初代素数王の備忘録

KA4T6X|X=9(カステラくん)は素数。

【第2期蝉王戦】データ分析

7月13日から素数大富豪オンラインで開催された素数大富豪トーナメント第2期蝉王戦は11月7日に決勝が行われ、私が優勝しました*1。さて、HNP杯に引き続き大会を通してのプレーの分析をしました。採譜に関しては他のプレーヤーの提供もあり、すべての試合のログを集めることができました。ここに感謝いたします。

基本情報

第2期蝉王戦の概要を振り返りましょう。

  • 予選リーグ: 参加者22名(nishimura第1期蝉王を除く)を抽選で2つのリーグ(リーグ13・リーグ17)*2に各11人ずつ振り分ける。各参加者は同じリーグのうちの6人(対戦カードはリーグ振り分けと同時に決定)とそれぞれ2本先取の試合を行う。勝数の多い順(同数の場合はセット勝率の高い順)に各リーグの上位5名、および残りの12名のうちの最上位の合計11名が決勝トーナメントへ進出。
  • 決勝トーナメント: 予選リーグを勝ち抜けた11名とnishimura第1期蝉王の合計12名によるノックアウト方式のトーナメント。nishimura第1期蝉王と予選リーグの成績上位者はシードとなる。3本先取。

分析対象は第2期蝉王戦の全試合(77試合・201勝負)です。

  • 予選リーグ(66試合・154勝負)
  • 決勝トーナメント(11試合・47勝負)

HNP杯との比較のため、行動データ・出された数・プレーヤーごとの集計の3つの観点からみていきます。HNP杯のデータ分析はこちら。
graws188390.hatenablog.com

行動データ

素数出しやグロタンカット、ペナルティなどの割合を比較します。前回使用した第3期Mathpower杯(2018年10月)・マスパーティ杯・一般の部(2019年10月)・HNP杯(2020年4月~7月)の他、マスプライム杯2020オンライン予選(2020年9月)のデータも参照します*3
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HNP杯のときには以前(第3期Mathpower杯)より素数出しが減少し、ペナルティが増加したと述べましたが、第2期蝉王戦は各分類の割合は概ねHNP杯とほぼ同じでした。マスプライム杯2020オンライン予選で多少以前の傾向に戻ったように見えますが、初心者同士の対戦など以前のような試合が多かったことを考えると、熟練者の対戦におけるプレースタイルはHNP杯以降安定しつつあると思われます。一方で、単独ジョーカーや合成数出しが若干減っています。単独ジョーカーの減少はある程度意図的に狙う*4ことができ、戦略というよりも嗜好の変化の影響がありえます*5合成数出しの減少は後述するoverKJQJの対策によるものが考えられます。

出された数について

HNP杯と比較して出された数に変化があったかを調べるために、複数回出された数を一覧にしました。
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HNP杯ではグロタンカット57、ラマヌジャン革命1729、単独ジョーカーXの特殊効果のある3種が上位を独占しましたが、第2期蝉王戦では4枚出し最大素数13111211と3枚出し最大素数131311が単独ジョーカーの回数を上回りました。以下、各枚数の最大クラスの素数合成数出しが並ぶのはHNP杯と同様ですが、2枚出しの増加に伴い101(HNP杯1回→第2期蝉王戦10回)、811(4回→9回)、911(3回→9回)、1213(3回→10回)などが回数を伸ばしました。
overKJQJについては、マスプライム杯2020オンライン予選でわずか1回しか出されなかったなど傾向の変化の兆しがあったので、数ごとに出された回数をまとめました。(13111211以下は4枚8桁素数)
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手番総数がHNP杯の約1.33倍になったにもかかわらず、回数がわずかに減る結果となりました。しかも出されたoverKJQJの半分が事実上最強の13131312です*6。これはoverKJQJを使う戦術が普及した結果、overKJQJでも返される可能性のある小さいものはたとえ揃っても出すのを控えた可能性があります。そのためか、HNP杯ではoverKJQJにoverKJQJで返すプレーが3回ありましたが第2期蝉王戦では0回でした。他にはoverKJQJは使うプレーヤーは増えたものの、実は13131312といったメジャーなものしか知らない・使えないという仮説が考えられます。表にあるoverKJQJはどれも比較的揃いやすく、HNP杯・第2期蝉王戦ではともに出ませんでしたが13121312=2^5*41*73*137、13121011=101*163*797、13111312=2^4*819457、13111213=89*179*823なども大会以外で行われる対戦でたびたび見られましたので、戦略のレパートリーにぜひ。
前回の分析に引き続き、複数人が出した数の一覧もつくりました。
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各枚数の最大クラスの素数合成数や偶数消費型が多いほか、98765431や986543などの連番型素数、8104Xや691210113Xなどの四つ子素数が見られます。また、8623や8627は表にないのに8629(ハム肉)はある、66449は表にないのに46643(よろろしみ)*7はあるなど語呂合わせの有無による普及度の偏りがあるようです。

プレーヤーごとの集計

プレーヤーを何人かピックアップし、プレースタイルの違いを見ていきます。今回はベスト4のカステラ・かいたいさん・マモさん・けんさんの他、注目のプレーヤーとしてささらさん、なきゃのさんを選びました。
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(※ 枚数クラスごとの”○○/△△”は場にその枚数クラスに属する数が出されたのが△△回で、そのうち正しく出されたものが○○回であったことを表します。合成数出しカマトトは場の数の属する枚数クラスに計上しました。)
全体の傾向としては6枚クラス(HNP杯59/90→第2期蝉王戦128/164)や8枚クラス(17/40→50/78)が増えて多枚出しのレベルがまた一段上がりました。12枚クラス(5/25→6/52)は挑戦回数が増えているものの成功率は下がっており、初手全出しおよびそれを受けての後手全出しの増加が窺えます。それを踏まえると、プレーヤーごとに次のような特徴が認められます。

  • カステラ: HNP杯ほどではないが勝負数に対する総手数が少ない短期決戦型。枚数クラス別では6~9枚の精度が高いほか、11~12枚クラスでのHNPを4度記録した。合成数出しが多い。
  • かいたいさん: HNP杯での多枚出しからoverKJQJにシフト。全プレーヤーの中で最多となる4回のoverKJQJを記録。グロタンカット23回は断トツ(2位はなきゃのさんの15回)。
  • マモさん: 全体の平均に近いプレースタイル。第3期Mathpower杯での4枚出し主体から6~9枚出しに精度よく出し、高い適応力を発揮している。
  • けんさん: 全出しの後のoverKJQJを勝負手に据えた4枚出しの比重が高く、overKJQJを出した回数はかいたいさんに次ぐ3回。ラマヌジャン革命を多用する。
  • ささらさん: HNP杯のときよりも多種多様の素数を出すようになった。出す枚数も若干増えている。
  • なきゃのさん: 7~8枚クラスで絵札の多い素数(QTJK素数など)を繰り出す。大会の最大素数(433612645678910111213)を記録。

グロタンカットを最も多く出した人”グロタンカッター”はかいたいさん(23回)、ラマヌジャン革命を最も多く出した人”革命家”はけんさん(6回)、単独ジョーカーを最も多く出した人”道化師”はししとうさん(4回)でした。

まとめ

HNP杯が終了した直後に行われた大会とあって、全体の傾向の変化はわずかでしたが、overKJQJの扱い方に関してはマスプライム杯2020オンライン予選終了直後にもりしーさんが指摘していた変化*8を検証できました。今後もデータ分析を通して戦略のトレンドを追っていこうと思います。

おまけ

素数大富豪イロレーティングを第2期蝉王戦の分まで計算いたしました。結果は以下の通りです。イロレーティングについてはこちらの記事を参照。
graws188390.hatenablog.com
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*1:全出しを2連発で決めるなど運に恵まれた結果、3-0で勝ちました。prime-meeting.hatenablog.com

*2:13と17は素数蝉の周期に由来

*3:第3期Mathpower杯とマスパーティ杯・一般の部については動画配信サイトで放送された試合を対象に集計。

*4:たとえば自分の手番で手札が(QKX)のときにKQX|X=K(他の3枚出しでもOK)と上がるかX[IN]→QKと上がるか選べる。

*5:嗜好の変化については大会を勝ち上がった人にも依るので難しい問題ではあります。

*6:13131313=13*73*101*137は奇数とKの消費が多くほとんど出せない。

*7:4649(よろしく)の関連で4643(よろしみ)があるのでその発展型。

*8:マスプライム杯2020オンライン予選でoverKJQJが1回しか出されなかったことについての考察。

twitter.com

【マスプライム杯2020】決勝大会のみどころ

11月22日(日)に開催される素数大富豪大会「マスプライム杯2020決勝大会」まであと1ヶ月となりました。9月に行われたオンライン予選を勝ち抜けた8名が素数大富豪の頂上決戦を繰り広げます。本稿では、決勝大会に出場する各プレーヤーとその注目ポイントを紹介いたします。

追記(2020年10月29日): 各プレーヤーの紹介動画が公開されました。
youtu.be

決勝大会の概要

マスプライム杯は2016年から2018年に開催された「Mathpower杯」、2019年に開催された「マスパーティ杯」の後継となる、素数大富豪界でいちばんの歴史と規模をもつ大会です。昨今の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の懸念から大人数で会場に集まっての大会ができないため、オンライン予選を行い、勝ち残った8名と運営のみが会場に集まっての決勝大会を行うという形で開催されることになりました。9月26日のオンライン予選には32名が参加し、激戦の結果決勝大会へ進出する8名が決まりました。

出場プレーヤー

オンライン予選を勝ち抜き決勝大会へ進出した8名を順に紹介いたします。全員と対戦がある私の経験も交えてまとめました。(敬称略、「」内はキャッチコピー、( )内はオンライン予選時のブロックおよび予選の対戦相手と結果)
追記(2020年10月29日): 紹介動画公開に伴いキャッチコピーを追加しました。
追記(2020年11月7日): 第2期蝉王戦が終了したので成績に追加しました。

素数大富豪一家の妹。全出しの頻度が比較的多く、実際に素数に当たることも多い。オンライン予選2回戦では父のしじみぷっちょと対戦し最後は全出しを決めて決勝大会進出を決めた。好きな素数の4410113をはじめとする4410(ししとう)素数や9QTから始まる素数*1をよく使う。理由は謎だが8629(ハム肉)の使用が多い*2。マスパーティ杯では準々決勝で私に勝利しベスト4。

  • かいたい 「四つ子の使い手」(Bブロック、1回戦・対ヤスナ(2-0)、2回戦・対岩淵夕希(物智)(2-0))

東京工業大学素数大富豪同好会所属(つまり私の後輩)。素数大富豪歴は1年少々と決勝大会進出者の中では浅いほうだが、すでに私と比べても遜色ない実力をもつ。相全出しの展開での対応力が高く、9432から始まる9~11枚出し素数や四つ子素数、overKJQJで手札を素早く減らすことができる。マスパーティ杯ベスト8、第2期蝉王戦準優勝。

  • 3TK 「穣に出会った男」(Cブロック、1回戦・対tatyam(2-1)、2回戦・対なきゃの(2-0))

北海道大学素数大富豪同好会所属。ブログ[素数大富豪]3TK's blogで自らの経験を基にした素数大富豪の上達のコツを紹介している。7枚出しや446(シズル)、3910(さくひま)から始まる素数をよく出す。マスプライム杯オンライン予選では24枚30桁の全出し112244555566788999101012111111(約11穣)を決めたほか、3282108110811211113799(22桁、四つ子素数)も出している。札幌杯・ライト級準優勝、HNP杯ベスト4。

  • キグロ 「ベスト8は譲らない」(Dブロック、1回戦・対タカタ先生(2-1)、2回戦・対T(2-1))

5分間で数学を語るイベント「日曜数学会」の幹事、数学好きが集まる部室みたいなもの「数学デー」の主催者の一人。素数大富豪小説「QK部 -1213-」の作者。一昨年の第3期Mathpower杯の解説記事では3枚出しが主な戦法と紹介したが現在も変わっていない模様。この2年で素数大富豪界全体のレベルは大きく上昇し、勝つためには全出しや多枚出しを仕掛ける相手への対応が避けられないが果たして。第1期Mathpower杯から3年連続でベスト4、マスパーティ杯ベスト8。

  • OTTY 「overKJQJのパイオニア(Eブロック、1回戦・対でこぽん(2-0)、2回戦・対ドゥー(2-0))

素数大富豪一家の兄で、北海道大学素数大富豪同好会の創設者。現在は社会人として関東で生活している。今や当たり前となった7枚出しやoverKJQJの先駆者。8QTから始まる素数をよく出す。オンライン予選ではKKQQJ=599*967*2267の合成数出しを決めたほか、配信の解説を担当した。第3期Mathpower杯ベスト8、第1期蝉王戦ベスト4、札幌杯・無差別級ベスト4、HNP杯ベスト4。

  • はち 「合成数の魔術師」(Fブロック、1回戦・対完全数(2-1)、2回戦・対カステラ(2-1))

北海道大学素数大富豪同好会所属。自作のプログラムで素数探索し、それらを使いこなすほか、合成数出しも得意とする。現在知られている最大の素数大富豪合成数(3^8*20K89^8≒1.775*10^46)の発見者*3。オンライン予選2回戦で私と対戦して勝利を収めての決勝大会進出。札幌杯・ライト級優勝。

  • もりしー 「3連覇中の絶対王者(Gブロック、1回戦・対onewan(2-0)、2回戦・対貧乏神博士(2-0))

北海道大学の近くのカレー店「カレーパンドラ」の店主で、「素数大富豪で遊ぼう会in札幌」の幹事。あらゆる方面の素数に精通するほか、運が味方になることも多い。マスプライムの前身のMathpower杯(第2・3期)・マスパーティ杯で3連覇。マスプライム杯では運営を務めるほか、プレーヤーとしても危なげなく決勝進出を決めた。第1期蝉王戦ベスト4、第1期雪華流星戦準優勝。

  • nishimura 「肩にラマヌジャン乗ってんのか!?」(Hブロック、1回戦・対けん(2-0)、2回戦・対きのこ(2-1))

Webでcpuと素数大富豪ができる素数大富豪FC2の作者。10月7日*4素数大富豪がきっかけで知り合ったでこぽんさんと入籍した。8~9枚出しを精度よく組み切って出す。第3期Mathpower杯ベスト8、第1期蝉王戦優勝、マスパーティ杯準優勝、第1期雪華流星戦ファイナル進出、HNP杯準優勝。

次に決勝大会進出者同士の過去の対戦成績を見てみましょう。

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(「レート」は私が独自に計算している素数大富豪イロレーティングのレート、「勝数」「敗数」「勝率」はセット単位でみた通算の値)
追記(2020年10月24日): 第2期蝉王戦・決勝トーナメントでかいたいさんとnishimuraさんが対戦し、3-2でかいたいさんが勝ちました。これで両者の対戦成績はかいたいさん4勝、nishimuraさん7勝となりました。
追記(2020年11月21日): マスプライム杯2020決勝大会前に予定されていた試合(第2期蝉王戦・第2期雪華流星戦)がすべて終了しましたので、表を最新のものに差し換えました。

4連覇を狙うもりしーさんに対し他のプレーヤーがそれを阻止できるかが本大会の注目ポイントですが、やはりというべきか、もりしーさんはほとんどのプレーヤーに勝ち越しています。このデータのみを根拠に断言はできませんが、決勝大会進出者の中には特段相性が悪いプレーヤーはいないように思います*5。そのもりしーさんに対抗できるプレーヤーの本命はnishimuraさん。昨年のマスパーティ杯・決勝のリベンジが懸かります。次いでOTTYさん。もりしーさんとの直接対決は長らくありませんでしたが、HNP杯・本戦トーナメント(2020年6月21日)でついに実現し、2-0でもりしーさんを下しました。もちろん、過去のデータ通りにことが進む保証はまったくありませんし決勝大会の進出者は実力者が勢ぞろいしていますから、他のプレーヤーによる番狂わせも十二分に期待されます。

決勝大会のルール

決勝大会のルールは開催要項に示されている通りです。オンライン予選との主な相違点はペナルティ・カードの流し方・時間に関する規定です。ペナルティの際、引くべき枚数より山札が少ない場合、オンライン予選では山札をすべて引くだけでしたが、決勝大会ではそれに加えて相手プレーヤーは山札が足りない分の枚数以下の枚数のカードを自由に手札から捨てることができます*6。カードの流し方については、流す機会ごとに流すべきカードをよくシャッフルしてから山札の下に追加します。時間に関しては、1勝負の制限時間(20分)が設けられ、ゲーム中に制限時間に達した場合にはその時点での手札すべてを使って素数をつくり大きいほうが勝ちとなる特別ルールにより勝敗を決定します*7
これらのルールの相違により、戦術が変わる可能性があります。オンライン予選でも見られましたが、最近は互いに全出し(たまたま素数で上がれることもあるがほとんど失敗する)し、手札が22~24枚の状態から始める戦法(以下「相全出し」と呼ぶことにします)がよく採用されます *8。互いに全出しすると山札は残り6~8枚となり、その後山札が尽きる状況が起きやすくなるので、山札が尽きたときのペナルティに関するこの規定に注意しながらの戦いになります。一度流れたカードは山札となりますが、相全出しでは最初の山札はゲーム開始早々になくなり流れたカードがドローやペナルティを経て再度手札になります。流れたカードがその順番を保ったまま山札になるオンラインのルールでは山札の推測が比較的容易で、ドローする・しないの判断などに役立ちましたが、シャッフルしてから山札にする決勝大会ではそれが難しくなります。さらに相全出しは勝負が長期化することが多く、オンライン予選では20分を超える勝負が発生しました(1回戦・完全数さん-はちさんの3本目の42分(84手)、2回戦・しじみぷっちょさん-ししとうさんの3本目の35分(52手)など)。決勝大会では制限時間にも気を遣う必要があります。これらのルールにプレーヤーたちがどのように対応していくかが私の個人的な注目ポイントです。

観戦方法

決勝大会は札幌のセミナールームで行われますが、如何せん、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の懸念から現地での観戦はできません。オンライン予選と同様に全試合の実況および解説がYouTube Liveにて配信されますので、そちらで観戦しましょう。
(運営の方へ)解説のお仕事ください。ちなみに当日は札幌にいます。
追記(2020年10月29日): 運営から連絡があり、お断りされました。オンライン予選と同じ布陣で行うそうです。文句は運営に言ってくれ

さらに本日10月21日*9、決勝大会応援キャンペーン@twitterが開始されました。キャンペーン告知ツイートを引用リツイートする形で決勝大会の「決勝戦の組み合わせ」と「優勝者」を予想しツイート、正解者の中から1名3名(11月17日変更)にささやかなプレゼントが当たるそうです。詳しくは公式HPをご確認ください。
※応募は締め切られました。
mathp-cup.localinfo.jp

ちなみに私はもりしーさん対OTTYさんでOTTYさんの優勝と予想。

お知らせ

素数大富豪オンラインで行われる素数大富豪トーナメント第2期雪華流星戦および第2回チャレンジカップのエントリーが現在募集されています。第2期雪華流星戦は11月9日(予定)開幕、来年3月までかけてタイトル「雪華流星」の座を争います。第2回チャレンジカップは過去の素数大富豪トーナメント(蝉王戦・雪華流星戦・HNP杯)の予選を通過したことがないプレーヤーが対象の大会です。チャレンジカップのみのエントリーはできないので注意しましょう。大会へのエントリーは下記の参加フォームにて必要事項を入力して送信するだけです。
※エントリーは締め切られました。
docs.google.com
現在素数大富豪トーナメント第2期蝉王戦・決勝トーナメント、第1回チャレンジカップが進行中です。素数大富豪オンラインで誰でも観戦できますので試合日程をチェックしておきましょう*10。試合日程やその他大会情報は素数大富豪トーナメント(twitter: @prime_meeting、ブログ: 素数大富豪トーナメント短信)で確認できます。

*1:兄・OTTYさんの8QT素数に対抗?

*2:HNP杯で3度、第2期蝉王戦で1度、マスプライム杯2020オンライン予選で1度使用。ちなみに第2期Mathpower杯ではみうらさんが8629を合計3度使っていました。

*3:出典:

twitter.com

*4:第3期Mathpower杯(2018年)が行われた日。きっかけはもちろん素数大富豪。「(素数との)出会い系ゲーム」といわれる素数大富豪がついに人の出会いをもつくりました。

*5:対象をプレーヤー全体に広げてももりしーさんが負け越しているのはOTTYさん(0勝2敗)、しじみぷっちょさん(0勝2敗)、けんさん(3勝7敗)、ささらさん(2勝3敗)のみ。

*6:たとえば5枚のペナルティを受けるべきところ山札が2枚しかない場合、山札をすべて(2枚)引いた上で、相手プレーヤーは3枚以下の枚数(0枚でもよい)で手札を任意に選択し、捨てることができます。捨てられたカードは公開しません。

*7:Mathpower杯・マスパーティ杯で適用されていたいわゆる「15分ルール」。手続きに複雑な箇所があるのでルールをよく確認しておきましょう。

*8:先手が初期手札をあまりよくなく戦えないと判断したり、組み切れなかった場合に全出しし、それに後手も全出しで応じます。枚数が多くなるため手札の偏りが小さくなると期待できますが、多枚出しやoverKJQJが飛び交う激しい戦いになります。

*9:1021は素数。第1期Mathpower杯でみうらさんが優勝を決めた素数です。motcho.hateblo.jp

*10:マモさんのブログまもめもからほとんどの試合を動画で見ることができます。

【マスプライム杯2020】2回戦 カステラ-はち (自戦記)

前回の記事に引き続き、9月26日に開催された素数大富豪マスプライム杯2020の自戦記です。

2回戦ははちさんとの対戦。はちさんは北海道大学素数大富豪同好会のメンバーです。全出しで手札を増やしながら、絵札主体の素数やoverKJQJを勝負手に手札を減らしていく北海道勢に多く見られるプレースタイルの他、10枚10桁素数のように余ったカードを一挙に処理することに長けています。1回戦では完全数さん(東京理科大学素数大富豪同好会)を激戦の末破っています。私とは過去に2度対戦があり、HNP杯・予選リーグ(2020年5月6日)*1でははちさんが勝利、第2期蝉王戦・予選リーグ(2020年8月22日)*2では私が勝利しています。

1本目(6:43:46~6:49:30*3 )

私の初期手札:(AA22557888Q)
先手になったものの偶数が多い上に絵札が1枚とかなり厳しい初期手札。相全出しスタートに持ち込んだほうがまだ戦えるか。しかし、相手は相全出しスタートに強いはちさん。いずれにしろ難しい戦いになりそう。

1. カ:D(7)57[GC]
シンキングタイムが終わるとすぐさまドロー。7を引く。A2をQと思えば57,57,888,QQQだから相当きつい。相全出しに誘導するが、現状3の倍数なのと多枚出しのあとの枚数の少なさで優位を築こうということでいったんグロタンカットを挟む。

2. カ:D(T)TQA2A288857,P11
再度ドローし、3の倍数を回避。全出しして手札を増やす。

3. は:D,11346991011121313,P12
はちさんはこちらの予想通り全出し。

4. カ:88QQ7
5. は:D,KKQTJ
6. カ:%
この時点で私の手札は(AA2223456777888TJQQKXX)。Xの1枚を9と思えばA~Kが全部揃っている。それに2とX=Tを足せば9876543AQ2TT2JKX(四つ子素数、9から3まで・いい夫婦尊ぶJK)が出せるのでX876543AA22TX2JK7|X=9|X=Tを除くと残りは(788QQ)。88QQ7で素数だったような気がするが確証はなく、21桁の素数を決めてから7桁で失敗は嫌なので先に88QQ7から出した。無事に通ったのでそれなら最初からX876543AA22TX2JK7|X=9|X=Tを出すべきだった。逃げの1手ではあったが、相手が手番をとろうとして絵札を必要以上に使い、組み切れずひょっこり手番が回ってくることもあるのでまだわからない。はちさんは5枚出し2番目に大きい素数のKKQTJを出す。5枚出し最大素数のKKQKJではないところを見ると自分から見えていないK・1枚は残り7枚の山札の中か。私はドローせずにパス。

7. は:D,11233444556689999101211,P16
はちさんは全出しで今出た88QQ7、KKQTJを含めて山札をすべて回収。手札の再構築を図るが……

8. カ:X876543AA22TX2JK7|X=9|X=T#
手番が私に回ってきた。用意していた17枚21桁の素数を出して勝利。

完璧とは言えないものの狙い通り21桁の素数を決めて先勝。

2本目(6:50:06~6:52:06)

私の初期手札:(25566788TTQ)
奇数が7の1枚しかない(5は偶数)。しかも後手だからはちさんの初手によっては何もできずに負ける可能性が十分にある。全出しならこちらも全出しで追いつくことができるが……

1. は:T9
2. カ:D(J)QT=JT*886*765*52,P12
はちさんは開始わずか7秒でT9を出す。これはほぼ後ろにKQ=2^5*4AないしKK=K*TA(KK=A3*TA)が控えていると考えてよい(まれに9枚出し素数の場合もあるが、はちさんはそのようなブラフはあまり使ってこない印象がある)。現状Q8=2^7くらいしか出しようがなくJをドローしたところで8Jどまりなので合成数出しカマトトでKKの合成数出しが揃うのに賭ける。

3. は:KQ=2^5*4A
4. カ:D(4)%
KQ=2^5*4Aを勝負手に2枚出しをして相手が合成数出しカマトトをしてきた場合、KKが返ってくることを懸念して作戦を変更することが考えられる*4が、はちさんは構わずKQ=2^5*4Aを出す。やはりこちらの初期手札にA,3,KがないとなるとカマトトしてもKKの合成数出しが揃う可能性は低いとみたか。実際、私の手札にはAが2枚、Kが2枚きたものの3やジョーカーは1枚もなく、KKの合成数出しの完成には3,K,Xのどれかが必要。ドローでも引けず、無念のパス。

5. は:6=2*3#
はちさんが合成数出しを決め1-1に。

何もできないままタイに戻される。ぴえん超えてぱおん*5

3本目(6:52:53~7:03:45)

私の初期手札:(AA2355678TJ)
絵札は2枚と少ないがこの3勝負でいちばんよい初期手札のように思える。57を除いてA2、A3をそれぞれQ、Kとみなせば残りは(568TJQK)。3の倍数でないのでうまく並び替えれば素数になる可能性がある。しかし、なかなか思い出せない。1枚違いなら654QTKJ、864QJTK、852QJTK、876TQKJ……、Q抜きなら586KTJ(586KA011で「小春かわいい」)があるのに……

1. カ:D(6)57[GC]
結局出てこなかったのでドロー。6を引きさらに混迷さを増す。結局わからずグロタンカットで時間を稼ぐ。

2. カ:D(Q)8856A3TA2QJ,P11
次のドローはQ。1本目と同じく全出しして相全出しの流れへ。

3. は:D,113111312121344789,P12
はちさんも全出しで応じる。12枚18桁ということは絵札は6枚。

4. カ:D(?)A729[RR]
5. は:[R]D,AXA3|X=0
6. カ:[R]D(?),%
ドローで手札は23枚。ここまでは1本目と同じだが、K、Xが1枚もなく劣勢もいいところ。Aは2枚しかないがラマヌジャン革命でどうにか状況の打開を図る。こちらに2が4枚あるので革命返しがそう簡単には起こらないのが唯一の希望か。はちさんはAとXを使ってAXA3|X=0。確実に手番をとってきた。私はパスするしかない。

7. は:[R]4456677889910101111121213131313,P13
はちさんは全出しで今流れたA729、AXA3を回収。

8. カ:[R]6658QQTTJ
9. は:[R]%%
手札の構成からみれば圧倒的な劣勢。偶数も多いが4が1枚しかないので1本目のような連番を活かした素数が出せない*6。覚えていた9枚出し*7で減らすが、返されるとあとに続くのが用意できていないので敗勢濃厚。はたして、はちさんは時間切れで手番は再び私へ。

10. カ:[R]D(6)95J423
11. は:[R]D(6)A23457
12. カ:[R]%
手札はこの時点で(A2223345689J)の11枚。いい合成数出しも思いつかないので、1枚引いて12枚にして6・6で出すことに。絵札のJを使いながらAを温存しようとして四つ子素数の95J423を出す。はちさんはA23457を出し手番をとろうとする。私の残り手札は(A22368)。A23457より小さい奇数はA22683、A22863しかないが、1001チェックで122683は11の倍数、122863は13の倍数であることがわかり出せない。カマトトしようにも引くのは58QQTTで全然嬉しくない*8。ということでここはパス。

13. は:[R]D(5)57[GC]
手番がはちさんに移り、いよいよ万策尽きた。あとははちさんが間違いなく上がればそれで終わり。まずはグロタンカット。

14. は:[R]988765443A
15. カ:[R]D(8)%
はちさん得意の10枚10桁。私はドローしても7枚なので返せない。

16. は:[R]A7X9|X=2[RR]
17. カ:D(Q)622A
18. は:KJQJ
19. カ:%
はちさんは手札に2がない状況からジョーカーを使って革命返し。私はドローしてからこれに返し、残り4枚。万が一手番が回ってきたとき上がれるように8Q83と残したがこれは形だけの応戦。はちさんは4枚出し最大素数KJQJでまったく寄せ付けない。

20. は:KQTKK
21. カ:%

22. は:66T9X|X=A#
はちさんが最後は四つ子素数で締め、決勝大会進出を決めた。

最初の段階で決めきれず、山札の引きにも恵まれなかったこともあり、敗北となりました。
まず(568TJQK)で出せる素数を知らなかったのが第1の敗因です。あとで調べたところ並び替えたときの最大素数は865QTJK。なきゃのさん(QTJKのつく素数を多く覚えている)だったら知っていたかもしれませんね。
他に(568TJQK)で出せる素数を知らないと判断したとき、他の手をもっと探すべきでした。とくにグロタンカットに固執してしまったのがよくなかった。グロタンカットをやめれば585A2TJA3(なきゃのさんが出していたので覚えていた素数)と67に分けられたので9枚出しはできましたし、67から出してKQやKKの合成数出しがあると思わせてカマトトさせるブラフも面白い。

こうして私はマスプライム杯2020を2回戦敗退という成績で終えました。
大変不本意な結果ではありますが、自らの実力不足と相手が一枚上手であったことは紛れもない事実です。はちさんをはじめ決勝大会へ進出した8名の皆様、決勝大会でもぜひ堂々たる戦いを見せてください。
また、オンライン予選を裏で支えてくださった運営の皆様、円滑な試合進行をサポートしてくださった審判の皆様、的確な実況で配信を盛り上げてくれた解説の皆様に心より感謝いたします。ことにOTTYさんには1本目の88QQ7以降の流れを即座に理解したうえでそれをわかりやすく解説したり、3本目の途中では私の最近の対戦*9に触れたりと初心者からコアなプレーヤーまで楽しめる解説をしてくださいました。厚く感謝を申し上げます。

さて、11月22日(日)に行われる決勝大会(オフライン)は東京または札幌のうち、より多くの決勝大会出場者がアクセスしやすい方で開催することになっていましたが、8名中5名が北海道在住者または実家が北海道の道外在住者ということで札幌で開催することになりました。新型コロナウイルス感染症感染防止の観点から、決勝大会に出場する8名と運営スタッフ以外は入場できませんが、YouTube Liveでの生配信および生解説がありますのでぜひ見ましょう。

P.S. 決勝進出者に運営スタッフと兼任している方が多い中、私は手持ち無沙汰です。何か仕事がありましたら協力できるかもしれないのでぜひご連絡ください。大学はほぼすべてオンラインなのでもう少し札幌にいるつもりです*10

追記(2020年10月3日): 対戦相手のはちさんも自戦記を書かれたのでそちらもどうぞ。
hachi-2718.hatenablog.com

*1:そのときのログとtwitter自戦記:

twitter.com

*2:そのときのログとtwitter自戦記:

twitter.com

*3:時間はアーカイブにおけるこの勝負の放送時間です。配信(YouTube)

*4:たとえば第2期蝉王戦・予選リーグの私とはちさんの対戦(脚注を参照)の1本目。

*5:タイ王国の国獣はアジアゾウ

*6:たとえば2,4,6,8,T,Qが各2枚ずつあればJK四つ子素数の8862Q42T64TQXなどがある。

*7:6658QQTTKも素数

*8:素数大富豪オンラインでは流れたカードはその並びを保ったまま山札となるので、初期の山札が尽きるとそれ以降の山札が推測できる。

*9:第2期蝉王戦・予選リーグでのししとうさんとの対戦(2020年9月3日)の3本目。革命下でししとうさんが大量の絵札を抱えている状況、手札を(A5668X)の6枚を残して出し切り、革命返しがきたところで656A=X^8|X=3で上がった。

twitter.com OTTYさんが「僕も1回やられた」というのは2020年9月17日に私とOTTYさんが素数大富豪オンラインで対戦したとき、革命下でOTTYさんがAとXをすべて持っている状況、手札に(222457)を残し、3枚出しがきたところで224=2^5*7で上がったもの(ログが残っていませんが印象に残っていたので覚えていました)。

*10:かれこれ7月からずっと帰省中。

【マスプライム杯2020】1回戦 カステラ-コロちゃんぬ (自戦記)

9月26日に開催された素数大富豪マスプライム杯2020オンライン予選の自戦記です。2回戦(対はちさん)と合わせて連投する予定なのでよろしくお願いいたします。

マスプライム杯は以前の記事で紹介した通り、2016年から2018年の「Mathpower杯」、2019年の「マスパーティ杯」の後継となる素数大富豪大会で、素数大富豪界で最大のものとなっています。
今年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の懸念から大人数での集会ができないため、このような大会の開催が危ぶまれていましたが、「オンラインで予選を行い、勝ち残った8人と運営のみでオフラインの決勝トーナメントを行う」という形で開催することになりました。

オンライン予選は素数大富豪オンラインを使って行われました。参加者は素数大富豪オンラインにログインした後、運営に指定された部屋で対戦します。対戦はZoomミーティングによって参加者内で共有されるほか、参加しない観戦者に対してはYouTube Liveにて配信が行われました。なるべくオフラインの対戦に近い状態で行う(先手・後手を交互にもつ、1分間のシンキングタイムを設ける)ために手番の取り扱いに関して素数大富豪オンラインでの通常のゲーム進行とは異なる部分がありましたが、大きな混乱は起きませんでした*1

オンライン予選には32名が参加しました。各4人からなる8つのブロック(A~H)に分かれ、各ブロックのトーナメントを勝ち上がった8人が決勝トーナメントへの出場権を得ます。対戦カードは予選当日に発表され、私はFブロックに割り振られました。Fブロックの他のプレーヤーは以下の通りです:

  • コロちゃんぬさん: 東京都内で高校数学教師を務めながら、趣味で数学のブログCorollaryは必然に。を執筆している。ロマンティック数学ナイトの講演者(ロマンティスト)*2素数大富豪大会には第2期Mathpower杯(2017年10月)から出場。せきゅーん杯(2018年1月)では予選リーグで私に2-0で勝っている*3
  • 完全数さん: 東京理科大学素数大富豪同好会所属。素数大富豪大会には第3期Mathpower杯(2018年10月)から出場。第2期蝉王戦(2020年7月~進行中: オンライン)では予選参加者でただ1人の6戦全勝を達成。過去に私との対戦はないが、第2期蝉王戦の決勝トーナメントで私がきのこさんに勝利すると完全数さんとの対戦が実現する。
  • はちさん: 北海道大学素数大富豪同好会所属。素数大富豪大会には第1期蝉王戦(2019年7月~10月: オンライン)から出場。札幌杯・ライト級(2020年2月: 一部オンライン)で優勝(タイトル: Jack)。私との対戦は過去に2度あり、セットによる通算成績は3勝3敗。

私とコロちゃんぬさん、完全数さんとはちさんがそれぞれ戦い、その勝者同士が対戦。その勝者が決勝トーナメントに進出します。

配信の画面では左で完全数さんとはちさんの対戦を実況とともに放送するなか、画面右で私とコロちゃんぬさんの対戦が始まりました。

1本目(3:40:43~3:43:44*4 )

私の初期手札:(A334677TJQK)
私が1本目の先手を得る*5。初期手札を目にした瞬間に4336が揃っていることに気づく。433677QKTJが素数だったような気がするが(実は素数)自信がなかったので他の手も考える。5枚出しなら勝負手は7KTQJで少し心許ないな*6と考えながらシンキングタイム終了。

1. カ:D(T)764QT3TK
2. コ:D,%
手番の時間になって私はすかさずドロー。Tを引く。絵札が5枚になりKTTQJが出せるが、残りがすぐには組み切れずさらに別の手を模索。T3TK(T3TA3とみたら「富田さん」)素数*7をこのところ復習していたこともあり、764QT3TK→A37Jで自信ありと勝負に行く*8。コロちゃんぬさんはドローするものの絵札が足りなかったのかパスを選択。

3. カ:A37J#
残りを出して上がり。

先手の優勢を活かして幸先よく1勝。

2本目(3:44:49~3:51:22)

私の初期手札:(245678JJKKK)
1桁は偶数ばかり、絵札はJとKだけのアンバランスな初期手札。3枚出しなら最大素数KKJがあるが残りで組み切るのは大変そう。今後のドロー次第かな。

1. コ:D,Q7
2. カ:D(3)JJ=8K*7K*5K*63,P10
1手目、コロちゃんぬさんはドローののち、時間いっぱいのところで2枚出し。こちらにはTKもQKもないのでこのままだとコロちゃんぬさんが優位に試合を進めることになりそう。状況はドローでも変わらず、合成数出しカマトトで手札を増強する*9

3. コ:T=2*5
4. カ:D(?)K
5. コ:%
コロちゃんぬさんは1枚出し。こちらは合成数出しカマトトで手札を増やしたもののジョーカーが1枚もないので、コロちゃんぬさんが持っている可能性が高い。Kを出してジョーカーを出させようとする。ところがコロちゃんぬさんはパス。ジョーカーはコロちゃんぬさんの手札にもなく、山札に眠っているのかもしれない。

6. カ:D(?)43A
7. コ:D,829
8. カ:KKJ
9. コ:D,%
私はドローして手札は23枚に。A~9がすべてあって9が3枚あることからJA23456788999の13枚出しを見つける*10。他にKKJがあるので3枚→相手→KKJ、JA23456788999、残り(4枚)で上がりという出し方が有力。組み切って3枚出しから出発。無事にKKJまで進む。

10. カ:JA23456788999
11. コ:D,%
そして13枚出し。コロちゃんぬさんはドローしても手札が7枚なのでパスする他ない。

12. カ:46TJ#
残りを出して上がり、2回戦進出を決めた。

初期手札の3枚のKがうまく活用できたのがよかったと思います。

*1:規定に従わなかったことによる反則負けが1回発生したのみ。

*2:プロフィールについてはコロちゃんぬ | ロマンティック数学ナイトを参照しました。

*3:5枚出しがほとんど知られていないころに369QKを出されたり、絵札が枯渇したところを1枚出しで攻められたりしました。私は予選リーグをセット差でギリギリ通過。その後決勝トーナメントを勝ち上がって優勝したのでした。(回想終わり)

*4:時間はアーカイブにおけるこの勝負の放送時間です。配信(YouTube)

*5:シンキングタイム中、画面には「コロちゃんぬの手番です」と表示されていますが、1本目は素数大富豪オンライン上でランダムに決まった最初の手番の1分間をシンキングタイムとして扱い、時間が切れて手番になる人(私)が先手としてゲームを始めます。

*6:他に出しようがなかったらこれで行く、くらい。

*7:実はちょくちょく出しています。たとえば3TKさんと対戦したときには2戦連続で出しました。【HNP杯】予選 3TK-カステラさん - [素数大富豪]3TK's blog

*8:なるよクイーン富田さん(764QT3TA3)→子泣き爺(K7J)なのでKとA3が逆ですね。

*9:札幌杯で「合成数出しは(故意に間違える場合でも)各素因数は場の数より真に小さく、かつ素因数場の計算結果の一の位と場の一の位が一致していなければならない」というルールが設けられていたのでここでもその規則に従いました(素数大富豪オンラインではそのような規則はないですが)。12枚全部にしなかったのは枚数が少ないほうが上がるスピードが若干早いかなと思ったからですが、単にうまく規則に合わせて出せなかったのもあります。

*10:九連宝燈という麻雀の役に倣った素数。1112345678999に1~9のどれか1つを加えた形で、昇順に並べたときに素数になるのは3を加えた11123345678999と8を加えた11123456788999の2つ。

「マスプライム杯2020」が開催されます!

2016年から2018年に開催された「Mathpower杯」、2019年に開催された「マスパーティ杯」の流れを汲む素数大富豪大会「マスプライム杯」が開催されます。これまで、「Mathpower」「マスパーティ」では2日間ぶっ通しの数学イベントの一企画としての開催(しかも深夜開催)でしたが、Mathpower杯から数えて5年目でついに独立したイベントとして明るい時間に行われることになりました。
現在、9月26日(土)のオンライン予選の参加者を募集中です(9月11日(金)エントリー締切)。参加を検討している方への参考のためにマスプライム杯の特徴をまとめてみました。

以下の文章はマスプライム杯のホームページを参考にまとめたものですが、内容が変更になる可能性がありますので、ホームページのほうも併せて確認することをお勧めいたします。
mathp-cup.localinfo.jp
YouTubeにて大会告知の動画が公開されています。
youtu.be

素数大富豪界の最大の大会

冒頭で述べたようにマスプライム杯はMathpower杯・マスパーティ杯を前身とする素数大富豪大会です。これまで、数学イベント「Mathpower」「マスパーティ」の深夜企画として熱戦が繰り広げられてきました。その軌跡を簡単に振り返りましょう(プレーヤー名は敬称略)。

第1期Mathpower杯

2016年10月5日(4日深夜)開催。参加者16名。素数大富豪を競技としてその技量を競う大会はこれがほぼ初めてで、1~3枚出しが多く出された。
優勝: みうら(ウイニングプライム: 1021)
準優勝: 鰺坂もっちょ
ベスト4: キグロ・ぶっち
www.nicovideo.jp

第2期Mathpower杯

2017年10月8日(7日深夜)開催。参加者28名。前年よりも素数大富豪の研究が進み2~4枚出しが主戦場に。もりしーさんはこの大会が初参加で、当時のダークホースであった。
優勝: もりしー(ウイニングプライム: 41011)
準優勝: みうら
ベスト4: かっち・キグロ
www.nicovideo.jp

第3期Mathpower杯

2018年10月7日(6日深夜)開催。参加者24名。私(カステラ)やOTTYさん、完全数さん、nishimuraさん、マモさんなどが初参加。OTTYさんの812102124139やキグロさんの48828125=5^11など、前年・前々年を大きく上回る素数合成数が出された。もりしーさんが2年連続優勝。
優勝: もりしー(ウイニングプライム: 4259)
準優勝: カステラ
ベスト4: マモ・キグロ
live2.nicovideo.jp
Mathpower全体のタイムシフトです。素数大富豪大会は12:20:21~18:58:53。

マスパーティ杯

2019年10月19日~20日開催。Mathpowerが開催されないことを受け有志により企画された数学イベント「マスパーティ」の一企画であった。深夜に行われる「一般の部」と早朝に行われる「ジュニアの部」の2部構成。
一般の部 参加者28名。阿武隈さん、かいたいさん、ししとうさん、ドゥーさん、なきゃのさんなどが初参加。合成数出しカマトトなどの新しいプレースタイルが登場した。もりしーさんが3年連続の優勝を飾った。
優勝: もりしー(ウイニングプライム: 7)
準優勝: nishimura
ベスト4: ドゥー・ししとう
ジュニアの部 参加者6名。深夜に行われる一般の部には参加できない高校生以下を対象として開催された。
優勝: tatyam(ウイニングプライム: 1063)
準優勝: たけのこ赤軍
Part 1
(一般の部)8:46:10~
Part 2
(一般の部)~6:01:36
(ジュニアの部)8:09:26~10:23:15

素数大富豪の大会は他にも開催されていますが*1、Mathpower杯・マスパーティ杯は開催実績があり参加者が多いなどの点で、素数大富豪界屈指の大会となっています。

完全ノックアウト方式

大会は2本ないし3本先取したほうがその試合の勝ち上がり。1回戦から1度敗れれば即敗退のノックアウト形式で行われます。そのため実力者といえども油断はできず、過去には番狂わせが何度も発生しています。運を味方にできれば、上位入賞、ひいては優勝も決して夢物語ではありません。

オンライン予選

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オフラインで行われる決勝大会は8名で争われ、決勝大会出場者と運営スタッフ以外は会場へ入場できないことになりました*2。決勝大会へ進む8名を決めるための予選が 素数大富豪オンラインで行われます。参加者は素数大富豪オンラインにログインした後、運営に指定された部屋で対戦を行います。対戦はZoomミーティングによって参加者内で共有されるほか、参加しない観戦者に対してはYouTube Liveにて配信が行われるようです*3。できるだけオフラインの対戦に近い状態で行うために、手番の取り扱い方に関して通常のゲーム進行とは異なる部分があります。そのため事前に大会の流れや試合の進行方法を確認するリハーサルが2回予定されています。

決勝大会

オンライン予選を勝ち抜いた8名は11月に東京または札幌*4のどちらかで行われる決勝大会に進むことができます(場所はオンライン予選終了後、決勝大会進出者の在住地により決定)。ルールは昨年のマスパーティ杯と若干の変更があります。1勝負の制限時間が15分から20分(状況により30分)に延長されるほか、制限時間になった場合の勝敗の決定に関して明確に定められました。おそらく最大の変更は、ペナルティの際に山札が尽きたときの処理でしょう。これまではペナルティで引くべき枚数より山札の枚数が少ない場合には、ペナルティを山札の枚数で打ち切っていましたが、マスプライム杯2020では山札をすべて引いた上で、本来さらに引くべき枚数以下の枚数で相手が手札を任意に選択して場に流せることになりました*5。最近は初手全出しや合成数出しカマトトによって山札が尽きる場面が少なくないのでこのルール変更によって戦法に影響がでるかもしれません。
昨今の新型コロナウイルス感染症の影響によりその場で観戦することはできませんが*6、大会の模様および解説はYouTube Liveで配信されるようです。

エントリー方法

エントリーはマスプライム杯ホームページからエントリーフォームに進み登録名・連絡用メールアドレス・アンケートなどに答えて送信すれば完了です。締切は9月11日(金)23:59です。
mathp-cup.localinfo.jp

マスプライム杯2020の今後の日程

(8月18日現在)
8月23日(日) 15:00~17:00 オンライン予選会 第1回リハーサル
9月11日(金) 23:59 マスプライム杯2020 エントリー締切
9月19日(土) 15:00~17:00 オンライン予選会 第2回リハーサル
9月26日(土) 13:00~20:00(予定) マスプライム杯2020 オンライン予選会
11月22日(日) 13:00~ マスプライム杯2020 決勝大会

*1:現在、素数大富豪オンラインにて第2期蝉王戦と第1回素数大富豪チャレンジカップが進行中です。

*2:他にも大会前の検温、会場内ではマスクの着用、消毒の徹底などの対策がとられる予定です。

*3:公平性を保つためにZoomミーティングやYouTube Liveでの配信を見ながら対戦したり、観戦者が対戦の部屋に入ることはできません。

*4:開催地は予定。たとえば決勝大会進出者が北海道在住者ばかりになった場合に北海道で行うっていう可能性ってあるんですかね? (追記: 2020年9月6日) 北海道在住者のエントリーが多いことから、決勝大会に進出したプレーヤーの在住地によって場所が決定されることが正式に発表されました。

*5:見慣れないルールですが、素数大富豪考案者のせきゅーんさんによる公式ルールに準ずるものになっています。ところで、選択して場に流すカードって公開するのでしょうかね? (追記: 2020年8月29日) 決勝のルールが改訂され、「公開しない」ことになりました。

*6:どうでもいいけど「感染」と「観戦」が同音のせいで変換に手間がかかる。

【HNP杯】データ分析

4月27日から2ヶ月あまりに渡って繰り広げられた素数大富豪トーナメントHNP杯が終了しました。決勝はnishimura蝉王との熱戦を経て、優勝することができました。イェーイ!!

私はHNP杯を予選リーグからすべての試合を観戦し、そのログ*1を取りました。せっかくなので集めたデータをいろいろ分析してみて気づいたことでもまとめようかなと筆を執った次第です。

基本情報

まずHNP杯の概要をおさらいしておきます。

  • 予選リーグ: 参加者20名を抽選で4つのリーグ(I・II・III・IV)に各5人ずつ振り分け、各リーグ内で2本先取の総当たり戦を行う。勝数の多い順(同数の場合はセット勝率の高い順)に各リーグの1位が総合1位~4位として本戦トーナメント進出。残りの16名を全体で順位付けし、上位8名が総合5位~12位として本戦トーナメント進出。
  • プレーオフ: 勝数とセット勝率で順位が決まらないときは該当者で1本先取・総当たりのプレーオフを行い、順位を決定する。1回の総当たりで決まらない場合は決まるまでやり直す。実際はリーグIVの1位決定戦(該当者3名・2回総当たり)、総合11位・12位決定戦(該当者3名・1回総当たり)が行われた。
  • 本戦トーナメント: 進出者12名を予選順位に応じて2ブロック(A・B)のパラマス式トーナメントに振り分け、2本先取の対戦を行う。各ブロックから勝ち残り者および最多勝利者(勝ち残り者を除く。複数いる場合は予選リーグの上位者)の2名、合計4名が決勝トーナメント進出。
  • 決勝トーナメント: 進出者4名によるトーナメント。Aブロック勝ち残り者とBブロック最多勝利者、Aブロック最多勝利者とBブロック勝ち残り者がそれぞれ対戦し、その勝者同士で決勝戦を行う。3本先取。

分析対象はHNP杯の全試合(62試合・139勝負)です。

  • 予選リーグ(40試合・94勝負)
  • プレーオフ(9試合・9勝負)
  • 本戦トーナメント(10試合・24勝負)
  • 決勝トーナメント(3試合・12勝負)

行動データ

ここ1・2年の素数大富豪のプレースタイルの変化は至るところで感じておりますが、定量的な分析は少ないのが現状です。そもそもどの指標を使えばそれを測れるかすら確立されていません。そこで、今回は単純に素数出しやグロタンカット、ペナルティなどの回数の多寡を見ることにしました*2。比較のため、第3期Mathpower杯(2018年10月)・マスパーティ杯・一般の部(2019年10月)*3のデータを参照します*4

f:id:graws188390:20200709234021p:plain
f:id:graws188390:20200709234037p:plain

まず目を引くのは素数出しの割合の減少です。第3期Mathpower杯から10ポイント以上も減少しています(58.4%→55.9%→46.6%)。パスの割合も10ポイント近く減少(24.0%→17.3%→15.0%)。代わりに増えたのはペナルティ(8.4%→15.1%→22.8%)*5。多枚出しされても安易にパスせず勘出ししたり、初期手札があまりよくないと思ったら躊躇なく全出しを敢行したり、相手のKJQJを警戒して合成数出しカマトトでoverKJQJを狙ったりなどのプレースタイルの変化が数値からも窺えます。グロタンカット等の特殊効果のある数を出す割合(GC・RR・IN合計で5.6%→8.4%→11.8%)も増えており、その有効性が今まで以上に発揮されました。合成数出しについてはoverKJQJの隆盛に伴って回数は増加しましたが、途中のペナルティ(とくに合成数出しカマトト)により手数も増加するため、割合としては微増にとどまりました(3.6%→3.2%→3.9%)。

出された数について

最近は各プレーヤーが自身の”My素数”ともいうべき素数をもっており、非常に多くの種類の数が出されています。そのような状況の中で複数回出される素数は何かしらの意味がありそうです。以下にHNP杯を通じて複数回出された数を回数ごとにまとめました。

f:id:graws188390:20200709234104p:plain

1位はダントツでグロタンカットの57。2位はラマヌジャン革命の1729、3位は単独ジョーカーで特殊効果のある3種で上位を独占しました。以下、

  • 13111211(4枚出し最大素数)
  • 131311(3枚出し最大素数)
  • 1313121011(5枚出し2番目に大きい素数)
  • 1313121311(5枚出し最大素数)
  • 13(1枚出し最大素数)
  • 1312(=2^5*41、2枚出し最大素数1213超え合成数)

と各枚数の最大クラスの素数合成数が続く結果となりました。これらの結果は昨年8月に私ともりしーさんとで行った百本勝負での結果とほぼ同じです*6。他に複数回出された数の傾向としては

  • 1枚出し: そもそも1枚出しは種類が少ないので1枚出しをたくさん行えば必然的に同じ数が何回も出てくることになります。なお表にはありませんが4(=2*2)・10(=2*5)も各1回出ており、2~13がすべて出たことになります*7
  • n枚2n桁: 上記の最大クラスには敵わないが勝負手として強力。
  • 各枚数最大素数を超える合成数: 上述の1312の他、1313(=13*101)・131312(=2^4*29*283)・13131011(=31*423581)・13131312(=2^4*3*273569)などが該当。とくに4枚出し最大素数KJQJを超える4枚出し合成数はoverKJQJ(通称「お化け」)と呼ばれ、2019年下半期ころから使われはじめています*8
  • 偶数消費型: 素数大富豪黎明期から使われ続けている定番素数。とくに8は扱いづらいのか8のつくものが多かったように思います。
  • 語呂合わせ素数: いわゆる”My素数”の典型。出す人が1人でも複数回出されたものが多く表にたくさん登場することになりました。773(「ななみ」3回のうち2回がななみさん)、2593(「2コックさん」2回とも二世さん)、1310111483(「かわいい石破さん」2回とも阿武隈さん)、3282108110811211113799(「みつばふたばひとは1QJJスナックx」(四つ子素数)2回とも3TKさん)など。

が挙げられます。

これから素数大富豪を強くなりたい人にはぜひこの表にある素数を覚えてもらいたいのですが、他人の”My素数”とかは癖が強すぎる場合があるので(もちろんそれらの存在を否定するつもりは一切なく、単に自分にとっては使いやすくても、他人にとっては扱いづらいものもあるという意味です)、複数”回”ではなく複数”人”が出した素数の一覧もつくってみました。それでは見てみましょう。

f:id:graws188390:20200709234123p:plain

各枚数の最大クラスの素数合成数や偶数消費型が多く残りました。これらは素数大富豪プレーヤー共通で使いやすい(使える)素数合成数として一定のお墨付きがあるということになります。この表の素数を覚えて、さらに”My素数”も用意すれば大会でもそれなりに戦えるかもしれません*9

プレーヤーごとの集計

プレーヤーによるプレーの差異を見るために各プレーヤーが出した数をまとめました。決勝トーナメントに進んだ4人の他、総手数が100を超えたかいたいさん、ささらさんを集計対象としました。

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(※ 枚数クラスごとの”○○/△△”は場にその枚数クラスに属する数が出されたのが△△回で、そのうち正しく出されたものが○○回であったことを表します。合成数出しカマトトは場の数の属する枚数クラスに計上しました。)
まず、全体の傾向としては、3~5枚クラスに山がある(2枚クラスは半分以上がグロタンカット)ものの、他の枚数も積極的に出されています。特に10~12枚クラスは初手全出しがあるためペナルティの割合が高くなっています*10。それを踏まえると、プレーヤーごとに次のような特徴が認められます。

  • カステラ: 勝負数に対する総手数が著しく少ない(つまり長期戦が少ない)。枚数クラス別では3枚にピークがあるが6~9枚も割合多く出す。ペナルティが少ないが、不確定な勘出しに消極的ともいえる。
  • nishimuraさん: 枚数分布は平均的だが6~9枚でも成功率が高い。出した61個の素数に重複が一切ないことから相当数の素数を覚えているよう。
  • OTTYさん: いわゆる「お化け」狙いの戦法。枚数は4~5枚に集中している。序盤に全出しし、手札を集めてから合成数出しで相手を圧倒していくスタイル。
  • 3TKさん: 合成数出しカマトトで手札を増やしてから一気に消費していく。使う素数に偏りがあるのか7枚と9枚が多くなっている*11
  • かいたいさん: ペナルティで手札を補充し枚数で押し切る点ではOTTYさんや3TKさんと共通しているが、こちらは9枚~11枚と枚数で勝負(全出しの枚数クラスと重なるためペナルティも多くなっている)。
  • ささらさん: カステラとは対照的に勝負数に対する総手数が多い(大会最多手数(89手)および次点(72点)はいずれもささらさんの対戦)。3~5枚出しの着実な攻めと一発逆転を狙う全出しの併用だが全出しは空振りが続いた。同じ素数を何度も使用する傾向がある。

ちなみにグロタンカットを最も多く出した人”グロタンカッター”はささらさん・3TKさん・かいたいさん・OTTYさん(各13回)、ラマヌジャン革命を最も多く出した人”革命家”は3TKさん(4回)、単独ジョーカーを最も多く出した人”道化師”はHokutoさん(5回)でした*12

まとめ

データ分析を通して、合成数出しカマトトやoverKJQJなど、昨年12月の素数大富豪研究会で注目された戦略が現在の素数大富豪界を席巻していることが再確認できました。多枚出しの割合も増え、”My素数”を使いこなすプレーヤーも数多く現れました。一方で、大会レベルの上昇に伴って、新規参戦のハードルが上がっているという懸念もあります。
素数大富豪トーナメントが始まり、オンラインでは大会が継続的に開かれるようになりました。HNP杯は7月5日に幕を下ろしましたが、次の大会の第2期蝉王戦は翌6日に対戦カードの抽選が行われ、まもなく予選リーグが開始します*13。第2期蝉王戦でもまたデータ分析を行うつもりです。今回の結果との比較が今から楽しみです。

おまけ

前回の記事で紹介したイロレーティングをHNP杯の分まで計算いたしました。結果は以下の通りです。
(レーティング推移のグラフにおける各プレーヤーを表す色は今後の便宜のため勝手ながらこちらで決めさせていただきました。)

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*1:ドローの内訳はないので完全な数譜ではない。なおログといっても丸太のことではないし、ましてや対数のことでもない。

*2:分析のたびに手法を変えるのは良くないのですが、データ量が増えて今までと同じだと面倒なので、大まかな傾向を掴むことを目的とするとこの方法が良さそう。

*3:ともに動画配信サイトで放送された試合を対象に集計。

*4:本当は第1期雪華流星戦(2019年12月~2020年4月・オンライン)も対象としたかったのですが、データ不備のため除きました(予選リーグ完全数さん-二世さん・完全数さん-マモさんのログがない。もし持っていて提供できる方がいらっしゃいましたら私までご連絡ください)。

*5: 第3期Mathpower杯の分析記事でペナルティの割合を10.9%としておりましたが、これはパスを分母に含めない場合の割合(38/342)です。合成数出しの割合についても同じ。

*6:詳細はこちら。graws188390.hatenablog.com

*7:1はルール上場に出すことができますが素数でも合成数でもないため必ずペナルティとなります。なおペナルティも含めて1が場に出たことは大会を通じてありませんでした。

*8:overKJQJについては3TKさんの記事にまとめられております。hana3101382283.hatenablog.com

*9:ただし、前述のとおり偶数消費型が8を使うものに偏っているなど参加者全体での偏りがあるためそこを補う必要があるように思います。

*10:なお全139勝負のうち初手全出しが30回(うち成功2回)、初手57→2手目全出しが10回(うち成功0回)、初手57→2手目57→3手目全出しが1回(うち成功0回)ありました。(全出しかどうかは枚数クラスで判断したため実際は全出しでなかった可能性のあるものも含みます)

*11:こちらの記事によれば9枚出しのMy四つ子素数を数多く抱えている様子。hana3101382283.hatenablog.com

*12:“道化師”というネーミングはおしるこさんが提案してくださいました。感謝申し上げます。

*13:まだ開幕カードが確定していませんが、私の最初の対戦は13日(対3TKさん)の予定です。

素数大富豪イロレーティングを計算してみた

素数大富豪プレーヤーにとって「自分は素数大富豪界の中でどれくらいの強さなのか」は興味の対象のひとつです(と本稿では仮定します)。たとえば相手を見つけて練習したいときに、自分より格上ないし格下とするよりも、同程度(できれば少し上)とする方が効果が高いように思います*1。本稿ではプレーヤーの実力を相対的な指標のひとつである「イロレーティング」を紹介し、実際に過去の大会結果から算出したレーティングを発表します。

イロレーティングとは

イロレーティングについてはWikipediaやtsujimotterさんの記事でも解説がありますが、念のためここでも説明します。イロレーティングはざっくりいうと

  • 勝敗比は積に関して推移的であるという仮定のもとに
  • 平均的なプレーヤーとの勝敗比を表したもの

です。「勝敗比は積に関して推移的である」とは任意の3人のプレーヤーX, Y, Zに対し、XのYに対しての勝敗比(odds)を O_{XY}などと記すとき、 O_{XZ} = O_{XY} \times O_{YZ}が成り立つことをいいます。たとえば、XがYに対して勝率75%( O_{XY} = 3)、YがZに対して勝率70%( O_{YZ} = 7 / 3)なら、XのZに対しての勝率は87.5%( O_{XZ} = 3 \times 7 / 3 = 7)となります。2人のプレーヤーとそれぞれの「平均的なプレーヤーとの勝敗比」が与えられれば、この推移性を使って両者の間の勝敗比が計算できます。
原理的にはこの「平均的なプレーヤーとの勝敗比」をそのままレーティングにしても問題ないわけですが、人間にとってはかけ算よりもたし算のほうが扱いやすいので対数をとって、値がわかりやすい範囲に収まるように正規化します。具体的には、プレーヤーXの平均的なプレーヤーとの勝敗比を O_{X0}としたとき、Xのレート R_X R_X = 1500 + 400 \times \log_{10} O_{X0}で定義されます。すなわち、平均的なプレーヤーのレートは1500で、平均的なプレーヤーとの勝敗比が10のプレーヤーのレートは1500+400=1900です。これによって、ほとんどのプレーヤーのレートは1000~2000の間になり、2人のプレーヤーの実力差は両者のレートの差でわかります。
実際のレーティングは次のように計算されます。まず、全員のレートを1500とします。次にプレーヤーX, Yが N回対戦し、Xの W (N-W)敗であったとします。このとき、Xの新しいレート R’_X \Delta = K (W - N P_{XY} )として R’_X = R_X + \Deltaとなります。ここに Kはあらかじめ決めてある正定数、 P_{XY}はレートから期待されるXのYに対する勝率で、 P_{XY} = 1 / ( 10^{(R_Y – R_X) / 400} + 1 )です。Yに対しても同様にレートを更新します。この手続きを繰り返し行うことで、各プレーヤーのレートは適正なレートに収束していきます。

レートの計算結果

素数大富豪のイロレーティングの計算はすでにtsujimotterさんの記事(参考文献に記載)や素数大富豪トーナメント*2でも行われていますが、私は次の方針でレートを計算しました。

  • 対象はこれまでの素数大富豪大会の全試合*3
  • 勝敗は各勝負ごとに判定する。
  • 前節における正定数 Kは32とする*4。レートの変動値 \Deltaは四捨五入により整数に丸め、レートが常に整数になるようにする*5
  • 試合順は原則として行われた順とする*6。ただし、トーナメントの1回戦同士など交換してもレートの計算に影響のない場合は集計の便宜のために入れ換えた箇所がある。
  • 同一のプレーヤーが異なる大会で異なる名前で参加している場合は同一プレーヤーとみなして集計する*7

各大会の試合結果一覧です*8

  • 第1期Mathpower杯(2016年10月5日) 参加者16名(うち有効な参加者12名) 10試合25勝負(放送試合のみ)
  • 第2期Mathpower杯(2017年10月8日) 参加者28名(うち有効な参加者13名) 11試合27勝負(放送試合のみ)
  • せきゅーん杯(2018年1月14日) 参加者16名 34試合79勝負(3人対戦によるプレーオフは除く)
  • 第3期Mathpower杯(2018年10月7日) 参加者24名 23試合67勝負
  • 第1期蝉王戦(2019年7月6日~10月14日) 参加者22名 51試合129勝負
  • マスパーティ杯・一般の部(2019年10月19日~20日) 参加者28名 27試合67勝負
  • マスパーティ杯・ジュニアの部(2019年10月20日) 参加者6名 5試合12勝負
  • 第1期雪華流星戦(2019年12月8日~2020年4月19日) 参加者24名 86試合244勝負
  • 札幌杯・無差別級(2020年2月29日) 参加者16名 15試合40勝負
  • 札幌杯・ライト級(2020年2月29日) 参加者11名 10試合24勝負

合計 参加者76名 272試合714勝負

計算結果は次のようになりました*9

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上位10名についてのレーティング推移(横軸: 大会)、および30勝負以上のプレーヤー(18名)のレーティング推移(横軸: 勝負数)は次の通りです。

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考察

試合数・ゲーム数とレートの収束性

札幌杯の開催や素数大富豪トーナメント(蝉王戦・雪華流星戦)の結果も集計対象にしたことによりデータ量はtsujimotterさんのときの約2.7倍になりました。
レーティング1位のマモさんのレート(1735)は平均的なプレーヤーに対する勝率が 1 / (10^{(1500-1735)/400}+1) \approx 0.795である実力に相当します。マモさんと対戦した平均的なプレーヤー(レート)に対する勝率は 1 / (10^{(1590.4-1735)/400}+1) \approx 0.697と期待されます。一方、実際のマモさんの勝率は0.609ですので、マモさんの現在のレートは過大に評価されていると考えられます。レーティング2位のもりしーさんでは、対戦した平均的なプレーヤーに対する期待勝率は 1 / (10^{(1579.2-1703)/400}+1) \approx 0.671、実際の勝率は0.719なので、もりしーさんのレートは過小評価です。他の対戦実績が多いプレーヤーについてもレートに基づく期待勝率と実際の勝率の差異が大きい場合がありました。しかしながら、勝負数を横軸にとったレーティング推移のグラフではマモさんが最近の連勝でレートが上昇し続けているなどの例外はあるものの、レートの長期的な上昇・下降は落ち着いてきたように見えます。これは、レートが適正レートに近づいているものの直前の対戦結果に影響を受け乱高下しているものと考えられます*10。原因は定数 Kが大きいことにあります。この定数は大きいほど適正レートに収束するのが早くなる一方で、そのあともレートが上下に大きく動いてしまいます。対策として、プレーヤーの対戦回数に応じて定数 Kを個別に変化させる手法があるようです。

対戦カードの妥当性

対戦したプレーヤーの平均レートを求めると、ほとんどのプレーヤーが1500を超えています。これはアクティブなプレーヤーの平均レートが高いことから説明できます。特にトーナメントでは優勝者以外は負けて終了するので単発のプレーヤーのレートが1500を超えることはほとんどありません。全プレーヤーの平均レートは常に1500であることを考慮すると、アクティブなプレーヤーのレートは全体的に上昇します。しかしながら、レーティング下位プレーヤーの対戦平均レートも高いことから、実力差が大きな対戦カードが多いことが示唆されます。実力が拮抗した者同士の対戦を増やす方法としては実力に応じた階級制を採用する方法が考えられます。実際に階級制が採用された札幌杯*11では以前の大会よりも緊迫した戦いが多かったように思います。

勝敗比は積に関して推移的であるという仮定の妥当性

イロレーティングの計算の前提である「勝敗比は積に関して推移的である」という仮定を検証するためにレーティングから期待される勝率と実際の勝率を比較します。レート差を40ごとに区切り、各区間におけるレート上位者の勝率とレートから期待される勝率と比べました。結果は次の通りです。

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レートから期待される勝率は実際の勝率とは概ね一致しているといえます。少なくとも、素数大富豪において勝敗比は積に関して推移的であるという仮定に反する結果は出てきませんでした。とはいえ以前twitterでマモさんが言及していたように、素数大富豪は実力差が大きくてもいわゆる「番狂わせ」が起きる可能性が一定程度あり囲碁や将棋、チェスなどとは異なる特徴を有しているので、「勝敗比は積に関して推移的である」という仮定よりもふさわしい仮定があるかもしれません。



まとめ

素数大富豪における戦績の評価基準としてイロレーティングとその計算結果を紹介し、その妥当性について検討してきました。検討の結果、ある程度の有用性は認められるものの改善の余地があることがわかりました。

付録

個人での研究に活用していただけるようにイロレーティングの計算に用いたデータを公開いたします。もし間違いなどがありましたらご連絡ください。

素数大富豪EloRating - Google スプレッドシート

*1:素数大富豪は競技人口が少ないので同じ相手と練習せざるを得ないのですが、よりたくさんの人が素数大富豪をするようになればこのような方法も選択肢になりますね!

*2:新レーティング - Google スプレッドシート

*3:ただし、すぐ下にあるように初期の大会についてはデータ不足のため一部除いています。大会に参加しているものの有効な試合がないプレーヤーは集計から除きました。

*4:他のレーティングでも採用されることが多い値。

*5:計算当初は丸めずに計算していましたが端数処理のレートへの影響が最大でも2程度とごく小さいことや他の競技で使用されているレートが整数値のものが多いことから、端数処理をすることにしました。

*6:せきゅーん杯・予選リーグはリーグごとに対戦順、札幌杯は第1期雪華流星戦の途中(59試合/86試合消化)で行われたので雪華流星戦(59試合目まで)→札幌杯→雪華流星戦(60試合目以降)の順になります。

*7:この問題はtsujimotterさんも指摘していますが、完全に解決することは困難です。合算に漏れがある、あるいは同一の名前で異なるプレーヤーが参加している可能性があります。

*8:一部tsujimotterさんのデータと食い違っていますが一次資料(https://live.nicovideo.jp/watch/lv303564022https://twitter.com/tsujimotter/status/952444511468191744の画像)から判断するとこちらが正しいように思います。

*9:以前ツイートしたものと同じものです。https://twitter.com/graws188390/status/1251859349074407424

*10:1回の対戦でレートが60以上変動する場合がありました。また、最後の試合がマモさんともりしーさんの直接対決でレートがそれぞれ41変動しており期待勝率の変動も大きいものとなっています。

*11:無差別級とライト級の2階級。ライト級は過去の3大会(第3期Mathpower杯・第1期蝉王戦・マスパーティ杯(一般の部) )でベスト8以上の成績を収めたプレーヤー以外が参加できた。無差別級参加者の平均レートは1546.0、ライト級参加者の平均レートは1477.3(大会開始前の値)。