初代素数王の備忘録

KA4T6X|X=9(カステラくん)は素数。

【第1期鼎聖戦】データ分析

2022年4月から2023年3月にかけて行われた第1期鼎聖戦の結果報告とデータ分析をします。

基本情報

鼎聖戦は私が主催する素数大富豪史上初の3人対戦による素数大富豪大会です。2021年11月から2022年2月にかけてルールの確認と調整のためにプレ大会を開催し、今期は第1期として開催しました。概要は以下の通りです(プレ大会とほぼ同様)。

  • 予選リーグ: 参加者9名がそれぞれ9試合を行う。合計ポイント上位3名が決勝戦進出。各試合は同一の3名による12セットにより構成される。1セット勝利するごとに1ポイント(pt)を得る。試合終了時、ポイントの多い順に1位4pt・2位2pt・3位0ptの順位点を得る(同点の場合は当該プレーヤーで順位点を等分する)。対戦カードと各セットの親(1番手)は事前に抽選により決定する(2番手・3番手は素数大富豪オンラインのシステムによってランダムに決定される)。
  • 勝戦: 予選リーグの上位3名が予選リーグのポイントを半分(小数点以下の端数は切り上げ)持ち越し試合を行う。第24セット以降において、セット勝利者がそれまでの合計ポイントで単独1位になった場合に試合は終了しその者が優勝者となる。そうでない場合は試合は続行する。

分析対象は第1期鼎聖戦の全試合(27試合・338セット)です(予選リーグ途中で大会離脱者が生じたため一部対戦カードの変更を行いました)。

  • 予選リーグ(26試合・312セット)
  • 勝戦(1試合・26セット)

プレ大会のデータ分析記事はこちら。
graws188390.hatenablog.com

行動データ

2人対戦の大会や鼎聖戦プレ大会のデータと比較して行動の分布の違いを見ます。比較対象は以下の通り。今回は大会の系統ごとにまとめました。

  • MPC(初心者~上級者・2人・一部オフライン・時間打ち切り、山札枯渇時のペナルティにルール変更*1 )
    • マスプライム杯2021(2021年7月(オンライン予選)・9月(決勝大会))
    • Mathpower杯2022(2022年9月・放送対戦のみ対象)
    • マスプライム杯2022(2022年8月(オンライン予選)・10月(決勝大会))
  • 素数大富豪トーナメント(中級者~上級者・2人・オンライン)
    • 第2期HNP杯(2021年6月~9月)
    • 第3期蝉王戦(2021年11月~2022年10月)
  • はち杯・ヘビー級(上級者・2人・オンライン・同一カードで一定時間対戦を繰り返す)
    • 第1回(2021年12月)
    • 第5回(2022年10月)
    • 第8回(2022年12月)
  • 鼎聖戦(中級者~上級者・3人・オンライン)
    • プレ大会(2021年11月~2022年2月)
    • 第1期(2022年4月~2023年3月)
2021年以降に行われた主要な大会における行動割合

プレ大会のデータ分析でも指摘しましたが、3人対戦では2人対戦と比べて素数出しの割合が少なくなり、パスの割合が多くなります。パスの割合が増えるのは、勝負手が流れるためのパスの回数が人数の分だけ増える、2人だけでラリーをして残りの1人はパスをし続けるという状況が発生するためで、当然の事象とも言えます。おそらく通常の大富豪でも同様の傾向があると思われます*2。そこで、もう少し踏み込んでパスを除いた行動の分布を比較します。具体的にはパス以外の各行動について、割合を(行動の回数)/(総手数)ではなく(行動の回数)/( (総手数)-(パスの回数))で計算します。結果は次のようになります。

パスの影響を除いても素数出しは割合が少なく、ペナルティが多いということがわかります。3人対戦ではカマトトや勘出しのリスクが低いのでペナルティが増えやすい状況になっています。とくに相手にドローさせないための山札回収がしやすくなっています。他の行動については、グロタンカットの割合がプレ大会から減少、単独ジョーカーの割合がプレ大会から増加していますが、2人対戦の大会との実績とは乖離していないので単にプレ大会の実績が外れ値気味だっただけかもしれません。慣れない3人対戦の大会で最初はみな手探り状態だったのが元のスタイルに戻りつつある、プレ大会はマリンさんが不在だったなどの理由があるかと思います。

出された数について

今大会で多く出された数の変化を見ます。2回以上出された数は以下の通りです。

プレ大会と比べると上位10種の顔ぶれが5(1回・77位タイ→20回・10位)と1313121311(6回・9位タイ→19回・11位)の入れ替わりを除いて同じです。1枚出しが増えたので該当する数および単独ジョーカーの順位が上がっていますが特殊・各n枚だしの最大クラスの素数合成数・1~2枚出しが多く出されている傾向はいつも通りです。
変化したものとその要因について考えれられることを挙げてみます。

  • 13111211の増加……プレ大会では「3人対戦では初手の二刀流戦法を他の2人が協力して止めることができる(中略)ため、初手の4枚出しが敬遠され」減少したとしたが、中終盤において相手の組み切り阻止のために先にKJQJを出すという方法が有力で、利用場面が増えた。
  • 複数回出される1~3枚出しが多い……データが多いので種類が限られる低枚数出しは何度も出される。
  • 目新しい素数合成数がほとんど登場していない……多枚出しについてはn枚2n桁を除けば種類が膨大で覚えているものも個人によって違うため同じ数を複数回出す難易度が高い。さらにデータが増えれば登場するようになるかもしれない。

プレーヤーごとの集計

プレ大会と同様に各種指標を計算しました。

プレーヤー・枚数ごとの素数出し・合成数出し・ペナルティの回数

(ロベピさんは黒子として対戦した試合(1試合)の戦績を含む)
ドロー率=(ドローした回数)/(総手数)
素数出しの平均枚数=(素数出しで出した枚数の合計)/(素数出しの回数)
合成数出しの平均枚数=(合成数出しで場に出した枚数の合計)/(合成数出しの回数)
素因数場の平均枚数=(合成数出しで素因数場に出した枚数の合計)/(合成数出しの回数)
ペナルティの平均枚数=(ペナルティを受けた際に場・素因数場に出した枚数の合計)/(ペナルティの回数)

グロタンカットを最も多く出した人”グロタンカッター”はマリンさん(38回)、ラマヌジャン革命を最も多く出した人”革命家”はマリンさん(7回)、単独ジョーカーを最も多く出した人”道化師”はマリンさん・ロベピさん(各8回)でした。マリンさんが三冠達成。

まとめ

プレ大会での考察と真逆になっている事象があったのでもっと長いスパンで観察していきたいと思います。3人対戦ならではの戦法についてもいつかはまとめたいなと思っているのですが、もう少しお待ちください(素数大富豪研究会で話せたらいいなあ)。
元のデータについてはこちらで公開しております。
docs.google.com

現在第2期鼎聖戦のエントリー募集中です。ぜひご参加ください。締切は3月29日(水)です。
docs.google.com

*1:ペナルティ時に引くべき枚数より山札が少ない場合、相手プレーヤーは足りない枚数以下の任意の手札を捨てることができる。実はこちらのルールが正式とされている。

*2:そのようなデータがありましたら私に教えてください。