初代素数王の備忘録

KA4T6X|X=9(カステラくん)は素数。

【マスプライム杯2021】決勝大会のみどころ

9月25日(土)に開催される素数大富豪大会「マスプライム杯2021決勝大会」まであと4日となりました。7月に行われたオンライン予選を勝ち抜けた8名による素数大富豪の頂上決戦です。本稿では、決勝大会に出場する各プレーヤーとその注目ポイントを紹介いたします。

決勝大会出場者紹介動画が公開されております。

www.youtube.com

決勝大会の概要

マスプライム杯は2016年から2018年に開催された「Mathpower杯」、2019年に開催された「マスパーティ杯」の後継となる、素数大富豪界でいちばんの歴史と規模をもつ大会で、2020年から現在の名前になりました。昨年に引き続きオンライン予選を行い、勝ち残った8名が決勝大会に駒を進めます。決勝大会は当初は実地(横浜)で行われる予定でしたが、昨今の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴いオンラインでの開催となりました。7月17日のオンライン予選には31名が参加し、激闘の末決勝大会へ進出する8名が決まりました。

当ブログではMathpower杯・マスパーティ杯・マスプライム杯を総称して「MPC」と記します。

出場プレーヤー

オンライン予選を勝ち抜き決勝大会へ進出した8名を順に紹介いたします。(敬称略、「 」内は動画内で紹介されているキャッチコピー、( )内はオンライン予選時のブロックおよび予選の対戦相手と結果)

  • OTTY 「8QT素数で優勝を狙う」 (Aブロック、1回戦・対ななみ(2-0)、2回戦・対巨大なナメクジ(2-0))

素数大富豪一家の兄*1で、北海道大学素数大富豪同好会の創設者・初代会長。現在は社会人として関東で生活している。今や当たり前となった多枚出しやoverKJQJを始めたのがOTTYさんである。8QTから始まる素数をよく出し、マスプライム杯2020では8QTJKQ3456789AA2359QT7(22枚29桁)の素数を出した*2。オンライン予選ではすべてのセットを短手数で難なく勝利し、2年連続の決勝大会進出。また配信の解説を担当した。第3期Mathpower杯ベスト8、第1期蝉王戦ベスト4、札幌杯・無差別級ベスト4、第1期HNP杯ベスト4、マスプライム杯2020準優勝、第2期雪華流星戦ファイナル進出。

  • はち 「三度の飯より合成数 (Bブロック、1回戦・対ロべピ(2-1)、2回戦・対タカタ先生(2-1))

北海道大学素数大富豪同好会会員。自作のプログラムで素数探索し、それらを使いこなすほか、合成数出しも得意とする。即興で掛け算の等式をつくり、因数が素数であることを賭けて出す「HNC戦法」*3の唯一の使い手。現在知られている最大の素数大富豪合成数(3^8*20K89^8≒1.775*10^46)の発見者*4。オンライン予選2回戦ではタカタ先生の「タカタシステム」に翻弄されながらもフルセットの末制し2年連続の決勝大会進出。札幌杯・ライト級優勝、マスプライム杯2020ベスト8。

  • nishimura 「cpuの中の人」 (Cブロック、1回戦・対二世(2-0)、2回戦・対カステラ(2-1))

Webでcpuと素数大富豪ができる素数大富豪FC2の作者。8~9枚出しを精度よく組み切って出す正統派プレーヤー*5だが、最近は全出しの風潮に合わせてか十数枚の超多枚出しも出すようになった。オンライン予選は2回戦で私と対戦して勝利し2年連続の決勝大会進出。第3期Mathpower杯ベスト8、第1期蝉王戦優勝、マスパーティ杯準優勝、第1期雪華流星戦ファイナル進出、第1期HNP杯準優勝、マスプライム杯2020ベスト8、第2期雪華流星戦ファイナル進出、第2期HNP杯ベスト4。

  • ささら 「北海道のニューホープ (Dブロック、1回戦・対tsujimotter(2-0)、2回戦・対かいたい(2-0))

北海道大学素数大富豪同好会現会長。OTTYさんとは師弟関係にある(OTTYさんが師匠、ささらさんが弟子)。全出しが多めで素数に当たることもよくある。相全出しになるとラリーで試合を長引かせチャンスを窺う*6。オンライン予選2回戦ではマスプライム杯2020ベスト4のかいたいさんを破り決勝大会進出を決めた。大会における上位入賞の経験はないが、過去にはOTTYさん・nishimuraさん・もりしーさんの各者に勝利の経験があり台風の目になれるか。

  • マリン 「オンライン時代の申し子」 (Eブロック、1回戦・対ヤスナ(2-0)、2回戦・対完全数(2-0))

関東在住の高校3年生。素数大富豪を始めてわずか半年で全出し戦法を習得し*7、自身2度目の大会となった第2期雪華流星戦では強豪相手に次々勝利し優勝。「素数大富豪界の藤井聡太」と評される。相全出しに持ち込みoverKJQJやn枚2n桁素数によって大きさで制する素数大富豪界随一のパワー系プレーヤー。もりしーさんに匹敵する強運の持ち主で相全出しにするための初手全出しで上がってしまうことも。オンライン予選2回戦では先手番のシンキングタイム中に勝利宣言を行い、グロタンカットからの9枚出しで勝利。先日には13連勝*8(もりしーさん*9と並び最多タイ)、セット12連勝*10(2位タイ*11 )の記録を樹立。第2期雪華流星戦優勝、第2期HNP杯準優勝。

ブログ公開当初、マリンさんのセット12連勝を「最多」と紹介しましたが、改めて検証した結果、上記の通り2位タイの記録であることが判明いたしました。お詫びして訂正いたします。

  • 巽 「初出場でベスト8進出」 (Fブロック、1回戦・対yoko(2-0)、2回戦・対コロちゃんぬ(2-0))

近畿在住の大学生*12。今大会が初の大会参加どころか初の実戦というが、4枚出しをそつなく出し、負けなし・ペナルティなしで決勝大会進出を決めた。

追記(2021年9月22日): 巽さんはマリンさんの知り合いで、マリンさんの誘いを受けて大会にエントリーしたそうです。
marinnonikki.hatenablog.com

  • もるぴか 「運も実力の内」 (Gブロック、1回戦・対しじみぷっちょ(2-0)、2回戦・対3TK(2-1))

東京理科大学素数大富豪同好会会員。これまでの大会ではなかなか実績を挙げられていなかったが、オンライン予選2回戦ではマスプライム杯2020ベスト4の3TKさんを相手に初手HNPとKJQJの組み切りで勝利。第1回素数大富豪チャレンジカップ準優勝。

  • もりしー 「優勝しかしたことない」 (Hブロック、2回戦・対なきゃの(2-1))

素数大富豪で遊ぼう会in札幌」*13の幹事。あらゆる方面の素数に精通するほか、運が味方になることも多い。Mathpower杯(第2・3期)・マスパーティ杯・マスプライム杯2020とMPCを4連覇。マスプライム杯では運営を務める。プレーヤーとしては唯一のシードとして出場、2回戦のなきゃのさんとの対戦でフルセットになるも最終セットは先手で難なく組み切り勝利、2年連続の決勝大会進出。第1期蝉王戦ベスト4、第1期雪華流星戦準優勝。

次に決勝大会進出者同士の過去の対戦成績を見てみましょう。

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(「レート」は私が独自に計算している素数大富豪イロレーティングのレート、「勝数」「敗数」「勝率」はセット単位でみた通算の値)

5連覇のかかるもりしーさんに注目が集まりますが、対抗馬としてマリンさんを挙げないわけにはいかないでしょう。他の決勝大会進出者のうち対戦経験のある4名にはいずれも勝ち越しており*14、先日まで行われていた第2期HNP杯では決勝でカステラに敗れるまで予備予選から通じて全勝という充実ぶりです。マスプライム杯2020準優勝のOTTYさん、マスパーティ杯準優勝のnishimuraさんは実績・実力ともに申し分ないプレーヤー。ともにもりしーさんへのリベンジをかけた戦いになることでしょう。このような構図に他のプレーヤーがどれだけ割り込めるか、目が離せません。

決勝大会のルール

決勝大会のルールは開催要項に示されている通りです。オンラインでの開催となったため、オンライン予選と同様に素数大富豪オンラインでのルールに従います。実地での開催となった場合との違いは山札が尽きたときのペナルティの扱い(ペナルティは山札の枚数で打ち切る)・カードの流し方(流すべきカードが生じるたびにカードを順序を保ったまま山札の下に加える)*15・時間に関する規定(1勝負の制限時間は無し)です。さらに、オンライン予選と異なる点として1本目の先手・後手をあらかじめ決めることになりました(準々決勝ではトーナメント抽選時に決定、準決勝・決勝では試合開始前に決定)。

観戦方法

オンライン予選と同様に全試合の実況および解説がYouTube Liveにて配信されますので、そちらで観戦しましょう。オンライン予選とは異なり試合中のプレーヤーの手札が見られる仕様になるそうです。
(運営の方へ)決勝大会の直前で慌ただしい状況かと存じますがゲスト解説に呼んでいただけないでしょうか。9月19日に第2期HNP杯で優勝し2連覇達成、巽さんを除く決勝大会進出者7名と対戦経験あり、1000勝負以上の数譜・ログを所有し分析で得られた各種データを提供可能、ツイキャスで第2期HNP杯のほぼすべての試合を実況・解説(https://twitcasting.tv/graws188390/show)。現在の素数大富豪界の動向に最も詳しい自信があります。

お知らせ

素数大富豪オンラインで行われる素数大富豪トーナメント第3期蝉王戦*16およびサブ大会(第2回チャレンジカップ?)のエントリーが現在募集されています。第3期蝉王戦は9月下旬(予定)開幕、11~12月までかけてタイトル「蝉王」の座を争います(ちなみに現蝉王はカステラ)。サブ大会は10月下旬(予定)開幕、第3期蝉王戦にエントリーしていて、かつ、これまでの素数大富豪トーナメント(蝉王戦・雪華流星戦・HNP杯・チャレンジカップ)での通算勝率*17が5割以下のプレーヤーが対象です(これまでの素数大富豪トーナメントに参加したことがないプレーヤーも対象)。サブ大会のみのエントリーはできないので注意しましょう。大会へのエントリーは下記の参加フォームにて必要事項を入力して送信するだけです。
docs.google.com

*1:父はしじみぷっちょさん・母はきのこさん・妹はししとうさん。

*2:

twitter.com

*3:「HNC戦法」という名前は今私がつけました。勘で出した数が素数だったときのスラングHNP(Hello New Prime)に合わせたHNC(Hello New Composite)から。第2期HNP杯・予備予選(2021年8月21日・対なきゃのさん)では初手で131158=2*65579を出し上がり。

*4:出典:

twitter.com

*5:何をもって「正統」とするかは異論の余地がありそう。

*6:1勝負における最長手数(89手/2020年6月11日・第1期HNP杯・対二世さん)の記録保持者。

*7:私にはできませんでした(当時は全出し戦法が存在しなかった)。

*8:2021年3月17日の第2期雪華流星戦・ファイナル・対OTTYさんから9月18日の第2期HNP杯・準決勝・対nishimuraさんまで。

*9:2019年10月20日のマスパーティ杯(一般の部)・2回戦・対タカタ先生から2020年4月5日の第1期雪華流星戦・ファイナル・対マモさんまで。

*10:2021年7月9日の第2期HNP杯・予備予選・対OTTYさん・3本目から9月18日の第2期HNP杯・準決勝・対nishimuraさん・3本目まで。

*11:1位は完全数さんのセット13連勝(2020年7月25日・第2期蝉王戦・予選リーグ・対マモさんの2本目から9月12日・第2期蝉王戦・予選リーグ・対かいたいさんの1本目まで)、2位タイのもう1例はきのこさん(2020年9月8日・第2期蝉王戦・予選リーグ・対二世さんの1本目から9月26日・マスプライム杯2020・1回戦・対マリンさんの2本目まで)。

*12:北海道・関東を除く地方からのMPCベスト8進出者は第3期Mathpower杯以降初。

*13:現在はオンラインで不定期開催。

*14:対象をプレーヤー全体に広げてもマリンさんが負け越しているのはきのこさん(2勝3敗)、カステラ(4勝5敗)のみ、星を分けているのはかいたいさん(6勝6敗)のみ。

*15:このルールが戦略に生かせることがあります。たとえば山札がない状態でKKXQQJ|X=K→相手パス→A729[RR]と絵札を消費してから革命したい場合、XKKQQJ|X=Kと出せば相手がパスして手番が回ってきた際に山札の先頭がXになるのでそこでドローすればXを実質的に消費せずに革命できます。他には山札が少ない状態で相手がA729[RR]を出し革命状態になり、こちらが(合成数出し)カマトトで山札を回収したい際、山札をすべて回収してしまうと次の相手の手番のとき山札の先頭がAになり相手が有利になるため、素因数場の枚数を調整しペナルティを受けても山札が1~2枚残るようにして阻止しにいく場合があります(それでも相手にグロタンカットがあるとAを回収されることもありますが)。

*16:第1・2期は夏~秋の開催でしたが今年は試合進行の遅れもありこの時期になりました。

*17:具体的な算出方法は公開されていませんが勝敗は試合単位でカウントし、プレーオフは除いて計算するものと思われます。参考(ただし第2期雪華流星戦の途中まで)docs.google.com