なんだかんだいろいろあって8ヶ月半ぶりの投稿となりました。
今更ですが2021年11月から2022年2月にかけて行った鼎聖戦プレ大会の結果報告とデータ分析をします。
基本情報
鼎聖戦は私が主催する素数大富豪史上初の3人対戦による素数大富豪大会です。ルールの確認と調整のためにプレ大会を開催いたしました。プレ大会の概要は以下の通りです。
- 予選リーグ: 参加者8名がそれぞれ3試合を行う。合計ポイント上位3名が決勝戦進出。各試合は同一の3名による12セットにより構成される。1セット勝利するごとに1ポイント(pt)を得る。試合終了時、ポイントの多い順に1位4pt・2位2pt・3位0ptの順位点を得る(同点の場合は当該プレーヤーで順位点を等分する)。対戦カードと各セットの親(1番手)は事前に抽選により決定する(2番手・3番手は素数大富豪オンラインのシステムによってランダムに決定される)。
- 決勝戦: 予選リーグの上位3名が予選リーグのポイントを半分(小数点以下の端数は切り上げ)持ち越し試合を行う。第24セット以降において、セット勝利者がそれまでの合計ポイントで単独1位になった場合に試合は終了しその者が優勝者となる。そうでない場合は試合は続行する。
分析対象は鼎聖戦プレ大会の全試合(9試合・120セット)です。
- 予選リーグ(8試合・96セット)
- 決勝戦(1試合・24セット)
昨年12月に書いた鼎聖戦の紹介記事
graws188390.hatenablog.com
行動データ
これまでの2人対戦のデータと比較して行動の分布に違いがあるかを見ます。比較対象は以下の通り。
マスプライム杯2021(2021年7月(オンライン予選)・9月(決勝大会))/第2期HNP杯(2021年6月~9月)/第1回はち杯(2021年12月)
3人対戦では2人対戦と比べて素数出しの割合が少なく、パスの割合が多くなりました。3人対戦では勝負手に対するパスの回数が2回になったり、2人がラリーして1人がパスし続けるといった2人対戦にない状況が起こるため、パスの割合が増えるのは自然なことです。それを踏まえると、割合が2人対戦とほぼ同じであるグロタンカット・合成数出し・ペナルティは相対的に出される割合が高くなっているといえます。3人対戦ではカマトトや勘出しのリスクが低い(2人のうちどちらか1人が返せばよいので)ため、ペナルティが増えます。手札を増やした状態での対戦となるため、考慮時間を稼ぐためのグロタンカットが多く出されることになります。合成数出しはoverKJQJは意外にも1回しか出されませんでしたが、2枚出しの1312・1313、3枚出しの131312が増えました。1セット当たりの手数(11.5手)も最近の大会(8~12手)の中では多い方になりました。
出された数について
大会で多く出された数の変化をみて大会の特徴を捉えていきます。鼎聖戦プレ大会を通して複数回出された数は以下の通りです。
グロタンカット57が断トツなのはいつもどおり。ランキング上位の顔ぶれ(特殊・各n枚出しの最大クラスの素数や合成数・1~2枚出し)はこれまでとそれほど変わりありませんが、個々の出された回数や順位は大きく上下しています。グロタンカットに次ぐ第2位となった3枚出し最大素数の131311は3位以下を大きく引き離した29回出されました。2枚出しの1312が4位、1213・1313が5位タイとこれまでより順位を上げています。一方で2位や3位を占めることが多かったラマヌジャン革命1729や単独ジョーカーX、4枚出し最大素数の13111211が順位を下げています。
主な要因としては以下が考えられます。
- 3人対戦では初手の二刀流戦法を他の2人が協力して止めることができる(2人のうちい一方が普通に返し、もう一方が合成数出しカマトトでoverKJQJを作りにいく)ため、初手の4枚出しが敬遠される。……13111211の回数の減少
- 一方で3枚出しでは131312が揃いづらいことから2人対戦と変わらず初手3枚出しが出される。……131311の回数の増加
- 初手から2人続けて全出ししたときの3人目や、煮詰まった場面だが多枚出しが心許ないときに様子見で2~3枚出しをする機会が増えた。……2~3枚出しの回数の増加
- 3人対戦ではAやXが分散して革命が有利な場面が少ない? ……ラマヌジャン革命の回数の減少
- 3人対戦ではジョーカーを最後まで残して上がれるほどの楽勝が少ない? ……単独ジョーカーの回数の減少(主に最終盤の組み切りの場面)
最後の2つはあまり自信がありません。もっと妥当な理由があるかもしれません。
プレーヤーごとの集計
ふだんは参加者から何人かピックアップしているのですが、今大会は参加者が8名と少ないので全員分について集計しました。2021年10月末から素数大富豪オンラインに数譜機能が実装され、今まで集計が困難なため算出できなかった指標が計算できるようになりました。時間の都合から計算したのは簡単な指標ばかりですが、求めてほしい指標がありましたら私までお知らせください。
ドロー率=(ドローした回数)/(総手数)
素数出しの平均枚数=(素数出しで出した枚数の合計)/(素数出しの回数)
合成数出しの平均枚数=(合成数出しで場に出した枚数の合計)/(合成数出しの回数)
素因数場の平均枚数=(合成数出しで素因数場に出した枚数の合計)/(合成数出しの回数)
ペナルティの平均枚数=(ペナルティを受けた際に場・素因数場に出した枚数の合計)/(ペナルティの回数)
ペナルティの枚数は場に出した枚数(素因数場に出した枚数は含めない)別に分類しました。
枚数ごとの分類はこれまで「枚数クラス」という独自の分類を採用しておりましたが、数譜機能の実装に伴い実枚数で集計しました*1。
プレーヤーごとに以下の特徴があります。
- nishimuraさん: 第2期雪華流星戦の際には「無理やりな初手全出しはしないタイプ」と評したが、今大会では初手全出しが多かった印象。それでも8~10枚出しを多く出す素数の引き出しの多さ・ラマヌジャン革命が少ない(今大会は0回)という堅実さは垣間見えた。
- カステラ: ドロー率が低くパス率が高い。他の2人がラリーしている間はパスで耐え忍び、隙を狙う戦法を多用した結果か。
- かいたいさん: 少数枚の素数出しが少なく多枚出しを多用。素数出しの平均枚数がトップ。
- はちさん: 今大会における平均的なプレーヤーといえる。山札が尽きた後にも全出し(最大24枚)をしたため、ペナルティの平均枚数が多くなっている。
- もりしーさん: 枚数別には満遍なく出しているが2~5枚出し、とくに合成数出しを絡めた2枚出しが多かった。3人対戦用の戦法?
- ささらさん: 6枚出しが突出して多い。それを超える多枚出しも決めるときは決めてくる。
- ロベピさん: 枚数別に見ると偏りが少ない。ペナルティは多めだがそれに物怖じしない積極性はあるので今後の成長に期待したい*2。
- 二世さん: ドロー率の高さは断トツ。ドローで手札を増やして好きな素数を出す・新しい素数に出会いに行く二世さんらしさが全開のスタッツとなった。
グロタンカットを最も多く出した人”グロタンカッター”はnishimuraさん(25回)、ラマヌジャン革命を最も多く出した人”革命家”はかいたいさん・ささらさん・ロベピさん(各2回)、単独ジョーカーを最も多く出した人”道化師”はかいたいさん(3回)でした。
まとめ
初の3人対戦の大会を終えて、2人対戦との違いがデータにきちんと反映されていて興味深かったです。数譜機能が実装されたのでデータをもっといろいろ考察していきたかったのですが現状あまりそれに割ける時間がないのでまた別の機会にします。繰り返しにはなりますが何かアイディアがありましたら私まで。
現在(2022年8月)は、第1期鼎聖戦の予選リーグの真っ最中です。試合数はプレ大会の約3倍。来年2月の決勝戦が終わったらまた記事を書きます。