初代素数王の備忘録

KA4T6X|X=9(カステラくん)は素数。

【マスプライム杯2020】2回戦 カステラ-はち (自戦記)

前回の記事に引き続き、9月26日に開催された素数大富豪マスプライム杯2020の自戦記です。

2回戦ははちさんとの対戦。はちさんは北海道大学素数大富豪同好会のメンバーです。全出しで手札を増やしながら、絵札主体の素数やoverKJQJを勝負手に手札を減らしていく北海道勢に多く見られるプレースタイルの他、10枚10桁素数のように余ったカードを一挙に処理することに長けています。1回戦では完全数さん(東京理科大学素数大富豪同好会)を激戦の末破っています。私とは過去に2度対戦があり、HNP杯・予選リーグ(2020年5月6日)*1でははちさんが勝利、第2期蝉王戦・予選リーグ(2020年8月22日)*2では私が勝利しています。

1本目(6:43:46~6:49:30*3 )

私の初期手札:(AA22557888Q)
先手になったものの偶数が多い上に絵札が1枚とかなり厳しい初期手札。相全出しスタートに持ち込んだほうがまだ戦えるか。しかし、相手は相全出しスタートに強いはちさん。いずれにしろ難しい戦いになりそう。

1. カ:D(7)57[GC]
シンキングタイムが終わるとすぐさまドロー。7を引く。A2をQと思えば57,57,888,QQQだから相当きつい。相全出しに誘導するが、現状3の倍数なのと多枚出しのあとの枚数の少なさで優位を築こうということでいったんグロタンカットを挟む。

2. カ:D(T)TQA2A288857,P11
再度ドローし、3の倍数を回避。全出しして手札を増やす。

3. は:D,11346991011121313,P12
はちさんはこちらの予想通り全出し。

4. カ:88QQ7
5. は:D,KKQTJ
6. カ:%
この時点で私の手札は(AA2223456777888TJQQKXX)。Xの1枚を9と思えばA~Kが全部揃っている。それに2とX=Tを足せば9876543AQ2TT2JKX(四つ子素数、9から3まで・いい夫婦尊ぶJK)が出せるのでX876543AA22TX2JK7|X=9|X=Tを除くと残りは(788QQ)。88QQ7で素数だったような気がするが確証はなく、21桁の素数を決めてから7桁で失敗は嫌なので先に88QQ7から出した。無事に通ったのでそれなら最初からX876543AA22TX2JK7|X=9|X=Tを出すべきだった。逃げの1手ではあったが、相手が手番をとろうとして絵札を必要以上に使い、組み切れずひょっこり手番が回ってくることもあるのでまだわからない。はちさんは5枚出し2番目に大きい素数のKKQTJを出す。5枚出し最大素数のKKQKJではないところを見ると自分から見えていないK・1枚は残り7枚の山札の中か。私はドローせずにパス。

7. は:D,11233444556689999101211,P16
はちさんは全出しで今出た88QQ7、KKQTJを含めて山札をすべて回収。手札の再構築を図るが……

8. カ:X876543AA22TX2JK7|X=9|X=T#
手番が私に回ってきた。用意していた17枚21桁の素数を出して勝利。

完璧とは言えないものの狙い通り21桁の素数を決めて先勝。

2本目(6:50:06~6:52:06)

私の初期手札:(25566788TTQ)
奇数が7の1枚しかない(5は偶数)。しかも後手だからはちさんの初手によっては何もできずに負ける可能性が十分にある。全出しならこちらも全出しで追いつくことができるが……

1. は:T9
2. カ:D(J)QT=JT*886*765*52,P12
はちさんは開始わずか7秒でT9を出す。これはほぼ後ろにKQ=2^5*4AないしKK=K*TA(KK=A3*TA)が控えていると考えてよい(まれに9枚出し素数の場合もあるが、はちさんはそのようなブラフはあまり使ってこない印象がある)。現状Q8=2^7くらいしか出しようがなくJをドローしたところで8Jどまりなので合成数出しカマトトでKKの合成数出しが揃うのに賭ける。

3. は:KQ=2^5*4A
4. カ:D(4)%
KQ=2^5*4Aを勝負手に2枚出しをして相手が合成数出しカマトトをしてきた場合、KKが返ってくることを懸念して作戦を変更することが考えられる*4が、はちさんは構わずKQ=2^5*4Aを出す。やはりこちらの初期手札にA,3,KがないとなるとカマトトしてもKKの合成数出しが揃う可能性は低いとみたか。実際、私の手札にはAが2枚、Kが2枚きたものの3やジョーカーは1枚もなく、KKの合成数出しの完成には3,K,Xのどれかが必要。ドローでも引けず、無念のパス。

5. は:6=2*3#
はちさんが合成数出しを決め1-1に。

何もできないままタイに戻される。ぴえん超えてぱおん*5

3本目(6:52:53~7:03:45)

私の初期手札:(AA2355678TJ)
絵札は2枚と少ないがこの3勝負でいちばんよい初期手札のように思える。57を除いてA2、A3をそれぞれQ、Kとみなせば残りは(568TJQK)。3の倍数でないのでうまく並び替えれば素数になる可能性がある。しかし、なかなか思い出せない。1枚違いなら654QTKJ、864QJTK、852QJTK、876TQKJ……、Q抜きなら586KTJ(586KA011で「小春かわいい」)があるのに……

1. カ:D(6)57[GC]
結局出てこなかったのでドロー。6を引きさらに混迷さを増す。結局わからずグロタンカットで時間を稼ぐ。

2. カ:D(Q)8856A3TA2QJ,P11
次のドローはQ。1本目と同じく全出しして相全出しの流れへ。

3. は:D,113111312121344789,P12
はちさんも全出しで応じる。12枚18桁ということは絵札は6枚。

4. カ:D(?)A729[RR]
5. は:[R]D,AXA3|X=0
6. カ:[R]D(?),%
ドローで手札は23枚。ここまでは1本目と同じだが、K、Xが1枚もなく劣勢もいいところ。Aは2枚しかないがラマヌジャン革命でどうにか状況の打開を図る。こちらに2が4枚あるので革命返しがそう簡単には起こらないのが唯一の希望か。はちさんはAとXを使ってAXA3|X=0。確実に手番をとってきた。私はパスするしかない。

7. は:[R]4456677889910101111121213131313,P13
はちさんは全出しで今流れたA729、AXA3を回収。

8. カ:[R]6658QQTTJ
9. は:[R]%%
手札の構成からみれば圧倒的な劣勢。偶数も多いが4が1枚しかないので1本目のような連番を活かした素数が出せない*6。覚えていた9枚出し*7で減らすが、返されるとあとに続くのが用意できていないので敗勢濃厚。はたして、はちさんは時間切れで手番は再び私へ。

10. カ:[R]D(6)95J423
11. は:[R]D(6)A23457
12. カ:[R]%
手札はこの時点で(A2223345689J)の11枚。いい合成数出しも思いつかないので、1枚引いて12枚にして6・6で出すことに。絵札のJを使いながらAを温存しようとして四つ子素数の95J423を出す。はちさんはA23457を出し手番をとろうとする。私の残り手札は(A22368)。A23457より小さい奇数はA22683、A22863しかないが、1001チェックで122683は11の倍数、122863は13の倍数であることがわかり出せない。カマトトしようにも引くのは58QQTTで全然嬉しくない*8。ということでここはパス。

13. は:[R]D(5)57[GC]
手番がはちさんに移り、いよいよ万策尽きた。あとははちさんが間違いなく上がればそれで終わり。まずはグロタンカット。

14. は:[R]988765443A
15. カ:[R]D(8)%
はちさん得意の10枚10桁。私はドローしても7枚なので返せない。

16. は:[R]A7X9|X=2[RR]
17. カ:D(Q)622A
18. は:KJQJ
19. カ:%
はちさんは手札に2がない状況からジョーカーを使って革命返し。私はドローしてからこれに返し、残り4枚。万が一手番が回ってきたとき上がれるように8Q83と残したがこれは形だけの応戦。はちさんは4枚出し最大素数KJQJでまったく寄せ付けない。

20. は:KQTKK
21. カ:%

22. は:66T9X|X=A#
はちさんが最後は四つ子素数で締め、決勝大会進出を決めた。

最初の段階で決めきれず、山札の引きにも恵まれなかったこともあり、敗北となりました。
まず(568TJQK)で出せる素数を知らなかったのが第1の敗因です。あとで調べたところ並び替えたときの最大素数は865QTJK。なきゃのさん(QTJKのつく素数を多く覚えている)だったら知っていたかもしれませんね。
他に(568TJQK)で出せる素数を知らないと判断したとき、他の手をもっと探すべきでした。とくにグロタンカットに固執してしまったのがよくなかった。グロタンカットをやめれば585A2TJA3(なきゃのさんが出していたので覚えていた素数)と67に分けられたので9枚出しはできましたし、67から出してKQやKKの合成数出しがあると思わせてカマトトさせるブラフも面白い。

こうして私はマスプライム杯2020を2回戦敗退という成績で終えました。
大変不本意な結果ではありますが、自らの実力不足と相手が一枚上手であったことは紛れもない事実です。はちさんをはじめ決勝大会へ進出した8名の皆様、決勝大会でもぜひ堂々たる戦いを見せてください。
また、オンライン予選を裏で支えてくださった運営の皆様、円滑な試合進行をサポートしてくださった審判の皆様、的確な実況で配信を盛り上げてくれた解説の皆様に心より感謝いたします。ことにOTTYさんには1本目の88QQ7以降の流れを即座に理解したうえでそれをわかりやすく解説したり、3本目の途中では私の最近の対戦*9に触れたりと初心者からコアなプレーヤーまで楽しめる解説をしてくださいました。厚く感謝を申し上げます。

さて、11月22日(日)に行われる決勝大会(オフライン)は東京または札幌のうち、より多くの決勝大会出場者がアクセスしやすい方で開催することになっていましたが、8名中5名が北海道在住者または実家が北海道の道外在住者ということで札幌で開催することになりました。新型コロナウイルス感染症感染防止の観点から、決勝大会に出場する8名と運営スタッフ以外は入場できませんが、YouTube Liveでの生配信および生解説がありますのでぜひ見ましょう。

P.S. 決勝進出者に運営スタッフと兼任している方が多い中、私は手持ち無沙汰です。何か仕事がありましたら協力できるかもしれないのでぜひご連絡ください。大学はほぼすべてオンラインなのでもう少し札幌にいるつもりです*10

追記(2020年10月3日): 対戦相手のはちさんも自戦記を書かれたのでそちらもどうぞ。
hachi-2718.hatenablog.com

*1:そのときのログとtwitter自戦記:

twitter.com

*2:そのときのログとtwitter自戦記:

twitter.com

*3:時間はアーカイブにおけるこの勝負の放送時間です。配信(YouTube)

*4:たとえば第2期蝉王戦・予選リーグの私とはちさんの対戦(脚注を参照)の1本目。

*5:タイ王国の国獣はアジアゾウ

*6:たとえば2,4,6,8,T,Qが各2枚ずつあればJK四つ子素数の8862Q42T64TQXなどがある。

*7:6658QQTTKも素数

*8:素数大富豪オンラインでは流れたカードはその並びを保ったまま山札となるので、初期の山札が尽きるとそれ以降の山札が推測できる。

*9:第2期蝉王戦・予選リーグでのししとうさんとの対戦(2020年9月3日)の3本目。革命下でししとうさんが大量の絵札を抱えている状況、手札を(A5668X)の6枚を残して出し切り、革命返しがきたところで656A=X^8|X=3で上がった。

twitter.com OTTYさんが「僕も1回やられた」というのは2020年9月17日に私とOTTYさんが素数大富豪オンラインで対戦したとき、革命下でOTTYさんがAとXをすべて持っている状況、手札に(222457)を残し、3枚出しがきたところで224=2^5*7で上がったもの(ログが残っていませんが印象に残っていたので覚えていました)。

*10:かれこれ7月からずっと帰省中。