初代素数王の備忘録

KA4T6X|X=9(カステラくん)は素数。

【第3期Mathpower杯】1回戦-1 タカタ先生-くじら (2)

前回の続きです。

ここで解説ルームの紹介。解説者は鰺坂もっちょさんとみうらさん。2年前の第1期Mathpower杯の決勝でぶつかった2人が、今期は解説としてMathpower杯を盛り上げていきます。2本目は1本目で敗れたタカタ先生の先攻です。

2本目(12:45:39~13:02:27*1 )

初期手札 タ:(25777889TJJ) く:(2355679TJKK)
1本目は偶数ばかりの手札に悩まされた両者。今回はともに奇数が多め。タカタ先生は絵札は3枚ですがQ,Kがないので少し弱め。くじらさんは絵札4枚。3枚出し最強のKKJや4枚出し2番目のKJTKがあります。くじらさんは256を左側に寄せ、1本目に128を合成数出ししたのと同様に256(=2^8)の合成数出しを狙っているようです。タカタ先生は57を右側に。

1.タ:J
2.く:K
3.タ:D(Q)%
タカタ先生、少々悩んでJの1枚出し。くじらさんがKを出し、タカタ先生はドローしてパス。お互いに絵札を消費。

4.く:57[GC]
ここでくじらさん、今大会初のグロタンカット。若本さんの巻き舌が場内に響き渡ります。

5.く:3
6.タ:J
7.く:K
8.タ:D(X)%
くじらさんの3の1枚出しからJ、Kと両者またも絵札を消費。タカタ先生、Kに勝てるジョーカーをドローするもここではパスを選択。左側にX729と並べラマヌジャン革命を狙っているかのよう。
8手目終了時の両者の手札 タ:(25777889TQX)(残11枚) く:(2569TJ)(残6枚)

9.く:D(3)T9
10.タ:D(6)%
くじらさんのT9に対しタカタ先生またもジョーカーを温存しパス。

11. く:D(A)A3J,P(A3Q)
くじらさん、3枚出しするもA3Jは3の倍数(1311=3*19*23)。なお1311=23*57ですが、57は場に出すときに限り場を流すことができる合成数ですので、合成数出しの素因数としては使えません(使うとペナルティ)。きちんと3,19と出しましょう。

12.タ:D(6)67
13.く:QJ,P(23)
タカタ先生の出した67に対し、くじらさんはQJを出すもこれは7の倍数(1211=7*173)。もっちょさんが言うようにQJを出すのはありがちなミス。1001チェックをすれば1211=1001+210なので7の倍数だとすぐにわかります。

14.タ:D(4)4687,P(68QQ)
タカタ先生、偶数消費を狙い4枚出しをするが4687は合成数(4687=43*109)。ペナルティでかえって偶数が増えることに。偶数部分を逆に並べて8647とすれば素数でした。

15.く:33=3*AA
16.タ:67
17.く:D(9)%
くじらさん、ペナルティで引いたA,3を合成数出しで一気に消費。タカタ先生の67にくじらさんはドローして9。手札左側に並べていた256を295Q(5Q=2^9の合成数出し)に変え、パス。

18.タ:D(5)X729|X=A[RR]
19.く:[R]%
タカタ先生、満を持してラマヌジャン革命。しかし、手札が偶数のみとなる。
f:id:graws188390:20181024135712p:plain
19手目終了時の両者の手札 タ:(4556888TQQQ)(残11枚) く:(22569JQ)(残7枚)

20.タ:[R]D(A)6A
21.く:[R]D(4)%
タカタ先生の6Aに対し、くじらさんはいったんは6Jを出すも、革命中のため手札に戻されます*2。その後パスを選択。

22.タ:[R]D(4)5
23.く:[R]D(K)2
24.タ:[R]D(J)%
タカタ先生、奇数がドローできず5の1枚出し。それにくじらさんは最小素数の2。タカタ先生、奇数(J)をドローしてパス。

25.く:[R]J
26.タ:[R]5
27.く:[R]%
くじらさんはJを出し絵札を消費。タカタ先生は5を返す。くじらさんは2を出さずにパス。
27手目終了時の両者の手札 タ:(44888TJQQQ)(残10枚) く:(24569QK)(残7枚)

28.タ:[R]D(9)89
29.く:[R]D(T)%
自分でラマヌジャン革命を起こしながら手札に絵札5枚を抱えるタカタ先生。9のドローに89でやり過ごす。くじらさん、手札左側の295Qを崩さずにパス。

30.タ:[R]D(A)TA
31.く:[R]D(T)%
タカタ先生、今度はAをドローしてTA。くじらさん、またもドローしてパス。

32.タ:[R]D(K)QK
33.く:[R]5Q=2^9
34.タ:[R]D(8)%
タカタ先生、ドローしてQK。2枚出し最大素数だが今は革命中なので2枚出し最弱素数。これに対し、くじらさんはずっと持っていた5Q=2^9の合成数出し。1本目に決めたQ8(=2^7)の合成数出しもそうですが、2冪の合成数出しは出しやすいのが多いです。とくに8=2^3、64=2^6、256=2^8、T24=2^Tは偶数が多く消費できるので実戦でもよく見られます。

35.く:[R]D(2)TK
36.タ:[R]D(X)%
くじらさん、ドローは2。TKを出し、手札が偶数のみに。タカタ先生、ジョーカーをドローするが使わずにパス。
36手目終了時の両者の手札 タ:(44888JQQX)(残9枚) く:(246T)(残4枚)

37.く:[R]D(4)%
くじらさん、ドローしてここで初期山札がなくなる。手札から出せるものは2しかない中、パスを選択。

38.タ:[R]D(J)QX=J*J|X=A
39.く:[R]D(K)%
タカタ先生、合成数出しで絵札を一挙に3枚消費。くじらさんはKをドローしてTKを出すが、依然革命中なので無効。TKは手札に戻されパス。

40.タ:[R]D(5)5
41.く:[R]D(7)%
手札に4,8,Qしかないタカタ先生。ドローした5をそのまま出す。くじらさんはドローしてパス。

42.タ:[R]D(3)83
43.く:[R]47
44.タ:[R]D(J)%
3をドローしたタカタ先生。83を出す。くじらさんは先ほどドローした7を使って47。続くタカタ先生のドローはJでパス。

45.く:[R]D(K)K
46.タ:[R]D(T)%
くじらさん、ドローしたKをそのまま出す。タカタ先生はドローしてパス。

47.く:[R]D(9)K
48.タ:[R]D(6)%
くじらさん、ドローした9と入れ替えてKを出し絵札を消費。タカタ先生はまたもドローしてパス。
48手目終了時の両者の手札 タ:(44688TJQ)(残8枚) く:(2469T)(残5枚)

49.く:[R]D(7)T9
50.タ:[R]D(3)T3
51.く:[R]D(A)67
52.タ:[R]D(A)6A
53.く:[R]4A
54.タ:[R]D(3)34,P(36)
両者、連続で奇数をドローしながらの2枚出しが続く。54手目、場の4Aにはもう返せないタカタ先生が放った奇手34は偶数。ちなみに手札補充の目的で意図的に偶数を出すことはありえます*3
f:id:graws188390:20181024141014p:plain

55.く:[R]2#
くじらさんが最後の1枚、2を出してゲームセット。2本先取でくじらさんが2回戦進出。

講評

1本目は57手かかりましたがこちらも55手、長期戦となりました。終盤の連続奇数ドローは15手目にくじらさんが出した33=3*AAが回ってきたものです。使いやすい奇数A,3を合計5枚消費するこの合成数出しは、出された時点ではあまりよくない手だと思っていたのですが、これがゲームを終着へと導いた恰好となりました。くじらさん、まさかこれを狙っていた?
2勝負とも制限時間いっぱいの名勝負(迷勝負?)となりましたが、気になる点がありました。それはJの使い方です。Jが出された機会は2勝負で合計15回ありましたが、その内訳は以下の通りです。
J(7回、素数)
TJ(2回、合成数)
QA=J*J(1回、合成数出し)
5J(1回、合成数)
QJ(1回、合成数)
JK(1回、合成数)
A3J(1回、合成数)
82J(1回、合成数)
素数出しとしてはJの1枚出し以外は失敗となっております。これはKのつく2枚出し素数QK(4回)、TK(2回)、6K(1回)がそれぞれ出されているのと比べると大きく違います。原因のひとつとして、Jのつく素数が覚えにくいことが挙げられます。QKは2枚出し最大素数として素数大富豪プレーヤーに広く知れ渡っています。TKも1気圧が1013hPa*4であるとか10Xの四つ子からの類推もできます。一方でJのつく2枚出しは9J、8J、3J、2Jの4つ*5がありますが、知名度は先述のQK、TKに劣ります。ここで、この4つの素数を一挙に覚える方法を2つご紹介いたします。

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最後に2本目の数譜を改めて掲載いたします。

タ:(25777889TJJ)
く:(2355679TJKK)
タ:J
く:K
タ:D(Q)%
く:57[GC]
く:3
タ:J
く:K
タ:D(X)%
く:D(3)T9
タ:D(6)%
く:D(A)A3J,P(A3Q)
タ:D(6)67
く:QJ,P(23)
タ:D(4)4687,P(68QQ)
く:33=3*AA
タ:67
く:D(9)%
タ:D(5)X729|X=A[RR]
く:[R]%
タ:[R]D(A)6A
く:[R]D(4)%
タ:[R]D(4)5
く:[R]D(K)2
タ:[R]D(J)%
く:[R]J
タ:[R]5
く:[R]%
タ:[R]D(9)89
く:[R]D(T)%
タ:[R]D(A)TA
く:[R]D(T)%
タ:[R]D(K)QK
く:[R]5Q=2^9
タ:[R]D(8)%
く:[R]D(2)TK
タ:[R]D(X)%
く:[R]D(4)%
タ:[R]D(J)QX=J*J|X=A
く:[R]D(K)%
タ:[R]D(5)5
く:[R]D(7)%
タ:[R]D(3)83
く:[R]47
タ:[R]D(J)%
く:[R]D(K)K
タ:[R]D(T)%
く:[R]D(9)K
タ:[R]D(6)%
く:[R]D(7)T9
タ:[R]D(3)T3
く:[R]D(A)67
タ:[R]D(A)6A
く:[R]4A
タ:[R]D(3)34,P(36)
く:[R]2#

次回は1回戦2試合目・せきゅーんさんとコロちゃんぬさんの対戦を解説します。

追伸
ブログ「初代素数王の備忘録」をお読みいただきありがとうございます。カステラです。
10月19日より密かに始めたブログですが、昨夜から瞬く間に素数大富豪界にその存在が知れ渡っており、こちらとしては大変驚いております。このブログは素数大富豪がもっと強くなりたい人向けに執筆していますが、途中に登場する小ネタは筆者の趣味なので時には読者のみなさんを置き去りにしていくような場合もあるかもしれません。また、よりよい記事にするため、一度公開した記事でも公開してしばらくは表現の若干の修正も含めた加筆修正をする場合があります。以上の点にご留意していただき記事を楽しんでいただけましたら幸いです。

*1:時間はタイムシフトにおけるこの勝負の放送時間です。https://live2.nicovideo.jp/watch/lv314662902

*2:カードの強弱や枚数が守られていない場合は無効とされ、出したカードは手札に戻される。素数判定はしない。

*3:いわゆる「カマトト」と呼ばれるテクニックです。私も今大会では8TT、5TT8862、T8と3回偶数を出しペナルティを受けています。

*4:厳密には1気圧は1013.25hPa。

*5:J3もあるが、上位互換の3Jがあるためここでは除く。