初代素数王の備忘録

KA4T6X|X=9(カステラくん)は素数。

【第3期Mathpower杯】1回戦-2 せきゅーん-コロちゃんぬ

第3期Mathpower杯1回戦放送2試合目を解説します。1試合目の解説はこちら。
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解説ルームに先ほど敗れたタカタ先生が登場。10X,82Xは四つ子だがJはつかないこと、覚えましたよね? 前期は「8のスペシャリスト」、今期は「10のスペシャリスト」として参戦していることから来期は「12のスペシャリスト」? そうこうしているうちに壇上にせきゅーんさんとコロちゃんぬさんが登壇します。せきゅーんさんは素数大富豪プレーヤーなら誰もが知る素数大富豪の生みの親。本人は素数大富豪は強くないとは言いながらも、全プレーヤーの中で素数大富豪歴が長いのがせきゅーんさん。昨年のMathpower杯では2468TQAを出しており、弱いわけがない。対するコロちゃんぬさんは前期に続いてのMathpower杯参戦。1月のせきゅーん杯にも参戦し、予選リーグで私・カステラに勝っています。実力は十分。じゃんけんの結果、1本目の先攻はせきゅーんさんに。

1本目(13:03:48~13:13:28*1 )

初期手札 せ:(A33556699TK) コ:(A24577TJQKX)
せきゅーんさん、絵札が2枚しかなくやや厳しい。ラマヌジャン革命をするにも7が手札にありません。一方のコロちゃんぬさんはT,J,Q,K,Xと各1枚ずつあり強い手札。グロタンカットもあります。

1.せ:D(K)66A
2.コ:5TA
3.せ:D(J)3TK
4.コ:D(T)QTK
5.せ:D(Q)%
1手目、せきゅーんさんは少し考えてドロー。Kを引いてきます。そして66A。初期手札に2枚あった6を消費しての3枚出し。対するコロちゃんぬさんは5TA。こちらも偶数2枚を消費します(5は偶数)。せきゅーんさん、またも絵札(J)をドローして3TK。31013は一の位から読んでも同じになる回文素数です。ちなみに3TKTK(310131013)も回文素数です。コロちゃんぬさんのドローはT。さっそくQTKとして使います。せきゅーんさんは3連続絵札となるQをドローしますが、手持ちのJ,Q,Kでは素数をつくれずパス。
5手目終了時の両者の手札 せ:(35599JQK)(残8枚) コ:(2477JX)(残6枚)
f:id:graws188390:20181030135324p:plain

6.コ:2J
7.せ:9J
8.コ:D(8)%
6手目、コロちゃんぬさんは2Jを出します。もしこれが流れれば747X|X=K,X7|X=5[GC]→47,4X=7*7|X=9などで上がりとなります。しかしせきゅーんさんに返されるとかなり厳しくなりますが、せきゅーんさんに9Jと返されてしまいます。せきゅーんさんは残りの手札を53,59,QKと並べます。8手目、コロちゃんぬさんのドローは8。9Jには返せずパス。
8手目終了時の両者の手札 せ:(3559QK)(残6枚) コ:(4778X)(残5枚)

9.せ:59
10.コ:D(4)8X|X=J
11.せ:QK
12.コ:%
先ほど手札を組んでいたせきゅーんさん、出したのは59。その後、QK→53で上がる作戦。解説のみうらさんは「直前に相手が2枚出しを仕掛けているにもかかわらず自分から2枚出しを仕掛けるというのは相当自信があるんでしょうか」とコメント。相手が親でn枚出しをしたとき、たいてい相手はn枚出しが自分にとって有利と判断して出しているので多くの場合n枚出しの強い素数をもっています。なのでそこに自分からn枚出しをするのは普通はあまりいい手とはいえません。今回はコロちゃんぬさんが9Jに対しパスをしたこと、および手札に2枚出し最大素数QKがあることからせきゅーんさんは2枚出しでも自分のほうが有利と判断したのでしょう。コロちゃんぬさんはなんとか8X|X=Jを返します。せきゅーんさんのQKにコロちゃんぬさんはパスするしかありません。

13.せ:53#
せきゅーんさんが残りの手札を出しきり、せきゅーんさんの勝利。

せきゅーんさんが初期手札での劣勢を連続絵札ドローで巻き返し勝利しました。一方のコロちゃんぬさんは序盤の優勢を生かしきれず痛い敗戦となりました。

2本目(13:13:54~13:27:12)

初期手札 コ:(22578TTQQQK) せ:(A344668TJJK)
コロちゃんぬさんは絵札は6枚あるものの奇数が2枚しかない扱いづらい手札。T・2枚、Q・3枚をどう処理するかが問題になりそうです。せきゅーんさんは絵札4枚。解説のもっちょさんが言及しているように初期手札11枚に含まれる絵札(T,J,Q,K,X)の枚数は4枚が一番多く(26.69%)、次いで3枚(25.80%)、5枚(17.43%)、2枚(15.05%)となっています*2。ということでせきゅーんさんの手札は「普通」といえそうです。絵札の枚数で比べるならコロちゃんぬさんが優勢ですが、手札の扱いやすさを考えるとせきゅーんさんが有利。

1.コ:D(5)T=2*5
2.せ:D(A)%
コロちゃんぬさんのドローは5。それと手札の2を手にもち時間いっぱいまで考えてT=2*5。手札の奇数を温存して偶数カードを消費してきました。せきゅーんさんはドローしてパス。手札のJ,Kを出さずに様子を見るようです。

3.コ:D(4)T=2*5
4.せ:D(7)J
5.コ:D(6)%
3手目、コロちゃんぬさんは4をドロー。またもT=2*5で偶数を消費します。せきゅーんさんは先ほどパスした同じ手に今度はJを返します。続くコロちゃんぬさんのドローは6。もともと奇数が少ない手札で3回連続の偶数ドローはかなり苦しい。手札にKを残したままパス。
5手目終了時の両者の手札 コ:(4678QQQK)(残8枚) せ:(AA3446678TJK)(残12枚)

6.せ:D(6)666A
7.コ:D(A)QQQA
8.せ:D(K)%
せきゅーんさんのドローは6、これで手札の6は3枚になります。この3枚を666Aとして消費。コロちゃんぬさんはAをドロー。QQQとだして最後にA! 素数だ! ちなみに1212121は回文素数。なおこれより上の4枚出し回文素数はKJKA(1311131)のみです。それに対してせきゅーんさんは返せるカードはあるもののパスを選択。
f:id:graws188390:20181030135347p:plain

9.コ:D(9)67
10.せ:8J
11.コ:D(8)%
9手目、コロちゃんぬさんのドローは9。いったんは96Kを手札右側に寄せていたものの(487→96Kという出し方がある)、67の2枚出し。せきゅーんさんは8Jで応戦します。コロちゃんぬさんはドローしますが引いてきたのは8。これには解説陣も「う~ん」と唸る。パスせざるを得ません。
11手目終了時の両者の手札 コ:(4889K)(残5枚) せ:(A3447TKK)(残8枚)

12.せ:D(9)94A
13.コ:D(7)%
せきゅーんさんがドローしてきたのは9。いったん首をかしげるも94Aの3枚出し。コロちゃんぬさんは7をドローするもパスを選びます。

14.せ:3TK
15.コ:D(9)%
94Aでパスだったのを受け、再び3枚出しで勝負に出たせきゅーんさん。2回目の3TKです。絵札がKのみのコロちゃんぬさんはこれに返すにはどうしても絵札がほしいところ。しかしドローは9で叶わず。

16.せ:K
17.コ:D(K)%
せきゅーんさんの残り手札は(47K)。合計が3の倍数なので3枚出しはできません。そこで先にKを出し、返されなければ47で上がる作戦。返すにはジョーカーをドローするしかないコロちゃんぬさん。祈りながらドローするも引いたのはK。無念のパス。

18.せ:47#
せきゅーんさんが47を出して勝利。2本先取で2回戦進出。お互いの健闘を称え握手。

講評

3枚出し、4枚出しのラリーが見られ、前の試合からグンとレベルが上がりました。結果は2本ともせきゅーんさんが勝ちましたが、コロちゃんぬさんが勝っていてもおかしくはなかったと思います。
一般に手札の絵札の枚数は多いほうが有利です。というのは、絵札が多い分、大きな素数(n枚2n桁、2n-1桁)がつくれる可能性が高いからです。たとえば1本目の初期手札ではコロちゃんぬさんが優勢でした。せきゅーんさんが66Aを出したあとでも、手札を
T2A→KXJ|X=K→57[GC]→4Q7
と組むことができました*3。手札を組むポイントは、勝負手(この例ではKKJ)のあとにはすぐに上がれるようなカードを残すことです。絵札が多い手札はこのように大きな素数をつくれることが魅力ですが、大きな素数を出して絵札を一気に消費すると途端に手札が弱くなってしまいます。なので、大きな素数はそれで親をとった後にすぐに上がれるような場合に出すのが効果的です。この例だと手札(A24577TJQKX)に3枚出し最大素数KXJ|X=Kとグロタンカット57がありますから
(3枚)→KXJ|X=K→57[GC]→(3枚)
という出し方が考えられます。あとは残りの手札(A247TQ)を空いている箇所に当てはめて素数をつくれば完成です。ここで3枚出し素数をどれだけ知っているかが問われます。

最後にこの試合の数譜を再掲します。

1本目
せ:(A33556699TK)
コ:(A24577TJQKX)
せ:D(K)66A
コ:5TA
せ:D(J)3TK
コ:D(T)QTK
せ:D(Q)%
コ:2J
せ:9J
コ:D(8)%
せ:59
コ:D(4)8X|X=J
せ:QK
コ:%
せ:53#


2本目
コ:(22578TTQQQK)
せ:(A344668TJJK)
コ:D(5)T=2*5
せ:D(A)%
コ:D(4)T=2*5
せ:D(7)J
コ:D(6)%
せ:D(6)666A
コ:D(A)QQQA
せ:D(K)%
コ:D(9)67
せ:8J
コ:D(8)%
せ:D(9)94A
コ:D(7)%
せ:3TK
コ:D(9)%
せ:K
コ:D(K)%
せ:47#

次回から2回戦になります。シードの選手が続々と登場します。2回戦最初の放送試合は前期Mathpower杯・もりしーさんと1回戦でタカタ先生を下したくじらさんの対決です。

*1:時間はタイムシフトにおけるこの勝負の放送時間です。https://live2.nicovideo.jp/watch/lv314662902

*2:数値はもりしーさんの以下の記事から引用。 prm9973.hatenablog.com

*3:実戦では3手目のドローでせきゅーんさんにKKJが揃っていたので、仮にコロちゃんぬさんがこのように手札を組んでいたとしてもその通りに出せない可能性はあります。