初代素数王の備忘録

KA4T6X|X=9(カステラくん)は素数。

素数大富豪百本勝負(vs. マリンさん & vs. 3TKさん編)

今日は2021年10月28日。202110281, 202110283, 202110287, 202110289はすべて素数(つまり20211028Xは四つ子素数)という珍しい日です*1

さて、9月25日に行われたマスプライム杯2021決勝大会のあと、discordで懇親会がありました。その流れでマスプライム杯ベスト4のマリンさんと対戦いたしました。マリンさんはマスプライム杯終了後に一時活動休止(高校3年生なので大学受験のためと思われる)することもあって気が済むまでやったところ4時間・103勝負の熱戦が繰り広げられることになりました。せっかくなので2年ぶりに「素数大富豪百本勝負」の記事を執筆しようと思ったところ、3TKさんから百本勝負のお誘いをいただきましたので、10月3日・10日の両日に100勝負行いました。本稿ではマリンさん・3TKさんとの百本勝負の結果をまとめます。

2年前のnishimuraさん・もりしーさんとの百本勝負の記事はこちら

graws188390.hatenablog.com
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基本情報

分析対象は2021年9月26日(25日深夜)に素数大富豪オンラインで行われた私・カステラとマリンさんとの対戦103戦(対戦時は百本記事を書くつもりはなかったので対戦数が100ちょうどではありません)、および10月3日・10日に素数大富豪オンラインで行われた私と3TKさんとの対戦100戦です。

素数大富豪オンラインでのルールは以下の通りです

先手・後手はシステム上でランダムに決定。シンキングタイムなし。1手1分、時間切れは強制パス。ゲーム全体での時間制限はなし。公式ルールとの相違点はペナルティ時に山札が無くなったときに他のプレーヤーが手札を捨てるという処理がないこと。それ以外は同じ。

マリンさんとの103戦のうち私が先手となったのは57戦、マリンさんが先手となったのは46戦でした。
3TKさんとの100戦のうち私が先手となったのは54戦、3TKさんが先手となったのは46戦でした。

3TKさんとの百本勝負についてはツイキャスで試合経過を配信いたしましたので、ここにリンクを上げておきます。

10月3日
1(1本目~7本目2手目)
2(7本目3手目~17本目6手目)
3(17本目7手目~23本目6手目)
4(23本目7手目~28本目)
5(29本目~37本目3手目)
6(37本目4手目~46本目2手目)
7(46本目3手目~55本目2手目)
8(55本目3手目~60本目)
10月10日
9(61本目~74本目2手目)
10(74本目3手目~86本目)
11(87本目~97本目)
12(98本目~100本目)

行動データ

素数出しやグロタンカット・ペナルティなどの割合を比較します。2年前の百本勝負の結果や2020年度の大会実績と併せて表とグラフに表しました。

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まず私・カステラについては、素数出し・ラマヌジャン革命・合成数出しの割合が高く、ペナルティの割合が少なくなっています。あまり全出し(とくに初手全出し)をしない、ラマヌジャン革命や合成数出しによる奇をてらった戦術を多用するプレースタイルが如実に反映されています。
マリンさんはグロタンカットと合成数出しの割合が高いです。マリンさんは第2期雪華流星戦・第2期HNP杯で最もグロタンカットを出したプレーヤー「グロタンカッター」になっています。理由としては全出しの多用により扱う手札の量が多くなり、グロタンカットをする機会が多いことが考えられます。合成数出しの割合の高さは私のような奇襲戦法ではなくoverKJQJによるものと思われます。
3TKさんは各種の割合が2020年度大会実績(平均の目安)に近い結果になりました。3TKさんもマリンさんと同様に全出しを多用するプレーヤーですが、overKJQJより超多枚出しを主とした戦略をとることが多く、素数出しはやや多め、合成数出しはやや少なめになりました。

出された数

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グロタンカットが断トツの1位、次いでラマヌジャン革命1729や単独ジョーカーX、各枚数の最大クラスの素数合成数という上位陣の顔ぶれはこれまでの百本勝負や各大会と同じです。偶数消費型の素数が少ないように見えますが、出される偶数消費型素数のバリエーションが増えた結果、100戦程度*2では複数回出るものは少なくなったと考えられます。
3TKさんとの百本勝負で13101211が8回出されているのは意外に映るかもしれません。戦術としての13101211の使い方は2つ考えられます。ひとつは4枚出し二刀流。例を挙げます。

対3TK・78本目: 先手(3TK):6133→後手(カステラ):6661→先手:13101211→後手:パス→先手:487#

先手の4枚出し6133に対し本譜のように後手が小さな4枚出しをすれば4・4・3で上がり。もし後手がカマトトすれば87413101211で上がり。ただし、13111211と違い13101211には13111013・13111211とより大きな4枚出しがあるので、13101211にさらに返される可能性があります。

対3TK・95本目: 先手(3TK):9461→後手(カステラ):85213→先手:13101211→後手:13111013→先手:パス→後手:76543#

対3TK・78本目と同じように4・4・3と4・7の二刀流で4枚出しするものの13101211に対し13111013を返されそのまま先手敗北。
13101211のもうひとつの使い方は相手の手をブラフと読んでの先出しです。これも例を挙げてみます。

対3TK・35本目: 先手(3TK):9439→後手(カステラ):13101211→先手:パス→後手:57[GC]→後手:25423#

先手の初手4枚出しに対し後手は13101211を先出し。先手はパスし、後手がそのまま上がりきりました。ブラフを仕掛けた側にとってはたとえ小さくても相手に返されてしまうと困るので、初手の3・4枚出しに対してカマトトせず何でもいいから返しておくのもまたひとつの戦術になります。返す際に13101211とすることのメリットとしては

  • 前述の13101211を使った二刀流戦法を阻止できる
  • ブラフだった場合に無理やり返そうとしても難しい*3ので手番がとりやすい

があります。さらに

  • 13101211は絵札4種を1枚ずつ使うので序盤で揃っていることが多い。
  • ドローしないで13101211を出した場合、残りは7枚で絵札を使い切っていることが多いので、57があれば57[GC]→5枚5桁と13101211が通ったあと上がりきるための難易度が比較的低い

という理由も13101211が出される要因です。

決着までの手数

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マリンさんとの百本勝負・3TKさんとの百本勝負のいずれも3~5手での先手勝利が対戦全体の約半数を占めています。
3手で先手が勝利する方法はいくつかあります。

  • 初手でKQ=2^5*4A, KKJ, KJQJなど各枚数の最大クラスの素数合成数→後手がパス→残りで上がる (大きさで圧倒)
  • 初手で絵札多めの素数*4→後手がパス→残りで上がる (絵札で圧倒)
  • 初手で8~10枚出し→後手が返そうとするも失敗orパス→残りで上がる (初手多枚出し)
  • 初手でドローし6枚出し→後手が小さな6枚出し→残り6枚で上がる (6・6)
  • 二刀流戦法またはブラフで出す→後手カマトト→残りで上がる (二刀流・ブラフ)

それぞれ1例ずつ挙げます。ただし6・6については例がありませんでした。6・6に分けて大きい6枚出しから出した勝負はあったので、大きい方の素数が11桁以上であればそちらを先に出して相手に付け入る隙を与えない方がよいという考え方により6・6がなくなったと思われます。

対マリン・91本目: 先手(カステラ)1313=13*101→後手(マリン):パス→先手:71287#

対マリン・5本目: 先手(マリン):61010121013→後手(カステラ):パス→先手:44267#

対3TK・58本目: 先手(3TK):4462112659→後手(カステラ):6652313101211, ペナルティ→先手:9127#

対マリン・43本目: 先手(マリン):1259→後手(カステラ):131212=12345*78911, カマトト→先手:94832131213#

(KQK→94823との二刀流)

これにグロタンカットや単独ジョーカーが1回絡めば4手での先手勝利となります。

5手で先手が勝利する方法は、3手で先手が勝利する方法にグロタンカットや単独ジョーカーが2回絡むものの他に

  • 3・3・5/4・4・3/5・5・1(二刀流戦法で後手が返した場合も含む)

が非常に多いです。

今回は実例が少なかったものの今後増える可能性があるものとしては

  • ブラフで出す→後手が返す→先手パス→後手が上がりきろうと全出しして失敗orブラフに引っかかる→先手が上がる
  • 先手全出し失敗→後手全出し失敗→先手超多枚出し→後手返そうとするも失敗→先手残りで上がり

というのがあります。マスプライム杯2021決勝大会・決勝でも前者に相当するプレーがあったのは記憶に新しいところです。

対3TK・48本目: 先手(カステラ):81049→後手(3TK):13111211→先手:パス→後手:83183119, ペナルティ→先手:61010=2*5*6101#

対マリン・76本目: 先手(カステラ):58613→後手(マリン):66109→先手:パス→後手:541→先手:784=2^2^2*7*7#

どちらも先手の初手4枚5桁に対し後手はいったん返して手番は得るものの、全出し失敗や続いて出したのが小さな3枚出しだったために3枚出し合成数待ち伏せしていた先手が上がり。

対3TK・36本目: 先手(カステラ):101212123678999, ペナルティ→後手(3TK):124567881011121, ペナルティ→先手:98765432131211101149329→後手:81210111312345678945101213, ペナルティ→先手:98121311#

相全出しのあと、先手が19枚出し。後手が返せず、先手上がり。ちなみに9876543213121110114932XはX=3, 9, 11で素数になります。

非常に珍しい例としては

  • ブラフで出す→後手が返す→先手が仕方なく強引に返す→後手が返しきれない→先手が上がる

というのがありました。観戦する側からしたら面白い展開だけどやっている側はきつい。

対3TK・63本目: 先手(カステラ):4799→後手(3TK):121259→先手:813121→後手:871013,ペナルティ→先手:233#

先手が初期手札(A23347899KX)を4799と338=2*K*AX|X=3に分けて4799から出すブラフに出たが*5後手にQQ59と返される。無理やり返そうと8KXA|X=Qを出したところ相手が失敗。先手が辛くも上がりきった。

こうした先手優勢の状況において先手にミスが出たり、後手のほうが大きさで上回った場合には後手の勝利が生じます。4~7手での後手の勝利は概ねこれによるものです。

8手あたりからは先手の優位性はなくなりように見えます。勝率は五分五分のように見えますが、サンプル数を考えると判断はしかねる状況です。

手数が2桁のものはそのほとんどが全出しからスタートしたものです。最近では相全出しでも意外と短手数で終わることも多いですが、表によれば1勝負が15手を超えると長期戦といってもよいように見えます。手札と思惑がかみ合うと(全出しではない多枚出しやグロタンカットなどを含まない純粋な)相全出しスタートでも9手で終わることもあります。

対マリン・24本目: 先手(マリン)98765421110107, ペナルティ→後手(カステラ)111212223345689, ペナルティ→先手:57[GC]→先手:11123446667889109→後手:451212345678910111213→先手:パス→後手:13111211→先手:パス→後手:82129#

対マリン・60本目: 先手(マリン)131225446681, ペナルティ→後手(カステラ)101012234577799, ペナルティ→先手:625=5^4→後手:987=654*32, カマトト→先手:8641→後手:13111211→先手13131112=2^3*1641389→後手:パス→先手:5131211#

overKJQJについては2020年中盤ころの隆盛期と比べるとあまり見なくなったように思います。全出ししてoverKJQJが揃ってもそれ以外の手札の処理に困るので、手札の戦力差が大きかったり、余剰札を処理するあてがある(相手が4枚出しラリーに応じてくれる)など、都合のよい展開にならないとoverKJQJで上がりきるのが難しいからでしょうか。

超多枚出しは手札が多少弱くても出せるので、overKJQJより使える機会は多いです。一方で相手の手札が十分に多い場合は超多枚出しを返されるリスクがあります(仮に相手が超多枚出しをまったく知らなくても出会われる可能性が数%だがある)。また、枚数があれば出せる可能性はあるので札読みが通用しにくいという特徴があります。この特徴は相手が超多枚出しを用意しているか読めないというデメリットと、相手もこちらの超多枚出しを読めないというメリットの両方があります。とはいえ札読みがまったく効果がないというわけはなく、たとえば相手が4を使う超多枚出しをたくさん覚えていると知っている状況で相手の手札に4がないと分かった場合に相手が超多枚出しを用意している可能性が下がる、といった読みはありえると思います。

まとめ

2年ぶりに素数大富豪百本勝負を行いましたが、同じ人とひたすら対戦することはやはり楽しいものですね。全出しに関してはこの2年でだいぶ進化したように思いますし、今後も洗練されていくことでしょう。

今回対戦してくださったマリンさんと3TKさんに厚く御礼申し上げます。

お知らせ

このたび三人対戦素数大富豪大会「鼎聖戦」(ていせいせん)を始めました。現在プレ大会のエントリーを募集しています。詳細は応募フォームより大会規則・要項をご覧ください。

docs.google.com

*1:前回は2018年09月14日、次回は2027年07月31日。四つ子の幹の数列(1, 10, 19, 82, 148, …): oeis.org 日付そのものも素数であるものに限れば前回は1699年11月19日、次回は2052年05月17日。四つ子の幹で素数であるものの数列(19, 6949, 10111, 15727, 20149, …):oeis.org

*2:こうして考えると100戦って案外少ないんですよね。1000戦、10000戦と増やすことで初めて見えてくることもあるかも。

*3:初期手札に13111013や13111211があればブラフを使わず正攻法で戦うのでブラフ側は絵札が少ないことが多い。

*4:私なりの目安としては絵札5枚以上か絵札4枚で先頭が8以上。

*5:9839→3A2K=7^4*X|X=Kと分けたほうがよかったかもしれない。nishimuraさんの素数探索によればA93→KX4=2*79*83|X=Jというのがあるとのこと。