先日のnishimuraさんとの素数大富豪百本勝負の記事*1でも告知したとおり、もりしーさんとも百本勝負を行いました。その結果を前回同様まとめます。
基本情報
分析対象は2019年8月13日~14日、および24日~25日にかけて「素数大富豪オンライン」で行われた私・カステラともりしーさんとの全対戦100戦です。素数大富豪オンラインではプレーヤーが行動するたびにその記録が出力されますので、その結果を利用します。
素数大富豪オンラインでのルールは以下の通りです
先手・後手はシステム上でランダムに決定。シンキングタイムなし。1手1分、時間切れは強制パス。ゲーム全体での時間制限はなし。公式ルールとの相違点はペナルティ時に山札が無くなったときに他のプレーヤーが手札を捨てるという処理がないこと。それ以外は同じ。
全100戦のうち私が先手となったのは54戦、もりしーさんが先手となったのは46戦でした。
また、もりしーさんがツイキャスで試合経過を配信してくださったので、ここにリンクを上げておきます。
前半(8月13日~14日)
1(1本目~8本目2手目)
2(8本目3手目~18本目4手目)
3(18本目5手目~27本目)
4(28本目~43本目)
5(44本目~48本目2手目)
6(48本目3手目~50本目)
後半(8月24日~25日)
7(51本目~55本目1手目)
8(55本目2手目~65本目1手目)
9(65本目2手目~72本目9手目)
10(72本目10手目~81本目2手目)
11(81本目3手目~83本目)
12(84本目~89本目3手目)
13(89本目4手目~94本目)
14(95本目~100本目)
出された枚数
前回同様、素数大富豪数を1枚クラス、2枚クラス、……と分類し、各クラス、各プレーヤーごとに出された回数を表にしました。ここに素数大富豪数について、それを出すために場(素因数場は除く)に出す必要のあるカードの最小枚数がnであるとき、n枚クラスに属するというのでした。
両プレーヤーとも、グロタンカットが属する2枚クラスやラマヌジャン革命が属する4枚クラスを中心に2~6枚クラスが多くなっています。特殊効果のある出し方(グロタンカットGC(2枚クラス、76回)、ラマヌジャン革命RR(4枚クラス、17回)、単独ジョーカーIN(1枚クラス、19回))を除いて考えると多い順に5枚クラス、3枚クラス、4枚クラス、6枚クラス、2枚クラスの順になります(nishimuraさんとのときは3→5→4→8→2の順)。
1枚クラスは52回でnishimuraさんのときと同数ですが、全体の回数が増えている(572回→727回)ことと、そのうち単独ジョーカーの占める回数が増えている(10回→19回)ことから、相対的に減った印象です。一方で初手全出しが頻発した影響で11~12枚クラスが増え、その大半はペナルティになっています。
ペナルティに関しては、私は6枚クラスで、もりしーさんは4~5枚クラスで多くなっています。意図的なペナルティ(カマトト)の場合もありますが、手札を組んだ上で余ったのを処理しようとして勘出しした結果、ペナルティを受けるという場合(いわゆる普通のペナルティ)も散見されました。私ともりしーさんとで枚数の違いがあるのは作戦の立て方の違いでしょうか? 現に私は手札が12~20枚のときの親番でうまく手札が組めないときには適当に6枚出しすることが多いように思います。できるだけ多い枚数で出したい*2けれども、7枚以上だともりしーさんに返されたときに再度返す数を用意するのが現状難しいので、自然と6枚出しになるように感じます。
出された数
1位は前回同様ダントツでグロタンカットでした。nishimuraさんとの百本勝負のときと同様に、2枚出しを流すためのグロタンカットはなく、単に手札を減らすためのものやグロタンチェンジ、もしくは時間稼ぎといった使い方をされました。
それ以降からnishimuraさんとのときと違う傾向が現れました。
nishimuraさんとの百本勝負での出た数ランキング上位は以下の通りです。
1位(66回) 57
2位(14回) 131311
3位(10回) 13,X
5位(8回) 1729
6位(7回) 2
7位(5回) 7,11,1312,1313
11位(4回) 5,691,44123,13111211
2位はX(単独ジョーカー)。使い方としては、1枚出しを流すのと、上がる際に余って場に何もない状況で出されるのとでほぼ半々でした。
3位はラマヌジャン革命1729。特殊効果のある3種(グロタンカット、ラマヌジャン革命、単独ジョーカー)が上位3位を占める結果になりました。nishimuraさんのときには1度もなかった再革命が4回、うち3回では再々革命も起きています。
以下、
- 13111211(4枚出し最大素数)
- 13(1枚出し最大素数)
- 131311(3枚出し最大素数)
- 1313121311(5枚出し最大素数)
- 1312(=2^5*41、2枚出し最大素数1213超え合成数)
- 1313121011(5枚出し2番目に大きい素数)
- 131312(=2^4*29*283、3枚出し最大素数131311超え合成数)
- 1313(=13*101、2枚出し最大素数1213超え合成数)
- 131312101111(6枚出し7番目に大きい素数)
と各枚数の最大クラスの素数・合成数が続きます。ちなみに2枚出し最大素数1213は1回しか出ませんでした。1312や1313で返されることを警戒され1213を勝負手にするのは心細いと感じる場合が多かったからです。
このような大きな素数・合成数が並ぶ中で5がランクイン。4回すべてもりしーさんの手です。1枚出ししようとしたときに奇数を使うよりは一の位にもってこれない5を使うのがよいと考えたのでしょうか。ちなみに私は4回すべてにKを返しています。Kを使うのは少しもったいない気もしますが、これで親番がとれれば今度は自分が好きな枚数出せるので勝負をこちらのペースに持ち込めるチャンスになりますし、ジョーカーを出されても、相手にジョーカーを使わせることで余裕をなくすことができます。
2、3回出された数からいくつかピックアップして紹介していきます。
- 663589
66358Xは四つ子素数。偶数が多めなのでけっこう便利。
- 886429
88624XがX=A,3,7で素数になる三つ子素数ですが886249(ハバロフスク)は素数ではありません(886249=7*13*9739)。しかし、偶数部分を最大になるように並べ替えてから9をつけると素数になります。
- 9882463
もりしーさんが2回出した素数です。988246XはX=A,3,9,Kで素数になります。上のハバロフスクの並べ替え+1枚の形。
prm9973.hatenablog.com
- 433612789,88554336119,433628121011,433612645678910111213
前回も紹介した「4336(しざさら)素数」たちです。もりしーさんの3回を含め、計14種20回出され、上記の4種が複数回出されました*3。最後のは21桁(4垓3361京2645兆6789億1011万1213)ですが、もりしーさんに1回返されてしまいました*4。
- 6789101112413
前回7からKまで並べた78910111213が素数で、その上位互換98710121311とともに紹介しましたが、6から並べた678910111213も素数で、6789101112413はそこにさらに4を挿入した素数。実は前回も2回出していました。
- 1313101012111211
T,J,Q,Kを2枚ずつ使ってできる最大の素数。1枚ずつの場合は13101211で、これに形が少し似ています。今回の百本勝負では2回とも私が出しましたが、もりしーさんやnishimuraさんもよく出す印象。
決着までの手数
もりしーさんはnishimuraさんと比較して全出しやラマヌジャン革命などの変化を求めた作戦を多用するプレーヤーです。このような大胆な戦術をとるには、ペナルティによって手札が増えてもその大量の手札を捌ききれる多枚出しをたくさん覚えている必要があります。もりしーさんが実際に多枚出しを多く知っていることについては、第3期Mathpower杯での数譜からも窺えます*5。もりしーさんによる初手全出しは、先手となった46回のうち10回。これはnishimuraさん(初手全出し1回/先手46回)や私(vs. nishimuraさん: 6回/56回、vs.もりしーさん: 8回/54回)よりも多いです。そのうちワンターンキルが3回(79本目・8412841210117、93本目・58613123567129、100本目・8121045454861)記録されました。全出しに失敗したときにはペナルティで増えた手札を減らすのに手数を要します。その結果、百本勝負全体における各勝負の決着までの手数の平均値は8.7手でnishimuraさんとのとき(6.8手)より多くなりました。一方で、中央値は5.5手でほぼ同じ(5手)。6手以下の短期決戦は、nishimuraさんとの70本/102本よりは少ないものの、6割の60本で過半数を占め、中央値の増加への寄与は小さいものでした。
短期決着については前回の記事で紹介したパターンがほとんどでしたが、それに当てはまらないものもありました。
3手決着では初手ドローで12枚になった手札を6・6に分けて出す作戦の成功が2度ありました(もはもりしーさん、カは私(カステラ)。以下同様)。
21本目: 先手(カ)998623→後手(も)8121071113→先手71312121311#
99本目: 先手(も)887641→後手(カ)41212101311→先手91211121013#
3本目: 先手(カ)523→後手(も)544、カマトト→先手131210=2*5*13121#
77本目: 先手(も)947→後手(カ)8123→先手81211=13*6247#
個人的に珍しいと思ったパターン。
後手に1回も手番を渡さず勝利(ワンサイドキル)。
94本目: 先手(も)5→後手(カ)13→先手X[IN]→先手141487711213#
X(単独ジョーカー)を勝負手にするもの。長期戦となって、手札が5~10枚ほどに減ってからこのパターンに入ることはありますが、初手から入るのは残り枚数の多さからほとんどありません。ジョーカーがありさえすればできるのがこの作戦の長所です。
最長は32手でした。nishimuraさんとのとき(23手)より9手長い。
44本目: 先手(カ)57[GC]→先手67891212121213、ペナルティ→後手(も)5734566810131111、ペナルティ→先手986869、ペナルティ→後手586134410591→先手43369876131011→後手パス→先手22221212121255581313997、ペナルティ→後手647→先手859→後手877→先手2129→後手101111→先手131311→後手パス→先手1729[RR]→後手パス→先手12121210109→後手446131110、カマトト→先手13488553663、ペナルティ→後手13→先手2→後手1、カマトト→先手433612645678910111213→後手パス→先手82121111→後手8810106、カマトト→先手2→後手1、カマトト→先手105=3*5*7→後手パス→先手13#
先手はグロタンカットのあと全出しするも失敗。後手も全出しして失敗。先手が6枚出しもまた失敗。後手11枚出しに先手はカウンターで再び親番もとるも、全出しはまたまた失敗。3枚出しラリーでお互いに手札を減らしたあと、親番をとった先手がラマヌジャン革命。先手が10枚出しでペナルティ*6を受けるが、手札にジョーカー2枚が揃う。そのまま先手ペースで勝ち切った。なお30手目の105はAX5|X=0の3枚出し合成数。
まとめ
このたびは、nishimuraさんと102戦、もりしーさんと100戦行い、非常に有益な数譜が採れました。第3期Mathpower杯から10ヶ月たち、レベルがますます上がっていることが浮き彫りとなりました。まだまだ調べたいこと*7もありますが、取り急ぎこれで一区切りにしたいと思います。
今回対戦してくださったnishimuraさんともりしーさんに厚く御礼申し上げます。
*1:こちらからどうぞ。graws188390.hatenablog.com
*2:手札をうまく組み切れないときは往々にして手札が偶数に偏っていることが多いので。
*3:他に1回出されたのは433663、4336889、822433697、822433699、68691043363、433612121311、433625121011、43361213121011、43369876131011、43361234567891011111213。
*4:2ヶ月前はこうだったのに。 もはや狂気 pic.twitter.com/BecPFNUi4Z
twitter.com
*5:詳細は私の過去の記事を参照: graws188390.hatenablog.com graws188390.hatenablog.com
*7:何か調べてほしいことがありましたら私まで。