初代素数王の備忘録

KA4T6X|X=9(カステラくん)は素数。

素数大富豪用語集

素数大富豪に関する用語と、その簡単な説明をした用語集です。
素数大富豪の用語は「山札」「手札」「ドロー」など他のトランプゲームのものを流用したものが多いですが、中には素数大富豪独自の用語や、一般に通用しているのとは別の意味をもつ用語も存在します。ここではそのような多少注意を要する用語を中心に五十音順に紹介いたします。
※英数字を含む項目はその読みに従って配列します。たとえば「PrimeQK」は「ぷらいむきゅーけー」、「1001チェック」は「せんいちちぇっく」とみなします。
最終更新: 2021年6月1日

主にフランスで活躍した、ドイツ出身のユダヤ系フランス人の数学者(1928年3月28日~2014年11月13日)。数論や代数幾何学において多大な業績を残した20世紀を代表する数学者の1人である*1が、素数大富豪をプレーするには「57は素数の人」の認識で十分である

  • 1

素数でも合成数でもない唯一の正整数。ルール上(強弱を守っていれば)1を場に出すことは可能だが出した際には必ずペナルティとなる。素因数場における素因数や指数として1を出すことはできない。

  • ウイニングプライム

勝負が決した際に最後に出された素数のこと。優勝素数ともいう。

  • HNP

「Hello New Prime」の略。ネット上での対戦でプレーヤーが素数に出会ったときに使われる。素数大富豪トーナメント第1期HNP杯(2020年4月~7月)をきっかけに生まれた言葉。

(とくに通常のトランプを用いた、十進法での)素数大富豪において出すことのできない素数。非素数大富豪素数ともいう。最小は40009。

  • 絵札

一般にはジャック、クイーン、キングのことを指すが、素数大富豪においては10も絵札に含めることが多い。ジョーカーを含めることもある。

  • エマープ

一の位から読むと別の素数になるような素数。37と73など。

  • overKJQJ

4枚出しにおける最大の素数KJQJよりも大きな4枚出し合成数。略して「おばけ」とも*2

場にカードがない状態で手番をもつプレーヤーのこと。場に出す枚数を決められるので有利。素数大富豪では親をとる、とらせないことが重要視される。

  • カードカウンティング

場に流れたカードなど見えたカードを記憶して相手の手札や山札を推測する戦術。

  • 下位互換

並べ替えてより大きな素数が作れる場合、並べ替え前の小さい方の素数。たとえば4649は6449の下位互換。(←→上位互換)

一の位から読んでも同じ素数になるような素数。31013、1748471など。

ラマヌジャン革命の直後に出せる素数。1729未満の4桁素数が該当する。

  • カマトト

故意にペナルティを受けること。上がりからは遠ざかるが手札を一度に大量に補充することができ、戦略の幅を広げる効果がある。

  • 勘出し

素数である確証がないまま場にカードを出すこと。

  • 奇数

偶数でない整数のこと。一般には2で割り切れない整数を指すが、素数大富豪においては2でも5でも割り切れない整数をいうことが多い。

  • 「QK部 -1213-」

キグロ氏による、小説投稿サイト「カクヨム」で連載中の素数大富豪小説*3。主人公の女子高生が素数大富豪に出会い、素数大富豪を通して成長していく姿を描く。2020年3月、『QK部 トランプゲーム部の結成と挑戦』(KADOKAWA)として書籍化された*4

  • 91

7*13なので素数ではないが、素数と間違えられやすい。パッと見素数のひとつ。素数大富豪界隈では以前から「狐素数」と呼ばれてきたが、東京工業大学の加藤文元教授が自著『宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃』において100までの素数のリストに間違えて91を載せてしまったことから「ブンゲン素数」と呼ばれることが多くなった*5

札幌杯無差別級の優勝者に与えられるタイトル。現在のQueen-Kingはカステラ。

  • 偶数

一般には2で割り切れる整数のことだが、素数大富豪においては5で割り切れる整数も偶数と呼ぶことが多い。

偶数のカードを多く用いる素数素数として出すのに偶数は一の位として使えないため、偶数が使われる素数素数大富豪プレーヤーに好まれる。8623、QQT3、2468TQAなど。

  • (手札を)組む

相手が何を出すかを想定して、その後さらに何を出すべきかを考えるなどして手札を編成すること。

  • グロタンカット

場に57を出すと場が強制的に流されること。大富豪の「8切り」に相当するルール。由来はグロタンディーク素数

  • グロタンチェンジ

場に57を出す前後でドローすることにより手番をもったまま手札を2枚補充するテクニック。

  • グロタンディーク素数

57のこと。数学者グロタンディークが素数についての一般論を講義した際に聴者から具体的な素数による説明を求められたところ、本来は素数でない57を挙げたという逸話に由来する。

場に合成数を出し、素因数場にその素因数分解を与える素数を出す出し方。指数表記が使用可能。

合成数出しを故意に間違えてペナルティを受けること。大量に山札を引いてKKJ·KJQJ超え合成数を手札に揃えることが主な目的。2019年頃から使うプレーヤーが出現した。素数大富豪のゲーム性に関わる特異なプレーのため、賛否両論があったが*6、2021年現在では上級者の必須テクニックになっている。

  • 5は偶数

一の位が5である整数は5の倍数のため、偶数と同様に5の倍数かどうかも容易に判定できることを表した表現。

語呂合わせのある素数。443(しじみ)、593(コックさん)、877(バナナ)、4649(よろしく)など。ちなみに4435938774649(しじみコックさんバナナよろしく)も素数

素数に対して語呂合わせを作る人。

  • 札幌杯

2020年2月に札幌で開催された素数大富豪大会。もりしー氏が主催した。無差別級(全プレーヤー対象)とライト級(初~中級者対象)の2階級で争われ、無差別級はカステラ(タイトル: Queen-King)、ライト級ははち氏(タイトル: Jack)が優勝した。

  • 3の倍数

3の倍数かどうかは各位の和が3の倍数かどうかで判定できる。

(10n+1,10n+7,100n+11,100n+13)(nは正整数)がすべて素数であるような組。(31,37,311,313),(9181,9187,91811,91813)など。(共通の数)+(A,7,J,K)という形のため素数を一挙に4つ覚えることができ、素数大富豪プレーヤーに重宝される。

  • 指数表記出し

合成数出しにおいて、冪乗を使って素因数分解を表現すること。たとえば場に8を出す場合、素因数場に2、3を出して8=2^3として出せる。おのりん氏が考案し、2016年12月に公式ルールに追加された。

  • Jack

札幌杯ライト級の優勝者に与えられるタイトル。現在のJackははち氏。

インドの数学者(1887年12月22日~1920年4月26日)。直感的かつ天才的な閃きにより数々の業績をあげ「インドの魔術師」の異名をもつ*7ラマヌジャン革命の1729は彼のタクシー数の逸話に由来する。

  • 上位互換

並べ替えてより大きな素数が作れる場合、その大きい方の素数。たとえば6449は4649の上位互換。(←→下位互換)

  • ジョーカー

トランプ1組に2枚存在する。ジョーカー単独では13(革命時は2)より強いものとして扱い、場に出すと場が強制的に流れる。他のカードと同時に出すとワイルドカードとして0~13の任意の数の代わりとして扱う。

  • シンキングタイム

カードが配られたあと、ゲームが始まる前に手札を見て作戦を練る時間のこと。時間は1分であることが多い。

  • 数譜

素数大富豪のゲーム経過を記したもの。

  • せきゅーん杯

素数大富豪考案者のせきゅーん氏が主催する素数大富豪大会。優勝者には「素数王」のタイトルが与えられる。

  • 1001チェック

1001=7*11*13であることを利用して1001の倍数を加減することで7,11,13の倍数を判定するテクニック。

  • 全出し

手札すべてを一度に場に出すこと。

  • 素因数場

合成数出しの際に素因数を出す場所。素因数同士には間隔をあけ、冪乗の指数は(通常用いられるように)底の右肩に重ねるのが望ましい。

せきゅーん杯の優勝者に与えられるタイトル。現在の素数王(第1期)はカステラ。

  • 素数大富豪オンライン

オンラインで素数大富豪がプレーできるサイト*8。開発はpermil氏。一部の素数大富豪大会は素数大富豪オンライン上で行われる。

素数大富豪に関する研究成果を発表する場*9。2018年発足。同年9月に第1回の研究会が札幌(北海道大学)で、2019年12月に第2回が東京(東洋大学)で開催された。

nishimura氏が開発した素数大富豪のcpu対戦ができるサイト*10

素数大富豪において出すことのできる素数。ルール上素数は無制限に出せることになっているが、数字ごとに枚数の上限があることからこのような概念がある。たとえば40009は最小の素数大富豪素数でない素数(非素数大富豪素数エデンの園素数)。

  • 素数大富豪で遊ぼう会

素数大富豪をしたい人が集まって素数大富豪をするイベント。主に札幌で月に1,2回の頻度で開催される。2017年より二世氏が幹事となって運営され、2018年からもりしー氏が幹事を引き継いでいる。また、2019年5月より関東(東京)でも「素数大富豪で遊ぼう会in関東」と称して類似のイベントが開催されている。

  • 素数大富豪トーナメント

素数大富豪オンライン上で行われる素数大富豪大会。初の大会となる第1期蝉王戦(2019年7月~10月)ではnishimura氏が優勝した。以降、第1期雪華流星戦(2019年12月~2020年4月)ではマモ氏が、第1期HNP杯(2020年4月~7月)・第2期蝉王戦(2020年7月~11月)ではカステラが、第2期雪華流星戦(2020年11月~2021年4月)ではマリン氏がそれぞれ優勝した。

2021年1月1日に設立された素数大富豪の普及に向けた活動を行う組織*11

素数大富豪をより気軽に遊べるように設計されたアレンジ版*12。専用のカードを用いる。制作は梟老堂。

素因数場にカードを出さず場にだけカードを出す出し方。いわゆる普通の出し方。

与えられた正整数が素数かどうかを判定するアプリ。素数大富豪プレーヤーの必需品。

素数が書かれたTシャツ。プレーヤーおよび素数判定員は素数Tシャツを着用してはならないことが公式ルールによって定められている。

出されたカードが正しく出されたものかどうかを判定する人。大会ではプレーヤーと別に設けられるが、プレーヤーが素数判定員を兼任してもよい。

数学の言語を用いて定義された素数大富豪のこと。

  • 詰んでるセット

三重積氏が提唱したカードの組み合わせ*13。A,3,7,9,J,Kのいずれかが含まれていて手札の和が3の倍数にならず、どう並べ替えても素数を作れないもの。(9,Q,K)や(5,8,T,J)など。

  • 詰んデレセット

素数を作れる並べ方が1つしか存在しないカードの組み合わせ。(2,4,5,J)(素数になるのは254Jのみ)など。

  • 出会い系

新しい素数に出会うことを目指して勘出しするプレーヤーのこと。

「b進法」といったときのbのこと。bが変わればカードが表す数も変わる(例: TKはb=10なら1013だがb=2では10101101_{(2)}=173_{(10)}である)。通常はb=10。

トランプの10のこと。「Ten」の頭文字から。数譜の他、口頭でも用いられる。

  • 二刀流戦法

相手が普通に返したとき・カマトトしたときの両方に対応できるように手札を組むこと。たとえば手札(A344688JJQK)から886Aを出せば、相手が4枚出しを返したらKJQJ→443、カマトトしたら443KJQJと出して勝てる。

カードを素数として出す場所。素因数場とは本来区別されるべきだが、しばしば混同されて素因数場も含めて場と呼ぶことがある。

  • 88888883

ネット上で拍手を表す888(8の個数は任意)の素数大富豪版。もちろん素数である。一の位以外のすべての桁が8である素数は他にも存在する*14が、88888883はエデンの園素数では最小のものであるためもっともよく使われる。

鰺坂もっちょ氏が提唱した整数の分類*15。「パッと見で素数にみえちゃう数」のこと。91など。

  • PrimeQK

素数大富豪の英語名。2019年12月の素数大富豪研究会の懇親会で決定した。

  • ペナルティ

素数判定員によって出されたカードが正しく出されていなかったと判定されたときに課される。出した手札をすべて戻したうえで山札から出した枚数分引く。

  • 枚数制限

最大何枚出しまで可能かの制限。通常は無制限。

  • マスパーティ杯

2019年10月、Mathpowerが開催されないことにより企画された数学の楽しみ方の見本市「マスパーティ」*16において行われた素数大富豪大会、およびその大会の優勝者に与えられるタイトル。一般の部とジュニアの部(18歳以下)の2部門で争われ、それぞれもりしー氏とtatyam氏が優勝した。

  • Mathpower杯

株式会社すうがくぶんか・和から株式会社・アスキードワンゴ主催の数学の祭典「Mathpower」で開催される素数大富豪大会、およびその大会の優勝者に与えられるタイトル。現在のMathpower杯(第3期・2018年)はもりしー氏。

  • マスプライム杯

Mathpower杯・マスパーティ杯の流れを汲んで2020年に開始された素数大富豪大会*17。現在のマスプライム杯(2020年)はもりしー氏。

  • (山札を)回す

カマトトを繰り返して山札を減らし、流れたカードを再び山札から引くことを目指す行為。相手のカードカウンティングを妨害するなどの効果がある。

(p,p+2,p+6,p+8)がすべて素数であるような組。(101,103,107,109),(821,823,827,829)など。(5,7,11,13)を除く四つ子素数は(10n+1,10n+3,10n+7,10n+9)の形となり一の位以外は共通のためそこを覚えれば素数を一挙に4つ覚えることができ、素数大富豪プレーヤーに重宝される。

場に1729を出すと強弱が逆転し、小さい素数が強くなるようになること。由来はラマヌジャンのタクシー数。菅原響生氏が考案し、2016年12月に公式ルールに追加された。

カードを等差数列のように並べて最後に奇数をおいてできる素数。4567、8642J、23456789、2468TQAなど。

  • ワンサイドキル

相手に1枚も手札を出させないで勝利すること。

  • ワンターンキル

1ターンで勝利すること。一発上がりともいう。


次回からいよいよMathpower杯の解説です。お楽しみに!

*1:出典: アレクサンドル・グロタンディーク - Wikipedia

*2:使用例: おばけの部屋

*3:kakuyomu.jp

*4:www.kadokawa.co.jp

*5:なお「ブンゲン素数」は加藤教授ご本人も公認している名称である。

*6:せきゅーん氏による合成数出しの規則の変更が提案されている。integers.hatenablog.com

*7:出典: シュリニヴァーサ・ラマヌジャン - Wikipedia

*8:permil.net

*9:sig-prime-d.localinfo.jp

*10:素数大富豪TOPhttp://searial.web.fc2.com/tools/sosutop.html

*11:primeqk.themedia.jp

*12:fukuroudou.info

*13:triprod1829.hatenablog.com

*14:そのような素数がまとめて見られるサイトを以下に挙げる: Factorization of 88...881 Factorization of 88...883 Factorization of 88...887 Factorization of 88...889

*15:www.ajimatics.com

*16:マスパーティ公式ホームページmathparty.localinfo.jp

*17:大会ホームページ: mathp-cup.localinfo.jp