) 334A=K*257
(7→A) A623=3*54A
(7→2) 5A6=2*2*3*43
(7→5) 32A5=5*643
(7→9) 456=2^3*3*A9
(7→J) 64A3=J^2*53
少枚数の入れ替えによって得られる合成数出しが多いカードの組とそれからできる合成数出しを覚えることで、実戦において適当な合成数を選択することによって合成数出し上がりができる可能性が上がることが期待できます。

もう一つ、組み切りに適した合成数の分類に「高い冪を含む合成数」があります。合成数出しにおいて

  • 素因数は重複してもよい
  • 指数は入れ子にしてもよい(掛けるのは不可)

というように出し方に関しての許容範囲がやや広く設定されています。たとえば5Q=2^9は
5Q=2^8*2
5Q=2^6*2^3
5Q=2^4*2^3*2*2
5Q=2^3^2
5Q=2^2^2*2^5
5Q=2^2^3*2
などで出してもよいことになっています(入れ子の指数は右から計算します。5Q=(2^3)^3という出し方は認められていません)*3。以前、はちさんにT48576=2^20の素因数場の出し方(はち 2021a)をすべて調べていただいたところ、299通りあるとのことでした。また、最近の素数大富豪では全出し時に67A8464=2^T*3^8や4782969=3^A4といった高い冪を含む合成数を使った7枚出しの組み切り(mickey 2022)がよく見られます。2024年12月13日までに全日程が終了した合成数大富豪大会・素数大富豪大会において、6718464は13回、4782969は19回出されていますが、素因数場の出し方(素因数の順序だけ異なるものは同一視した)を見ると6718464は8通り、4782969は13通りありました。このような高い冪を含む合成数は出し方が幾通りもありえるため、合成数大富豪でも有効であると考えられます。一方で、出し方の多くは合成数大富豪で重要な2や3を多く使用するため、組み切りを考えるとコストが高いというデメリットがあります。

6718464、4782969が出された際の素因数場

余談: そもそも指数表記を用いた合成数出しは素数大富豪誕生当初のルールにはなく、ラマヌジャン革命とともに誕生から2年7ヶ月後の2016年12月に追加されたのでした。詳しい経緯についてはせきゅーん (2016)を参照。

大きな合成数

次の問題はどうやってそのような組を探すかです。大雑把に考えれば、枚数が多いほうが入れ替えの候補が増えるので、組み切りへの適用度が高くなりそうです。さらに「超多枚」になるので、素数大富豪における超多枚数出しと同様の有効性が期待できます。探索にあたって「使いにくいカードを大量に使う」「使うカードに重複がない、または少ない」組を対象とすれば、他の戦略との兼ね合いも図れます。

コロナ禍真っ只中の2020年*4、気まぐれでnishimuraさんの素数探索(nishimura 2019)で大きな合成数の探索をし、結果をファイルに保存していました。合成数大富豪の大会が開催されるにあたり、毎回そのファイルから使えそうな合成数を何個か覚えて大会に臨んでいます。
実際に覚えた合成数を紹介します。

8Q74K=7*J6T59
使うカードは(4567789TJQK)と、A23を使わず、重複が7のみなのが特徴。上にカードを追加して428Q74K=7*6J6T59や854Q74K=7*Q2J6T59などと拡張可能。

7JA8KQ=2^T*6945A3
以前の記事(カステラ 2020)でも紹介した、A~K各1枚の13枚にAを追加した14枚で構成される6枚9桁の合成数。「A3」という部分があるので、ここをKに置き換えてもよいですし、同じ札の構成で7JA8A3Q=2^T*6945Kと7枚出しもできます。2^10という高い冪を含むので、2がたくさん使えるならさまざまな出し方が可能です。さらにA~Kの13枚に追加するのをAから4Jに換えることで7JJ8KQ=2^T*69445A3が出せます*5

8QTA5J =A3*62469347
8QTA5K=3A*26A96823
OTTYさんが好きそうな8QTから始まる合成数その1・その2。もともと8QTA5Jだけ紹介しようと思い、素因数分解の確認しようと素数判定アプリに入力しようとしたら誤って8QTA5Kと入れてしまったが、これはこれで使えそうなのでまとめて紹介。

8QTTKQK=3*7^2*55244966879
OTTYさんが好きそうな8QTから始まる合成数その3。AとJを使わないのが特徴。

TJQKQJK8=2*3*3*59*658A*A4467279
Tが1枚、残りが各2枚ずつの25枚の構成。A~Kを各1枚ずつ使う合成数出しが結局見つけられなかったので(後に存在しないことが証明されました(はち 2021b))、各2枚ずつ使う合成数出しを探索して見つかった、私が知る限りそれにもっとも近い合成数

JQJ9KTKQ=2^A4*6787836493
2の高い冪を含み、それ以外の箇所に2を使わないので使いやすそう。と思いきやカードを使いすぎて指数にあてられるカードがなくなり、結局A4のままになることが多い。

7TQKQJTK=J*645564829A9A83
7QTKQJTK=J*647364829A9A83
非常によく似た8枚15桁合成数。どちらも2を1枚しか使わないのが良い。素因数の12桁の素数は「虫・ここ・虫・パンツグイグイ婆さん」「虫・波・虫・パンツグイグイ婆さん」。82919183*11の下8桁が12111013なので他にも使える「パンツグイグイ婆さん」合成数があるかもしれない。

JTTQKJKQ=2^4*6938A3258A9457
8枚16桁合成数。6と7が各1枚、残りが各2枚の24枚の構成。素因数の14桁の素数は「ロック雅さんに怖い給与カット」(57→グロタンカット→カット)。KJKQ=2^4*8A9457の拡張だと思えば覚えやすい?

実際にどれだけ出せているのかを見るために、合成数大富豪大会・素数大富豪大会で出された1兆以上の合成数を一覧にしたのが次の表です。オレンジで示したのが複数回出されたものですが、すべて私が出したものです(2024年12月14日の第26回はち杯でさしみさんが29412685111086127=139*733^5を出し、出された回数が2となりました)。

素数大富豪大会で出た1兆以上の合成数の一覧(2024年12月13日現在)

今後の展望

今のところ合成数をひとつひとつ覚えていくしかなく、覚える大変さから実際に使えている個数が少ないのが現状です。そのため、組み切りに生かすというところまでは到達していません。たとえばTJQKQJK8=2*3*3*59*658A*A4467279から1枚抜いた
Q3KTJJKQ=2^3*2*7695688A94457 (Aを1枚抜いた)
Q6TJKJKQ=2^3*2*788A3A9569457 (4を1枚抜いた)
KJQKQJ5T=2*3*5*487*8974A3629A (6を1枚抜いた)
JK6TQJKQ=2^4*3923*A774A68559 (8を1枚抜いた)
KKQJ9Q6T=2*5*J*23*A447*358687A (9を1枚抜いた)
7KQ9TJKQ=2^4*3*A4856856273A9 (Jを1枚抜いた)
を覚えられると良いですが、かなり大変です。

ほかに、戦略とは関係なく興味がある問題を挙げて本稿の締めくくりとします。

  • A~K各1枚の13枚に任意の2枚*6を追加した15枚からなる合成数出しは存在するか(私の調べた限り6J、8T、TT、TJ、QQ以外は存在する。この5通りについては不明)
  • A~K各2枚の26枚からなる合成数出しは存在するか
  • 次を満たすカードの組 Cは存在するか:  C Cから任意の1枚を抜いた組、 Cに任意の1枚を加えた組がすべて合成数出し可能(追記(2025年1月1日): 惜しい例として C = (\text{AAA}2345678999)*7があります。考えるべき組のうち、 Cから4を除いたもの以外はすべて合成数出し可能です)

合成数大富豪Advent Calendar 2024は明日(12月15日)から最終日(12月25日)までOTTYさんの記事が毎日読めます。とても楽しみです。

*1:当ブログの読者は通常の素数大富豪のルールは既知であるものとされています( カステラ 2018 )。

*2:カードが同じ組み合わせかつ場に出す枚数が同じものは場の値が大きいもののみ示しています。

*3:「5Q=2^2^3*2」は並べ替えると「2Q=2*2*53」になります。筆者は素数大富豪を含めても212を合成数出ししたり、されたのを見たりしたことがありませんが、上位互換が存在することから今後も目にする可能性は低いでしょう。誰か1回くらい212を出してみませんか?

*4:ファイルの作成日を確認したら2020年10月7日でした。

*5:1と4はいくつでも挟めますが、次に6944…4513が素数になるのは7JJJJA8KQ=2^T*6944444445A3で4が7枚必要。

*6:1枚ならどれを追加しても合成数出しが存在します(カステラ 2020)。

*7:純正九蓮宝燈聴牌形。

【マスプライム杯2024】【マスぴよ杯2024】数譜

9月15日に行われましたマスプライム杯2024・マスぴよ杯2024*1の数譜(放送されたものに限る)を当ブログで公開いたします。nishimuraさん制作の数譜再生くんなどで分析を行いたいときにどうぞ。

本稿の執筆にあたり、マリンさん・さしみさんの両名には採譜の多くを担当してくださるなど大変お世話になりました。この場をお借りして御礼申し上げます。

過去の大会(マスプライム杯2020・2021・2022・2023/Mathpower杯2022)の数譜
graws188390.hatenablog.com
graws188390.hatenablog.com
graws188390.hatenablog.com
graws188390.hatenablog.com
graws188390.hatenablog.com

数譜の見方

数譜の書き方は私が2018年に提案した「標準的数譜」に従っています。詳しくはこちら。
graws188390.hatenablog.com
ただし、以下に注意してください。

  • プレーヤーを表す記号は頭文字を採った。
  • パスは「%」、手番の時間切れによる強制パスは「%%」で記した。
  • ジョーカーを一度に2枚使った場合、ジョーカーは2枚とも「X」で表し、ジョーカーが担ったカードについては左から順に現れた順に書いた。たとえば「XKTTTQX|X=K|X=J」は一番左のジョーカーをK、一番右のジョーカーをJとしてKKTTTQJを出したことを表す。

数譜の「第○セット」の部分はリンクになっており、マスプライム杯2024の動画(編集版)のそのセットの最初に飛びます。
開会式
マスぴよ杯2024決勝・直前インタビュー
マスプライム杯2024決勝・直前インタビュー
閉会式

準々決勝

アベ-はち

第1セット
は:(AA233589TJJ)
ア:(AA3447TTJQQ)
は:D(9)8AJ
ア:D(5)QT7
は:D(5)2TJ
ア:D(5)3TJ,P(46K)
は:A593593#

第2セット
ア:(A2557899TJQ)
は:(A23447JJQQQ)
ア:57[GC]
ア:D(6)9T8A
は:D(2)QQQJ
ア:D(A)%
は:D(6)24A24J367,P(235789JXX)
ア:D(9)A5699QJ,P(4588TTK)
は:9876432A
ア:D(7)%
は:42J
ア:98J
は:XXJ|X=K|X=K
ア:%
は:233#

マリン-もりしー

第1セット
も:(A344456667K)
マ:(2289JJQQQKX)
も:D(K)666444A573K,P(AA2388TTJJQ)
マ:D(5)J2J2Q5QXQK89|X=6,P(233567799TTX)
も:D(4)57[GC]
も:6A33
マ:D(8)T889
も:%
マ:D(K)57[GC]
マ:KXKQ=2*2^3*3*27X569|X=K|X=3
も:%
マ:9QTQJJ#

第2セット
マ:(A2456789JQX)
も:(A445567799J)
マ:XQ=2^5*4A|X=K
も:D(3)%
マ:J6789#

カステラ-nishimura

第1セット
n:(A234579TTQK)
カ:(AA27TJJQQKK)
n:D(X)X9432QTTK|X=4
カ:D(J)KKJQA2QTJ
n:D(8)%
カ:JA7#

第2セット
カ:(23578TTJJKX)
n:(AAA5567TQQK)
カ:KJTXTJ|X=Q
n:D(9)%
カ:57[GC]
カ:8=2^3#

さしみ-3TK

第1セット
3:(AAAA55689QQ)
さ:(233445778TK)
3:D(3)AAAA35568QQ9#

第2セット
さ:(A355799JQQX)
3:(3445669TTQK)
さ:D(7)57[GC]
さ:97JXQQA3|X=T
3:D(A)%
さ:59#

第3セット
3:(A455678TTKK)
さ:(A334667889T)
3:D(7)A4556778TTKK,P(35589TJJQQKX)
さ:D(2)T2368368A497,P(AA22479JQQKX)
3:886541
さ:D(6)9QKQTJ
3:KKKTTJ
さ:D(9)%
3:9QXQTJ|X=K
さ:D(J)%
3:57[GC]
3:57[GC]
3:53#

準決勝

カステラ-はち

第1セット
カ:(A2266678QKX)
は:(A245778JJQK)
カ:D(9)K6Q6A272968X|X=7,P(A2344499TJKX)
は:D(K)J2AJQ77K458KP(33356789TJQQ)
カ:D(5)65A29
は:D(A)KKQQT,P(58TT)
カ:D(6)44469=3^6*6A
は:KKQTJ
カ:KKQXJ|X=K
は:D(5)%
カ:2
は:D(2)Q=2*2*3  
カ:X[IN]
カ:89QT7#

第2セット
は:(A34666778JX)
カ:(555799JQKKX)
は:D(Q)A3466Q6J787X|X=3,P(A223446889JQ)
カ:KKJ
は:D(T)%
カ:57[GC]
カ:5X|X=7[GC]
カ:Q959#

第3セット
カ:(A23556789QX)
は:(A2236788KKX)
カ:D(A)57[GC]
カ:269
は:D(7)KKX|X=J
カ:%
は:7762=2*388A#

第4セット
は:(22356679TQK)
カ:(346788TJJQK)
は:D(5)36K6T25Q5279,P(A2234459TQKX)
カ:D(7)TJJQK3467887,P(A34678899JKX)
は:D(5)A22223344555566799,P(AATJQ)
カ:8888A347
は:9765432A
カ:9643KQTJ
は:KKQJQTAA
カ:%
は:D(A)5
カ:X[IN]
カ:KJJ
は:D(Q)XQT|X=K,P(A77)
カ:9767#

3TK-マリン

第1セット
3:(AA3445JQQQX)
マ:(2355777TQKK)
3:5QQXQJ|X=T
マ:D(8)%
3:AA443#

第2セット
マ:(A33466778TQ)
3:(244899JJQQQ)
マ:D(7)TQ864A377763,P(AA234589JJKX)
3:D(A)A244899QQQJJ,P(223566789TTK)
マ:D(K)A729[RR]
3:[R]D(5)A423
マ:[R]D(K)AXA3|X=0
3:[R]D(5)%
マ:[R]D(T)35734868746TQJKKKJT,P(AAAA2233479XX)
3:[R]95629
マ:[R]44623
3:[R]25889
マ:[R]A2343
3:[R]%
マ:[R]KTQJ
3:[R]D(8)5674=8TKTQQJ*QJ,P(A223334456699)
マ:[R]9JTKK
3:[R]A2343
マ:[R]AXA63|X=0
3:[R]D(2)%
マ:[R]AX7|X=0
3:[R]%
マ:[R]57[GC]
マ:[R]887#

第3セット
3:(AA222348TTX)
マ:(47899TTJQKK)
3:D(3)TT3A2X4A2823|X=3,P(24555689JJQX)
マ:D(7)T9T9QJ478KK7,P(A33566778QKK)
3:D(9)AX29|X=7[RR]
マ:[R]D(6)A336,P(A4JQ)
3:[R]D(X)242JTTQJ
マ:[R]AA347745,P(A29)
3:[R]AX485259|X=0
マ:[R]D(4)%
3:[R]5X|X=7[GC]
3:[R]8363#

第4セット
マ:(2456777JQQX)
3:(23335589JQK)
マ:D(J)57[GC]
マ:72647
3:D(4)98QKJ
マ:JQQXJ|X=Q#

第5セット
3:(A23347789JQ)
マ:(AA2356799QX)
3:D(Q)QQ2379J4A387,P(244556688TJK)
マ:D(9)A729[RR]
3:[R]D(T)A233=TQQ79J487*458T66J5284K,P(A2345678TTJJQKKKX)
マ:[R]65Q9
3:[R]D(7)AXA3|X=0
マ:[R]D(9)%
3:[R]2668247
マ:[R]D(A)%
3:[R]KKTTQJQJ
マ:[R]D(2)%
3:[R]D(5)57[GC]
3:[R]D(Q)2T8QKK843
マ:[R]%
3:[R]D(9)57[GC]
3:[R]D(3)39TJ69853
マ:[R]D(6)%
3:[R]57[GC]
3:[R]44QJ,P(AA6X)
マ:[R]AXA|X=0
3:[R]%
マ:[R]99623#

決勝

カステラ-マリン

第1セット
カ:(A357889TJJK)
マ:(A45689JQKKX)
カ:D(T)57[GC]
カ:8T9A3
マ:9JQKK
カ:D(4)%
マ:864X5A|X=2#

第2セット
マ:(A34559TQQKK)
カ:(A236679JQQK)
マ:5QKQTK
カ:D(J)9KQQJJ
マ:%
カ:66A273,P(578TKX)
マ:954A3#

第3セット
カ:(AA235678JQK)
マ:(A34579TTQKX)
カ:D(3)638KJQAA
マ:9KQTXTA3|X=Q
カ:%
マ:547#

マスぴよ杯2024・決勝

ロベピ-アベ

第1セット
ロ:(A357888TQQK)
ア:(AA3457TTJQX)
ロ:D(3)883
ア:D(K)QA3
ロ:8Q3
ア:D(J)7TJ
ロ:QTK
ア:KXJ|X=K
ロ:%
ア:T54A,P(278K)
ロ:A57#

第2セット
ア:(3345788TQQK)
ロ:(2233566799K)
ア:D(4)887
ロ:D(2)962=96*3,P(A49TKX)
ア:D(2)443
ロ:929
ア:Q23
ロ:6TA
ア:QTK
ロ:KKX|X=J
ア:D(8)%
ロ:9463
ア:D(5)%
ロ:57[GC]
ロ:223#

第3セット
ロ:(3346889JJJQ)
ア:(A22355667QX)
ロ:D(7)9887
ア:D(Q)QA27,P(A29T)
ロ:336J,P(26TK)
ア:D(K)A729[RR]
ロ:[R]D(9)%
ア:[R]D(4)TA
ロ:[R]66=2*3*J
ア:[R]D(T)64=2^6
ロ:[R]D(9)34=TJ*Q9,P(A55QKX)
ア:[R]D(A)QTK
ロ:[R]D(J)JQJ
ア:[R]A25=5^3
ロ:[R]AX3|X=0
ア:[R]D(8)%
ロ:[R]D(7)KKQTJ
ア:[R]D(4)%
ロ:[R]D(K)99K,P(348)
ア:[R]D(7)Q8X47|X=6,P(7889T)
ロ:[R]D(9)9973
ア:[R]D(A)9877,P(227J)
ロ:[R]D(3)3454859,P(A24666T)
ア:[R]887
ロ:[R]463
ア:[R]A27
ロ:[R]D(6)A26=65K84T*4569,P(AA3355TJJQQKX)
ア:[R]D(2)8QTJ
ロ:[R]5QQJ
ア:[R]D(T)%
ロ:[R]6KKJ
ア:[R]D(J)2479,P(9QKK)
ロ:[R]T63
ア:[R]D(2)229
ロ:[R]A25=5^3
ア:[R]D(7)%
ロ:[R]AXA|X=0
ア:[R]%
ロ:[R]84T4569#

注: マスぴよ杯2024決勝・ロベピ-アベ・第3セット32手目
ア:[R]D(2)229
について、その2手前(30手目)のアベさんがペナルティを引く際、4枚引くべきところを5枚引き、カードの中身を見てしまいました(内訳は(39QKK))。その後1枚(3)を山札の上に戻して試合は再開されましたが、審判が山札全体をシャッフルしてしまい(推測)、山札の順序が改変されました。そのため、32手目での本来のドローは3であるべきですが、異なるカードになっています。数譜は本譜の通りとします。なお、30手目終了時(ペナルティの枚数修正を行った直後)の山札は上から順に
3[79][A23467788][58TJJQQQ][6JKK]
です([ ]内の並びはカードを流す際のシャッフルにより不明)。

追記(2025年4月20日): 準決勝・3TK-マリン・第2セット、21手目「[GC]」の抜けを修正。

*1:初心者向けの大会。マスプライム杯2024の参加申込者のうち2020年以降のマスプライム杯でベスト4以上の経験がないプレーヤーが対象。